4月に入りました。

例年になく寒い冬で、桜の開花も遅れていましたが、
ようやくここにきて、満開に近いところまで咲いてきましたね。


1年のスタートの時期であり、
一つ上のクラスに進む人、
新しい扉を開く人、

この春も新しい一歩を踏み出す時がやってきました。


このブログも2年半をやってきて、
この春も変わらず、色々な曲を紹介していきたいと思います。

開始当初の頃のように、
もっと頻繁に曲がアップできればいいんですけどね。
その割に、今月はずいぶん出遅れてしまいました。


このブログでしばしば紹介している、
ラジオ日本の「全米トップ40 The 80's」。
この4月、今日の放送から、
おととしの番組開始時と同じ、
毎週土曜日17時55分から21時までの3時間放送に
放送時間が変わります。
(岐阜放送でも復活です)

つまり、
またもや、ニュース交通情報ブレイクもあり、
さらにプロ野球中継が入る日は、
お休みということになってしまいますね。

できれば、1週前倒しで放送されている、
アメリカのネットラジオでもチェックされると
良いかと思われます。


さて、そんなスタートの季節。
多くの新人がスタートする時期でもあるんですね。

先週放送された「全米トップ40 The 80's」(1986年3月22日付)で
ちょうど最高位17位を記録していた、
当時若干17歳のギタリスト、シンガーのデビューシングルを
今回紹介したいと思います。


チャーリー・セクストン「ビーツ・ソー・ロンリー」


テキサス州出身で、
10代半ばでドン・ヘンリーなどのサポートギタリストで注目され、
1985年にアルバムデビューし、
そのデビュー曲として注目されヒットを記録した、
ギターテクニックと独特の歌声、
そして何よりルックスで大いに話題となった、
ドライブ感たっぷりのビートロックナンバーです。

アメリカでの人気以上に、
日本ではアイドル的人気となり、
「チャリ坊」という愛称でも呼ばれておりました。


①かなりスタッフ側の思惑の感じられる、
 チャーリーの見せ方に重きのおかれた、
 このPVも随分とオンエアされました。
 ちなみに、彼は当時17歳でしたが、このPVの中でもたばこ吸ってますね。
 (アメリカでも主に18歳未満は吸えません)
 当時はこういう映像にはあまりうるさくなかったんでしょうね^^;




②1986年のライブステージから。
 すでに大物アーティストとのツアーもこなしていた彼は、
 こういったステージでも堂々としたステージングをこなしていました。



☆Charlie Sexton "Beat's So Lonely" from the album "Pictures For Pleasure"
 1986年Billboard Hot100 最高位17位


The beat's so lonely
I bet it's lonely at the top
She hesitates
But the beat will never stop

>> ビートは孤独さ
>> トップでいるっていうのは寂しいものなんだ
>> 彼女はためらってるけど
>> でもビートはずっと止まっちゃくれない

Wanting him only
But the people never see
Her heart burning
That's the secret that she keeps

>> ただ彼を必要としてただけ
>> でも奴らは誰も気付かない
>> 彼女の心は燃え
>> ずっと秘密として抱え込んだまま

Come on baby
You know there's something missing
Don't find nothing
No more coincidences

>> 来いよベイビー
>> 愛しい何かを探そうとしているんだろ
>> そんなこと必要ないんだ
>> 偶然じゃないんだぜ

Ready baby
Look in these eyes and you will see
Things will happen
But only if they're meant to be

>> かわいいベイビー
>> 瞳を見つめていればお前にもわかるはずさ
>> 何かが起こるぜ
>> でも二人がその気にならなきゃな

The beat's so lonely
I bet it's lonely at the top
So lonely
At the top
So lonely

>> ビートは孤独さ
>> トップでいるのはとても寂しいものなんだ
>> すごい孤独なのさ
>> トップにいることは
>> とても寂しいんだ

She said
Beat's so lonely
If you let it be that way
She can't tell the difference anyway

>> 彼女は言った
>> ビートは孤独なのね
>> あなたがそう思ってるだけだと
>> 彼女にはどう違うかがわからないらしいな

She thinks hold me
But she's scared to say
She'd pay dearly for the answers of her day
Answers of her
Answers of her day

>> 彼女はオレに抱いて欲しいって思ってる
>> でもそう言うのを恐れているんだ
>> 彼女はずっとその想いのために苦しんできたんだ
>> 彼女の想いのために
>> ずっと彼女の想いのために

The beat's so lonely
As she waits so patiently
Her heart's yearning
How she'd love him to see

>> ビートは孤独さ
>> 彼女がずっと待ち続けているように
>> 彼女は想い焦がれ
>> いかにやつを見つめ愛してきたかを

He's not hurting
But he wouldn't mind to be
She still sees him
She sees him interestingly

>> 彼は傷つけてはいないけど
>> そんな風になろうとも思ってなかった
>> 彼女はまだ彼を見続けている
>> 彼の興味を引こうかとしてるんだ

Come on baby
You know there's something missing
Don't find nothing
No more coincidences

>> 来いよベイビー
>> 愛しい何かを探そうとしているんだろ
>> そんなこと必要ないんだ
>> 偶然じゃないんだぜ

Ready baby
Before you give him all you got
Got to come closer
You got to give it one more shot

>> いいかいベイビー
>> 彼に全てを捧げようとする前に
>> あと一歩近づいて
>> もうあとひと押しをしていかなきゃ

The beat's so lonely
I bet she's lonely at the top
So lonely
At the top
So lonely

>> ビートは孤独さ
>> トップでいるのはとても寂しいものなんだ
>> すごい孤独なのさ
>> トップにいることは
>> とても寂しいんだ

She said
Beat's so lonely
If you let it be that way
She can't tell the difference anyway

>> 彼女は言った
>> ビートは孤独なのね
>> あなたがそう思ってるだけだと
>> 彼女にはどう違うかがわからないらしいな

She thinks hold me
But she's scared to say
She'd pay dearly for the answers of her day
Answers of her day
Answers of her day

>> 彼女はオレに抱いて欲しいって思ってる
>> でもそう言うのを恐れているんだ
>> 彼女はずっとその想いのために苦しんできたんだ
>> ずっと彼女の想いのために
>> ずっと彼女の想いのために

So lonely
(repeat)

Come on baby
You know there's something missing
Don't find nothing
No more coincidences

>> 来いよベイビー
>> 愛しい何かを探そうとしているんだろ
>> そんなこと必要ないんだ
>> 偶然じゃないんだぜ

Ready baby
Before you give him all you got
Got to come closer
You got to give it one more shot

>> いいかいベイビー
>> 彼に全てを捧げようとする前に
>> あと一歩近づいて
>> もうあとひと押しをしていかなきゃ

The beat's so lonely
I bet she's lonely at the top
So lonely
At the top
So lonely

>> ビートは孤独さ
>> トップでいるのはとても寂しいものなんだ
>> すごい孤独なのさ
>> トップにいることは
>> とても寂しいんだ

So lonely
(repeat)


結構粗い(荒っぽいというのではない)歌詞で、
言い回しの問題もあるのかもしれないけど、
意外と訳しにくい歌詞でした。

She'd pay dearly for the answers of her day

彼女は生きてきている間その答えのためにずっと苦しめられてきた。

つまり、彼を想い、モーションをかけるんだけど、
本当の気持ちを伝えられないもどかしさに苦しんでいた

そう解釈し「答え→想い」という超訳をしてみました。

そしてその想いを伝えられない彼は、
おそらく人気の孤独なロックスター。

彼と彼女という言葉を使っているところから、
突然としてオレとおまえにかわってしまうところも、
面白い(ロック的)使い方だなと思ってしまいました。


まあ、実際のところ、
歌詞よりも注目されるのは、
この曲の派手なギターのアレンジ。

ブルースロックのルーツを持ちながら、
ニューウェーブの影響もうけていて、
しかもハードロック的弾きまくり。

当時のアメリカでは、
必ずしもトレンドと言われるスタイルではなかったものの、
その勢いと若さで、多くのファンを引き込んでいきました。

トレンドという意味では、
むしろ当時の日本の方が、
音楽的流行にもあってたかもしれません。

80年代初めから活動をしていたBOØWYが、
佐久間正英のプロデュースでメジャーになり始めたのも
ちょうど1985年あたりからで、
86~87年あたりは、彼らの人気の絶頂期。

同じようなビートロックスタイルであるチャーリーにも、
そういった支持者が集まったのでした。

ただ、日本での人気はそれ以上に、
ルックスとプロモーションの影響が大きい
アーティストでもあったんですよね。


チャーリーは、1968年テキサス州サンアントニオ生まれで、
現在43歳。
彼を16歳の時に生んだ母親とともに、
4歳の時に同じテキサス州のオースチンに移り、
10代の頃から、弟のウィル・セクストンとともに、
地元のブルースギタリストからギターの指導を受け、
ジミー・ヴォーンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンなどの
先輩ブルースギタりストからもサポートされていました。

15歳の時に地元のローカル少年バンドでレコードを作り、
16歳の時には、ドン・ヘンリーのツアーのサポートギタリストとして参加。
この時に、ドン・ヘンリーからそのギターテクニックをかなり賞賛され、
翌1985年には、映画「Wild Life」のサントラ盤で、
ロン・ウッドとも共演しています。

この1985年16歳の時にMCAとメジャーデビュー契約を結び、
アルバム「ピクチャーズ・フォー・プレジャー(Pictures For Pleasure)」
でデビューします。
プロデューサーは、ビリー・アイドルなども手掛けたキース・フォーシー。

アメリカのラジオで話題になり始めた頃から、
日本の音楽雑誌でも注目されるアーティストとして紹介され、
「ミュージックライフ」などでは早くから
かなりのプッシュを受けていました。

とりわけ女性ライター、DJたちの視線を熱くした、
ジェームス・ディーン的?
マット・ディロン的なルックス。
デヴィッド・ボウイを甘くしたような雰囲気と、
年齢に似合わない渋く響くヴォーカル。

ということで、
当時のラジオでは本当にミーハー的な人気先行型な
アーティストでもありました。
「チャリ坊」と呼ばれたことも、
その一端を示していますよね。
男性ロックファンには、このミーハー的捉えられ方で、
やや冷やかに見られていて、
ある意味かわいそうでもあったと思います。

ファーストシングルの今回の曲は、
アメリカでも最高位17位とまずまずのヒットとなったのですが、
現地ではそれ以降が続かず。

ただ日本では、同じアルバムから、
「インプレスト(Impressed)」
「ホールド・ミー(Hold Me)」とシングルカットされ、
ラジオでもかなりのオンエアでした。
この新曲のラジオCMで、
「もう『チャリ坊』と呼ばないで。」と言われ、
お前がそう呼んでたんだろうがと突っ込みを
CMをナレーションしたスヌーピー(今泉圭姫子さん)が
言われてたのを思い出してしまいました。

こういった流れからか、
日本とは非常に縁が深くなり、
当時BOØWYとも比較される部分もあったせいか、
後に氷室京介のソロアルバム、
「FLOWERS for ALGERNON」にも参加していますし、
彼の来日公演に氷室京介もゲスト参加しています。

1989年にはセカンドアルバム、
「ドント・ルック・バック(Charlie Sexton)」を発表。
ブライアン・アダムスがゲスト参加で話題となりましたが、
大きなヒットには至りませんでした。

この時期にデビューを果たした、
弟のウィル・セクストン率いるウィル&ザ・キルにも参加。

さらに1992年には、飛行機事故で他界した、
スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルの
元バンドメンバーたちと、アーク・エンジェルスというバンドを結成。

こちらもアルバムを1枚残しただけで解散と、
デビュー時の華やかさから比べると、
なかなか次のステップが踏めない状況にありました。

その後、チャーリー・セクストン・セクステット名義で、
3枚目のソロアルバムを発表しながら、
ソングライターとして、エリック・クラプトンなどに曲を提供したり、
ルシンダ・ウィリアムス、ショーン・コルヴィンのアルバムに
参加したりと、製作サイドのほうに活動を移していきます。

1999年からはボブ・ディランのツアーに同行し、
彼のアルバムにも参加することで、久々に脚光を浴びます。

この彼とのツアー経験が生きたのか、
2005年に久々に発売されたソロアルバム、
「明日への轍(Cruel And Gentle Things)」を発表。
これまでの華々しいギタープレイから一転。
心に響く音を聴かせる歌とサウンドになり、
アーティストとしても成長した一歩をうかがわせています。


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ボブ・ディランとは、その後も再度ツアーに参加したり、
ほかのミュージシャンのサポートにもたったりで、

衝撃のデビューから25年以上がたち、
見た目にも、ドン・ヘンリーやキース・リチャーズ風の
渋さを増したルックスになり(それでもまだ40代前半)、
派手な活動はないものの、
ミュージシャンとしてよい人生を積み重ねてきているように
思われます。

あのアイドル扱いのころは本望だったかどうかわかりませんが、
あの時代があったからこその苦労とその後の成長があったわけだし、

「ピクチャーズ・フォー・プレジャー(喜びの肖像)」
彼のデビューアルバムのタイトルが、
25年たってそんな意味合いを持つんだということを
自分自身も感じます。

人生にはいろいろとあるんだなということを
これからデビューしていく若い人たちにも
社会経験で感じ取って言ってほしいなと、
彼のミュージシャン人生をみていて、そう思いました。



4月はいろいろな意味でフレッシュな話題やナンバーを中心に
(といっても80年代が主体となるかと思いますが)、
紹介していきたいと思います。


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