今回は、1985年の全米No.1ヒットシリーズです。


前回、1985年3月30日付から2週間No.1であった、
フィル・コリンズの「ワン・モア・ナイト」に代わり、

1985年4月13日付から5月4日付までの4週間No.1となった曲が、


USAフォー・アフリカ「ウィ・アー・ザ・ワールド」


前年の1984年の暮れに、ボブ・ゲルドフが中心となり、
イギリスをメインとする多くのスーパースターたちが集結し、
エチオピア飢餓救済のために作り上げた、
バンド・エイドプロジェクトによるチャリティーソング、

ブログでも、一昨年のクリスマスイブに紹介している、
ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?(Do They Know It's Christmas)
(2010.12.24)


この成功に刺激を受けたアメリカのアーティストたちが立ち上がり、
アフリカ全体の飢餓救済を目的としたチャリティーソングが、
このUSAフォー・アフリカプロジェクトとして作られたこの曲です。


プロデューサーは、クインシー・ジョーンズ。
曲はライオネル・リッチーとマイケル・ジャクソンによるもので、
世界各地で大ヒットを記録しています。




☆USA For Africa "We Are The World" from the album "We Are The World"
 1985年Billboard Hot100 最高位1位(4/13~5/4付の4週間)


(A)Lionel Richie / Stevie Wonder / Paul Simon /Kenny Rogers
There comes a time
When we need a certain call
When the world must come together as one
There are people dying
Oh it's time to lend a hand to life
The greatest gift of all

>> そのときは来た
>> 確かな叫びに耳を傾けるべきときが
>> 世界がみな一つになるべきときが
>> 多くの人々が死に苦しむここで
>> そう生きていくために手をさしのべるときだ
>> 最高の贈り物をすべきときだ

(B)Kenny Rogers / Al Jarreau / Tina Turner / Billy Joel
We can't go on
Pretending day by day
That someone, somewhere will soon make a change
We are all part of God's great big family
And the truth you know
Love is all we need

>> 僕らにはできない
>> いつもよそよそしくいるわけには
>> 誰かがどこかで今すぐそれを変えていかなくては
>> 私たちは皆、神の大いなる家族の一員
>> そしてきっとわかるだろう真実とは
>> 愛こそが私たちが必要とするもの

(C)Michael Jackson / Diana Ross
We are the World
We are the children
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving
There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me

>> ボクらは世界そのもの
>> ボクらは神の子供なんだ
>> ボクらは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> 私たちが作り上げた選択がここにあるの
>> 私たちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていきましょう
>> あなたと私とで

(D)Dionne Warwick / Willie Nelson /
Well, send them your heart
So they'll know that someone cares
And their lives will be stronger and free
As God has shown us
By turning stone to bread
So we all must lend a helping hand

>> さあ、あなたの気持ちを彼らに送ろう
>> そして誰かが気にかけているってことを知らせなきゃ
>> そうすれば、彼らは強く自由に生きていけるのだから
>> 神が私たちに示してくれたように
>> 石をパンに変えていこうとするならば
>> 私たちみなは、救いの手をさしのべていなかくてはいけない

(E)Bruce Springsteen / Kenny Loggins / Steve Perry / Daryl Hall
We are the World
We are the children
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving
Oh there's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me

>> オレたちは世界そのもの
>> オレたちは神の子供なんだ
>> ボクたちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> ボクたちが作り上げた選択がここにあるんだ
>> ボクたちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> キミとボクとで

(F)Michael Jackson / Huey Lewis / Cyndi Lauper / Kim Carnes
When you're down and out
There seems no hope at all
But if you just believe
There's no way we can fall
Well, well, well, well let us realize
Oh that a change can only come
When we stand together as one
(hey, yeah, yeah, yeah!)

>> あなたはすっかり打ちのめされて
>> 生きる希望も潰えたかもしれない
>> でも、もし君が信じると言うなら
>> これ以上落ち込んだりすることはないんだよ
>> さあ、さあ、さあ、私たちの手で実現させようよ
>> この変革がもたらすただ一つのことを
>> 私たち一人ひとりがともに立ち上がる時なのよ

(G)Chorus
We are the World
We are the children
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving
Oh there's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me

>> 私たちは世界そのもの
>> 私たちは神の子供なんだ
>> 私たちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> 私たちが作り上げた選択がここにある
>> 私たちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていきましょう
>> あなたと私とで

(H)chorus / Bob Dylan
We are the World
We are the children
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving
Oh there's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me

>> 私たちは世界そのもの
>> 私たちは神の子供なんだ
>> 私たちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> オレたちが作り上げた選択がここにある
>> オレたちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> キミとオレとで

(I)chorus / Ray Charles
We are the World
We are the children
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving
Oh there's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me

>> 私たちは世界そのもの
>> 私たちは神の子供なんだ
>> 私たちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> 私たちが作り上げた選択がここにある
>> 私たちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> あなたと私とで

(J)chorus / Ray Charles
(Oh! Let me hear it!)
We are the World (we are the world)
We are the children (we are the children)
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving (so let's start giving)
There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me
(Come on! Let me hear it!)

>> (聞こうじゃないか!)
(chorus repeat)

(K)Stevie Wonder / Bruce springsteen
We are the World (we are the world)
We are the children (we are the children)
We are the ones who make a brighter day
so let's start giving (so let's start giving)
There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me (yeah, yeah, yeah!)

>> ボクたちは世界そのもの(オレたちは世界そのもの)
>> ボクたちは神の子供なんだ(オレたちは神の子供なんだ)
>> ボクたちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう(与えることから始めよう)
>> ボクたちが作り上げた選択がここにある
>> ボクたちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> キミとボクとで

(L)Stevie wonder / Bruce springsteen
We are the World (we are the world)
We are the children (we are the children)
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving (so let's start giving)
There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day (hey, hey, nooo, wuoooaaahh!)
Just you and me

>> ボクたちは世界そのもの(オレたちは世界そのもの)
>> ボクたちは神の子供なんだ(オレたちは神の子供なんだ)
>> ボクたちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう(与えることから始めよう)
>> オレたちが作り上げた選択がここにある
>> オレたちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> キミとオレとで

(M)chorus
We are the World (wuou, wouuu!)
We are the World
We are the children
We are the ones who make a brighter day
so let's start giving
There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me

>> 私たちは世界そのもの
>> 私たちは神の子供なんだ
>> 私たちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> 私たちが作り上げた選択がここにある
>> 私たちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> あなたと私とで

(N)James Ingram / Ray Charles
We are the World (we are the world!)
We are the children (get some!)
We are the ones to make a brighter day
so let's start giving
There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me (wuuuuuu!)

>> 私たちは世界そのもの
>> 私たちは神の子供なんだ
>> 私たちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> 私たちが作り上げた選択がここにある
>> 私たちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> あなたと私とで

(O)chorus / Ray Charles
We are the World
We are the children
We are the ones who make a brighter day
so let's start giving
There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true, we'll make a better day
Just you and me

>> 私たちは世界そのもの
>> 私たちは神の子供なんだ
>> 私たちは輝かしい日にすべきひとりなんだ
>> だから与えることから始めよう
>> 私たちが作り上げた選択がここにある
>> 私たちは皆自分たちの命を守り続けている
>> それが真実、もっとすばらしい日を作り上げていこう
>> あなたと私とで


バンド・エイドの時と同様、
歌詞をパートごとに、ソロで歌っている人たちを表記し、

そして同じような歌詞が続くこともあって、
一人称やそれに付随する言葉づかいも、
男女別、アーティストイメージで変えてみました。

こうして見てみると、
1番は比較的正統派のボーカルというか、
(いやスティーヴィー・ワンダーとかクセあるけど)、
比較的抑え目でスタートして、

2番からブリッジでは、
クセのある個性的ボーカリストたちがつとめ、
ブリッジの最高潮のところで、
シンディローパーの叫び声で、
全体コーラスにつながっていくという、

後半のサビが連続するところも、
ボブ・ディランとかレイ・チャールズとか、
個性的な声を入れ込むことで、
曲のメリハリもついていて、

ボーカルアレンジとしては、
とてもよくできた曲ですよね。
さすが、クインシー・ジョーンズ。


USAフォー・アフリカのスタートは、
アメリカのベテランシンガーであるハリー・ベラフォンテが、
やはりアフリカの窮状をニュースで聞き、
この救済プロジェクトとしてバンド・エイドの成功を目の当たりにし、

バンド・エイドの中心人物であるボブ・ゲルドフに、
アメリカでもこのようなプロジェクトを作っていきたいという
構想をもちかけ、

またアーティスト側の橋渡し役として、
ライオネル・リッチーやケニー・ロジャースらの
マネージャーとして知られた、
ケン・クレイガンに依頼し、

さらにクインシー・ジョーンズへの曲作りの依頼、
そこから発展してマイケル・ジャクソンと、
ライオネル・リッチーが曲を製作するといった
流れを作り出していくことでした。


ケニー・ロジャースの所有するスタジオに、
クインシー・ジョーンズ、ライオネル・リッチー、
スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンが集まって、
ベーストラックを作成。

さらに、ここでできたデモテープを、
ケン・クレイガンやクインシー・ジョーンズを中心とした、
アーティストのつながりから連絡された、
当時のアメリカのトップスターたちに渡し、

初めに、クインシー・ジョーンズ関連のミュージシャンたち中心に、
バックトラックセッションが行われ、

1985年1月28日、アメリカンミュージックアワード(AMA)終了後に、
アーティストたちが集まって、コーラス録りを行いました。

この時、参加アーティストたちは、
AMA終了後で疲れていて、
初めはあまり乗っていなかったということですが、
参加者の一人であるボブ・ゲルドフが、
自分が見てきたアフリカの窮状や、
このプロジェクトの意義について、
参加者たちに話をしたところ、
一気にやる気に火がついて、
素晴らしいコーラス碌りとなったそうです。

このあと、ソロパートの録音や、
ダビングどりなどを行い、
このシングルレコードが完成しました。


ソロパートでは参加してないコーラス参加アーティストとしては、
ウェイロン・ジェニングス、ジェフリー・オズボーン、
ジャクソンズ(マーロン、ランディ、ジャッキー、ティト)、
ラトーヤ・ジャクソン、シーラ・E、
スモーキー・ロビンソン、ジョン・オーツ、
ダン・エイクロイド、ハリー・ベラフォンテ、
ベット・ミドラー、ポインター・シスターズ、
ボブ・ゲルドフ、リンジー・バッキンガム、
ザ・ニュース(マリオ・シポリナ、ジョニー・コーラ、ショーン・ホッパー)。

バンド演奏は、
デヴィッド・ペイチ、マイケル・ボディッカー、
パウリーニョ・ダ・コスタ、ルイス・ジョンソン、
マイケル・オマーティアン、グレッグ・フィリンゲインズ、
ジョン・ロビンソン。


このレコーディングには、
本来参加するはずだったプリンスが、
交通マヒの影響で参加できず、
マイケル・ジャクソンが2パートを歌ったり、
ヒューイ・ルイスに代わったり、

あるいは、このほかにも参加をしたいと思っていた
アーティストがお声がかからず文句を言ったとか、
色々な話も出ていますが、

こうやって完成した「ウィ・アー・ザ・ワールド」は、
1985年3月に発売され、Billboard Hot100では、
1985年3月23日付で20位に初登場し、
4週後にはNo.1となり、4週間No.1を続けました。

現在では、初登場1位とか、10何週1位とかが、
とくに珍しくもなくなっているBillboard Hot100ですが、
当時としては破格の初登場と、短期間でのNo.1獲得で、
シングルとしても、世界で1000万枚を越える
売上げを記録しました。

ただ、一気に売れてしまったことと、
Billboard Hot100がレコード売り上げだけで
決まらないチャートであることから、
あっという間にチャートダウンもし、
1985年の年間チャートでは、
20位と意外な低い結果に終わっています。


この「ウィ・アー・ザ・ワールド」は、
アルバムも作られており、
ソロやコーラスパートで参加したアーティストや、
シングルには参加できなかったプリンス、シカゴが、
未発表曲などを提供しています。
このアルバムも300万枚以上売り上げました。


このチャリティーソングの波は、
世界のあらゆる音楽界に広がり、

たとえば、カナダのアーティストたちによる、
「ティアーズ・アー・ノット・イナフ(Tears Are Not Enough)」や、
へヴィ・メタルのバンドが集まって作られた、
「スターズ(Stars)」といった、チャリティーシングルが、
次々にリリースされていきました。

そして、これらは7月にロンドンとニューヨークを中心に、
世界各地で行われた「ライヴ・エイド」へと
つながっていくわけです。


「ウィ・アー・ザ・ワールド」は、
2004年には20周年記念エディションとしてDVDが発売され、
関係者のインタビューやレコーディング風景なども収められています。


そして、2010年には、
同じ年の1月12日に発生したハイチ地震の被災者救済を目的とし、
再びクインシー・ジョーンズとライオネル・リッチーが集まり、
さらにハイチ出身アーティストであるワイクレフ・ジョンが、
ラップアレンジなどを加え、

21世紀のスターたちが集結したアーティスト・フォー・ハイチとして、
「ウィ・アー・ザ・ワールド・25・フォー・ハイチ」が、
レコーディングされました。


このPVの動画内に、ソロパートのアーティスト名が書きこまれているので、
参加アーティストはこちらをご覧ください。



☆Artists For Haiti "We Are The World 25 For Haiti"
 2010年Billboard Hot100 最高位2位


オリジナルの作者であり、
ソロパートとしても重要な位置にいるマイケル・ジャクソンは、
前年に他界しており、
レイ・チャールズも他界して10年以上が経ったこの作品では、

マイケルのパートは、彼のオリジナル音源を用い、
ここに当時まだ参加していなかった妹のジャネット・ジャクソンが、
寄り添う形でレコーディングしています。

レイ・チャールズのパートは、
ジェイミー・フォックスが、彼の物まねとしてレコーディングしてます。

また、時代的には当時参加していてもおかしくなかった、
バーブラ・ストライザンドやトニー・ベネットも新たに参加しており、

そして、今の方たちには、むしろこちらの参加アーティストの方が、
身近なのかなとも思います。



ところで、

現在のアフリカの状況。
たとえば、スーダンやソマリアなどの経済的困窮や政治不安。
あるいは、エジプトやシリアなどの内戦。

アフリカだけでなく、中東やアジア諸国、ラテンアメリカ諸国、
経済危機を迎えているヨーロッパ・・・。

救われない状況は何ら変わってないどころか、
より深刻なものになりつつあります。


数回のチャリティーだけで盛り上がって、
終わってしまったりフェードアウトしていないでしょうか。


日本だってそう。
震災から1年以上が経ち、
盛り上がった絆や救済活動が薄れていかないよう、

精神だけを受け継ぐだけでなく、
具体的活動も続けていかないといけないですよね。



「'85 US No.1」シリーズ。
次回は5月11日の予定。

前年1984年のラストで初のNo.1ヒットを獲得し、
スーパースターの階段をのぼりはじめた彼女の、
2枚目のNo.1シングル。
映画主題歌であり、初のバラードヒットでもあります。

ちなみに彼女は、USAフォー・アフリカには参加してませんが、
ライヴ・エイドには出演してましたね。



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