次のライブ記事がすっかり遅くなってしまいましたm(_ _)m
ポール・マッカートニーのステージに酔いしれてからわずか2日後、
4月27日の月曜日、今度は渋谷のBunkamuraオーチャードホールに向かいました。
『オリビア・ニュートン・ジョン Japan Tour 2015』
こちらも、前週からすでに大阪、名古屋とすでにステージが進んでいて、
この日から東京での3回のコンサート、
さらに、5月2日には『Pray For Fukushima』というタイトルで、
初の福島公演を行いました。
Bunkamuraオーチャードホールは、
2012年3月のシンディ・ローパーコンサート以来でしたが、
1階の後方の席であったとはいえ、
東京ドームのあの距離感からすると、
ステージ上の人物もしっかり見られるステージです。
ポールの東京ドームの時と異なり、
こちらは、ステージのスマホ撮影ができなかったので、
ステージ、ライブの画像はありません。
(本当はそれが普通だったんだけどね・・・)
オリビア自身にとっては、2010年以来5年ぶりの来日公演です。
1972年にクリフ・リチャードのバックコーラスとして初来日以来、
プロモーデョンや音楽祭、チャリティーなどで何度も来日している彼女ですが、
純粋に彼女自身のコンサート来日というのは、
意外にもまだ6回目なんですよね。
人気絶頂期の70年代後半から80年代というのは、
シンガーとしてだけでなく、女優としての活動もさかんだったし、
80年代後半から結婚、出産、乳がん治療、環境保護活動など、
音楽から距離を置いていた時期もあったりして、
彼女がライブ活動を盛んに行うようになったのは、
90年代後半に入ってからでした。
そんな彼女が、昨年からラスベガスのフラミンゴホテルで
常設公演として続けている『サマー・ナイツ(Summer Nights)』が
この度ライブアルバムとしてリリースされました。
サマー・ナイツ~ライヴ・イン・ラスベガス/オリビア・ニュートン・ジョン
¥3,500
Amazon.co.jp
オリビアの代表的ヒットナンバーとともに、
彼女のルーツとなっている大好きなカバー曲を織り込んだ構成で、
今回の来日コンサートでも、
このライブでのセットリストとほぼ同じ内容のものでした。
ということで、午後7時若干過ぎ。
ポールの1時間押しとは違って、
ほぼ定刻通りにバンドメンバーがステージ入り。
そして、『愛の告白』をアレンジしたサウンドにのせて、
黒いスーツ姿のオリビアが登場。
1曲目はボクにとっても思い出深いこの曲でスタート。
1.Have You Never Been Mellow (そよ風の誘惑)
アルバム『そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)』(1975)
①1975年、リリース年のステージから。
懐かしい、当時のかわいいオリビアです。
②昨年から続いている、ラスベガス・フラミンゴホテルでのステージから。
今回もこのスタイルで歌われました。
☆Olivia Newton John "Have You Never Been Mellow"
from the album "Have You Never Been Mellow"
1975年Billboard Hot100 最高位1位(3/8付)
There was a time when I was in a hurry as you are
I was like you
There was a day when I just had to tell my point of view
I was like you
Now I don't mean to make you frown
No, I just want you to slow down
>> あなたみたいにあくせくしていた時もあったわ
>> そう、あなたみたいにね
>> ただ自分の意見を押し付けようとしていた日々もあったわ
>> そう、あなたみたいにね
>> ねえ、あなたを困らせようとしていたつもりじゃないのよ
>> ちがうの、ただゆっくり落ち着いてほしいだけなの
Have you never been mellow?
Have you never tried to find a comfort from inside you?
Have you never been happy just to hear your song?
Have you never let someone else be strong?
>> 穏やかな気持ちになったことってない?
>> 心の中に安らぎを求めようとしてみない?
>> 自分で歌った歌で幸せな気分になったことってない?
>> ほかの誰かを力づけようとしてみない?
Running around as you do with your head up in the clouds
I was like you
Never had time to lay back, kick your shoes off, close your eyes
I was like you
Now you're not hard to understand
You need someone to hold your hand
>> 雲の中に頭を突っ込んであなたみたいに思いをぐるぐる巡らせていたわ
>> そう、あなたみたいにね
>> 靴を脱ぎ捨てて、瞳を閉じて、心を落ち着けている時間なんてなかったわ
>> そう、あなたみたいにね
>> ねえ、難しく考えることじゃないのよ
>> あなたには手を携えてくれる誰かが必要なの
Have you never been mellow?
Have you never tried to find a comfort from inside you?
Have you never been happy just to hear your song?
Have you never let someone else be strong?
>> 穏やかな気持ちになったことってない?
>> 心の中に安らぎを求めようとしてみない?
>> 自分で歌った歌で幸せな気分になったことってない?
>> ほかの誰かを力づけようとしてみない?
1975年、このライブの本編ラストに演奏された、
『愛の告白(I Honestly Love You)』に続く2曲目の全米No.1ヒットです。
このヒットをきっかけに日本でもオリビアの人気に火が付き、
翌年、初めての来日コンサートを開いたことで、
一気に人気爆発となっていきました。
ボクが彼女を知るきっかけは、ここから少し遅れるのですが、
1978年、ボクが高校に入学した年のことです。
(それ以前にテレビラジオで聴いてはいたと思うのですが、
あまり覚えてなかったと思います)
父が安いコンポを買ってきて、
このとき初めて我が家にレコードプレーヤーが置かれたのでした。
(それまではボク個人でラジカセしかなかったですから)
主に父母が聴く、ジャズ、クラシック物のレコードが中心でしたが、
同時に父が気に入って、カーペンターズとともに、
オリビアの3枚のシングル盤を買ってきたのです。
それが、
『ジョリーン(Jolene)』
『たそがれの恋(Don't Stop Believin')/カントリー・ロード』
そしてこの『そよ風の誘惑』でした。
このころ直接父にどういうところが気に入ってたのかを
直接聞くことはなかったのですが、
おそらくオリビアの澄んだ優しい歌声に魅かれたのでしょうね。
ボクも同じくして彼女の魅力にひかれました。
このころからラジオでの洋楽番組でも、
オリビアの曲を頻繁に耳にするようになったのですが、
当時は意味が分からずとも、
この『そよ風の誘惑』タイトルのような素敵なラブソングなんだろうと
想いながら聴いてたんですよね。
(今思うとシングル盤の歌詞カードもついてたはずなのに、
ほとんど見てなかったのがわかります)
タイトルにも使われている、mellowという言葉は、
熟した、芳醇な、穏やか。。といった意味で、
訳詞を見ても、『そよ風の誘惑』というよりは、
大事な人を労り、もっと心穏やかにいてほしいという願いが歌われているんですね。
ちなみに、やはりこの1978年、
南沙織が尾崎亜美作の『春の予感~I've Been Mellow』という曲をヒットさせていて、
この曲が化粧品会社のCMソングであったことから、
メロウという言葉が流行したというのも、
この曲とマッチして印象深かったように覚えてます。
リリースから40年が経った今年、
この曲を歌う66歳の彼女は、まさに変わらず美しく、
チャーミングで心豊かになる、「メロウ」なステージの始まりでした。
だいぶ1曲目で長くなってしまったので、
ここから続けてパートごとにセットリストを紹介していきます。
2.Xanadu (ザナドゥ)
3.Magic (マジック)
4.Suddenly (恋の予感)
サウンドトラック『ザナドゥ(Xanadu)』(1980)
※『ザナドゥ』ブログ記事(2010.10.21)
1980年、彼女がジョン・トラボルタと2度目の共演を果たした
ミュージカルコメディ『ザナドゥ』のパートです。
高校時代、映画こそ見に行かなかったけれど、
ラジオでこれらのヒットナンバーを体感していた時期の曲で、
ステージも非常に楽しかったです。
オリジナルではクリフ・リチャードとのデュエットである
『恋の予感』は、現在の彼女のボイストレーナーでもある、
スティーヴさんとの美しいハーモニーで素敵でした。
5.A Little More Love (愛は魔術師(マジシャン))
アルバム『さよならは一度だけ(Totally Hot)』(1978)
6.Sam (サム)
アルバム『たそがれの恋(Don't Stop Believin')』(1976)
7.Make A Move On Me (ムーヴ・オン・ミー)
アルバム『虹色の扉(Physical)』(1981)
彼女の代表的ヒットナンバーが続きます。
『サム』は美しいバラードで、
ちょうど直前に聴いていたラジオ番組の中で、
解説の方がこの曲が特に好きだといわれていたのがよくわかる
しっとりしたステージでした。
8.If Not For You (イフ・ノット・フォー・ユー)
アルバム『If Not For You』(1971)(オリジナル:ボブ・ディラン)
9.Let Me Be There (レット・ミー・ビー・ゼア)
アルバム『Let Me Be There』(1973)
10.Please Mr. Please (プリーズ・Mr.プリーズ)
アルバム『そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)』(1975)
11.Take Me Home, Country Road (カントリー・ロード(故郷に帰りたい))
アルバム『Let Me Be There』(1973)
12.Banks Of The Ohio (バンクス・オヴ・ジ・オハイオ)
アルバム『If Not For You』(1971)(作者不詳スタンダード曲)
13.If You Love Me, Let Me Know (愛しい貴方)
アルバム『If You Love Me, Let Me Know』(1974)
「カントリーミュージックはお好き?」というオリビアの声とともに、
バンドがアコースティックなスタイルで立て続けに演奏されるカントリーパート。
彼女の最初の全米トップ40ヒットである『イフ・ノット・フォー・ユー』。
ボブ・ディランがオリジナルで、最初はジョージ・ハリスンに歌われた曲であると
ステージでも伝えてくれました。
そして、日本でも最も人気のあるナンバーともいえる、
『カントリー・ロード』は口ずさむ人多数。
こちらもジョン・デンバーがオリジナルのカバー曲ですが、
日本でのシングルリリース時には、
朝のテレビ番組のテーマ曲に使われたことでヒットしたんですよね。
ジブリ映画『耳をすませば』での日本語カバーでもおなじみです。
のちにポップスターとして花開く彼女も、
アメリカ人でないにもかかわらず、アメリカのカントリーソングが大好きで、
そこからシンガーとしての道を切り開いたことがうかがわれる
楽しいステージでした。
1976年日本での初コンサート時のかわいらしい彼女の『カントリー・ロード』
カントリーメドレーが終わった後も、
バンドがそのままのスタイルで、
ステージもバンドが集まる場所にスポットが当たるだけ。
アコースティックギターと、メロウなピアノの音色のもと、
ちょっとボサノバチックに歌い始めたオリビア。
あれ?
この曲をこんなアレンジで・・・と思っていたら、
「・・・ねえ、やっぱりこの曲はロックンロールで聴きたいでしょ?」
というオリビアの掛け声とともに、
一気に照明が華やかに、バンドが派手に演奏を始め、
それとともに、観客総立ちとなりました。
14.Physical (フィジカル)
アルバム『虹色の扉(Physical)』(1981)
1981年から82年にかけて、全米10週間No.1を記録した、
彼女にとって最大のヒット曲(1980年代集計でもNo.1ヒット)。
歌詞の意味深な感じやちょっとエロチックな雰囲気、
レオタード姿でのPVも話題になったこの曲。
次の動画にこのときの雰囲気が出ています。
ショー前半の最大の盛り上がりとなったこのステージ。
実のところ、最初のボサノバチックな『フィジカル』も聴きたかったなと思っていたら、
こんな動画もありました。
2012年、オーストラリアの管弦楽団とのコラボステージで、
この曲をフルでこのバージョンで歌ってました。
なかなか素敵です。
さて、ほどなく後半のステージへ。
オリビアが『私の大好きなルーツミュージック』として歌われたカバーパート。
15.Cry Me A River (クライ・ミー・ア・リヴァー)
アーサー・ハミルトン作、ジュリー・ロンドンの歌で知られる
16.Send In The Crowns (悲しみのクラウン)
ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』のために書かれた曲
オリビアが学生時代バンドを組み、
バーなどで歌っていたころに好きだった『クライ・ミー・ア・リヴァー』や、
シンガーとして活躍し始めたころに好きになったという『悲しみのクラウン』。
ここで、これまで気づかなかった彼女の円熟味というか、
声の凄みを感じたのでした。
昔からステージでも歌ってきたと思われるのですが、
66歳の今だからこそ聴けた、感動的なステージでした。
17.Not Gonna Give Into It (心の誓い)
アルバム『ガイア~新たなる旅立ち~(Gaia)』(1994)
80年代後半に一時音楽界を離れ、最初の結婚と出産を経験、
その後、乳がんが発覚して手術を行い、無事成功したものの、
精神的に落ち込んでいた彼女を救ったのが音楽。
そして再び新しい歌を歌っていこうと作られた1994年作品。
これまでの彼女にはなかった民族音楽的アプローチをもった
ダイナミックなナンバーです。
彼女のステージのバックスクリーンにも自然の雄大な映像が映し出されていました。
『ガイア』というのは、自然保護を目的に作られた、
彼女がオーナーを務めるオーストラリアのリゾート施設の名前にもなっています。
18.Look At Me, I'm Sandra Dee (私はサンドラ・ディー)
19.You're The One That I Want (愛のデュエット)
20.Hopelessly Devoted To You (愛すれど悲し)
21.Summer Nights (想い出のサマー・ナイツ)
22.We Go Together (ウィ・ゴー・トゥゲザー)
サウンドトラック『グリース(Grease)』(1978)
そして、1978年、彼女が女優として初の大ヒットを記録した
ミュージカル映画『グリース』のパート。
ジョン・トラボルタとの名コンビを生み出した映画でもあり、
ジョンとのデュエットや出演者たちとうたうナンバーが
このステージでも繰り広げられました。
彼女にとって3曲目の全米No.1ヒットとなった、
『愛のデュエット』で再びスティーブとのデュエット。
ここで再び観客総立ちとなりました。
4人で歌うステージでも、バックコーラスのウォーレン、マーレンが
ステージ前に登場してオリビアとの楽しい掛け合いを
披露してくれました。
23.Grace And Gratitude (グレイス・アンド・グラティテュード)
アルバム『Grace And Gratitude』(2006)
心の癒しをテーマに制作された、
オリジナル作品としては最新のアルバムタイトル曲。
『グリース』のステージから一転。
ドレス姿のオリビアが心優しく歌い上げるステージでした。
24.I Honestly Love You (愛の告白)
アルバム『とこしえの愛(Long Live Love)』(1974)
ブログ記事(2010.2.11)
そして、本編のラスト。
以前ブログでも取り上げた彼女にとって思い出深い、
初の全米No.1ソングであり、彼女が最も好きなナンバー。
ステージで彼女が同郷であり、この曲の作者であるピーター・アレンを誇りに思い、
今も彼に感謝していると話してくれました。
★アンコール
25.Over The Rainbow (虹の彼方に)
ミュージカル『オズの魔法使い』ジュディ・ガーランドの歌で知られる
アンコールにこたえて再びステージに現れた彼女。
「もう一曲聴きたい?」
とともに、誰もが知るスタンダードナンバーのこの曲を、
ピアノとのシンプルなステージで、
これも好きな曲なんだろうなと思いながらうっとりと聴き入ってました。
彼女は最後の最後まで妖精のままでした。
彼女を知って約40年後に初めて見た彼女のステージ。
ポール・マッカートニーの時もそう思ったのですが、
まさか彼女のステージを見ることになるとは、
全く予想もしていなかったんです。
活躍の時期がコンサートに足を運ぶことをしていなかった時期であったし、
長きにわたって独自の活動を続けていて、
最初にも書いた通り、
意外とコンサートでの来日が少なかったこともあるのかもしれません。
ただ、今年初めに彼女の来日コンサートが行われるニュースを知った時に、
これは行かなくてはと本能的に思って申し込んだんです。
ちなみにポールのコンサートは、
すでにオリビアライブ予約済みになった後に発表されたもので、
日程がかぶっているところもあってあわてたものの、
結局両方に行けたことで、本当に幸せな気分を味わえました。
ちなみにちょっと気づいたことを。
ポールのコンサートを見た2日後のこの日。
直前に何気なくネットでポールに関するニュースを見ていたところ、
「ボクはステージでは水を飲んだりしないよ。かっこ悪いから。」
そういわれると、あのアンコールまでの31曲、2時間以上のステージで、
ポールがステージから消えることが一回もなく、
ステージ狭しと歩き回り、ひきまわり、休んでる様子が全然なかったんですよね。
そうやって意識はしてみてなかったけど、確かに水を飲んでる雰囲気もなかったかな。
それに対してオリビアは、途中ほぼ1曲ごとにお水飲んでる感じでしたね。
ステージの最初のほうでは乾杯もしてましたし。
(オリビアの名前の付いたワインがあって、会場でも売られてたんですよね。
ステージではワインは飲んでないと思いますが・・・)
72歳のポール・マッカートニーと66歳のオリビア・ニュートン・ジョン。
短期間に2つの素敵なステージを見られて本当に幸せだったし、
生きていく力ももらったような気がしています。
この先も行ける、行きたいと思うコンサートにはできるだけ行けたらなと思ってます。
さて、そんなところで、
実は昨年10月2日に行ったコンサートの報告をまだしてませんでした。
次回記事では、思い出という形にもなるかと思いますが、
可能な限り思い出しながらその時のコンサートレポートをしたいと思います。
さらに、
先ごろ偉大なブルースシンガーが亡くなったニュースを耳にし、
1980年代にアイルランドを代表するロックバンドのコンサートに
スペシャルゲストとして登場したライブの思い出も
その後の記事で書いていきたいと思ってます。
Have You Never Been Mellow/Olivia Newton-John
¥3,074
Amazon.co.jp
ポール・マッカートニーのステージに酔いしれてからわずか2日後、
4月27日の月曜日、今度は渋谷のBunkamuraオーチャードホールに向かいました。
『オリビア・ニュートン・ジョン Japan Tour 2015』
こちらも、前週からすでに大阪、名古屋とすでにステージが進んでいて、
この日から東京での3回のコンサート、
さらに、5月2日には『Pray For Fukushima』というタイトルで、
初の福島公演を行いました。
Bunkamuraオーチャードホールは、
2012年3月のシンディ・ローパーコンサート以来でしたが、
1階の後方の席であったとはいえ、
東京ドームのあの距離感からすると、
ステージ上の人物もしっかり見られるステージです。
ポールの東京ドームの時と異なり、
こちらは、ステージのスマホ撮影ができなかったので、
ステージ、ライブの画像はありません。
(本当はそれが普通だったんだけどね・・・)
オリビア自身にとっては、2010年以来5年ぶりの来日公演です。
1972年にクリフ・リチャードのバックコーラスとして初来日以来、
プロモーデョンや音楽祭、チャリティーなどで何度も来日している彼女ですが、
純粋に彼女自身のコンサート来日というのは、
意外にもまだ6回目なんですよね。
人気絶頂期の70年代後半から80年代というのは、
シンガーとしてだけでなく、女優としての活動もさかんだったし、
80年代後半から結婚、出産、乳がん治療、環境保護活動など、
音楽から距離を置いていた時期もあったりして、
彼女がライブ活動を盛んに行うようになったのは、
90年代後半に入ってからでした。
そんな彼女が、昨年からラスベガスのフラミンゴホテルで
常設公演として続けている『サマー・ナイツ(Summer Nights)』が
この度ライブアルバムとしてリリースされました。
サマー・ナイツ~ライヴ・イン・ラスベガス/オリビア・ニュートン・ジョン
¥3,500
Amazon.co.jp
オリビアの代表的ヒットナンバーとともに、
彼女のルーツとなっている大好きなカバー曲を織り込んだ構成で、
今回の来日コンサートでも、
このライブでのセットリストとほぼ同じ内容のものでした。
ということで、午後7時若干過ぎ。
ポールの1時間押しとは違って、
ほぼ定刻通りにバンドメンバーがステージ入り。
そして、『愛の告白』をアレンジしたサウンドにのせて、
黒いスーツ姿のオリビアが登場。
1曲目はボクにとっても思い出深いこの曲でスタート。
1.Have You Never Been Mellow (そよ風の誘惑)
アルバム『そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)』(1975)
①1975年、リリース年のステージから。
懐かしい、当時のかわいいオリビアです。
②昨年から続いている、ラスベガス・フラミンゴホテルでのステージから。
今回もこのスタイルで歌われました。
☆Olivia Newton John "Have You Never Been Mellow"
from the album "Have You Never Been Mellow"
1975年Billboard Hot100 最高位1位(3/8付)
There was a time when I was in a hurry as you are
I was like you
There was a day when I just had to tell my point of view
I was like you
Now I don't mean to make you frown
No, I just want you to slow down
>> あなたみたいにあくせくしていた時もあったわ
>> そう、あなたみたいにね
>> ただ自分の意見を押し付けようとしていた日々もあったわ
>> そう、あなたみたいにね
>> ねえ、あなたを困らせようとしていたつもりじゃないのよ
>> ちがうの、ただゆっくり落ち着いてほしいだけなの
Have you never been mellow?
Have you never tried to find a comfort from inside you?
Have you never been happy just to hear your song?
Have you never let someone else be strong?
>> 穏やかな気持ちになったことってない?
>> 心の中に安らぎを求めようとしてみない?
>> 自分で歌った歌で幸せな気分になったことってない?
>> ほかの誰かを力づけようとしてみない?
Running around as you do with your head up in the clouds
I was like you
Never had time to lay back, kick your shoes off, close your eyes
I was like you
Now you're not hard to understand
You need someone to hold your hand
>> 雲の中に頭を突っ込んであなたみたいに思いをぐるぐる巡らせていたわ
>> そう、あなたみたいにね
>> 靴を脱ぎ捨てて、瞳を閉じて、心を落ち着けている時間なんてなかったわ
>> そう、あなたみたいにね
>> ねえ、難しく考えることじゃないのよ
>> あなたには手を携えてくれる誰かが必要なの
Have you never been mellow?
Have you never tried to find a comfort from inside you?
Have you never been happy just to hear your song?
Have you never let someone else be strong?
>> 穏やかな気持ちになったことってない?
>> 心の中に安らぎを求めようとしてみない?
>> 自分で歌った歌で幸せな気分になったことってない?
>> ほかの誰かを力づけようとしてみない?
1975年、このライブの本編ラストに演奏された、
『愛の告白(I Honestly Love You)』に続く2曲目の全米No.1ヒットです。
このヒットをきっかけに日本でもオリビアの人気に火が付き、
翌年、初めての来日コンサートを開いたことで、
一気に人気爆発となっていきました。
ボクが彼女を知るきっかけは、ここから少し遅れるのですが、
1978年、ボクが高校に入学した年のことです。
(それ以前にテレビラジオで聴いてはいたと思うのですが、
あまり覚えてなかったと思います)
父が安いコンポを買ってきて、
このとき初めて我が家にレコードプレーヤーが置かれたのでした。
(それまではボク個人でラジカセしかなかったですから)
主に父母が聴く、ジャズ、クラシック物のレコードが中心でしたが、
同時に父が気に入って、カーペンターズとともに、
オリビアの3枚のシングル盤を買ってきたのです。
それが、
『ジョリーン(Jolene)』
『たそがれの恋(Don't Stop Believin')/カントリー・ロード』
そしてこの『そよ風の誘惑』でした。
このころ直接父にどういうところが気に入ってたのかを
直接聞くことはなかったのですが、
おそらくオリビアの澄んだ優しい歌声に魅かれたのでしょうね。
ボクも同じくして彼女の魅力にひかれました。
このころからラジオでの洋楽番組でも、
オリビアの曲を頻繁に耳にするようになったのですが、
当時は意味が分からずとも、
この『そよ風の誘惑』タイトルのような素敵なラブソングなんだろうと
想いながら聴いてたんですよね。
(今思うとシングル盤の歌詞カードもついてたはずなのに、
ほとんど見てなかったのがわかります)
タイトルにも使われている、mellowという言葉は、
熟した、芳醇な、穏やか。。といった意味で、
訳詞を見ても、『そよ風の誘惑』というよりは、
大事な人を労り、もっと心穏やかにいてほしいという願いが歌われているんですね。
ちなみに、やはりこの1978年、
南沙織が尾崎亜美作の『春の予感~I've Been Mellow』という曲をヒットさせていて、
この曲が化粧品会社のCMソングであったことから、
メロウという言葉が流行したというのも、
この曲とマッチして印象深かったように覚えてます。
リリースから40年が経った今年、
この曲を歌う66歳の彼女は、まさに変わらず美しく、
チャーミングで心豊かになる、「メロウ」なステージの始まりでした。
だいぶ1曲目で長くなってしまったので、
ここから続けてパートごとにセットリストを紹介していきます。
2.Xanadu (ザナドゥ)
3.Magic (マジック)
4.Suddenly (恋の予感)
サウンドトラック『ザナドゥ(Xanadu)』(1980)
※『ザナドゥ』ブログ記事(2010.10.21)
1980年、彼女がジョン・トラボルタと2度目の共演を果たした
ミュージカルコメディ『ザナドゥ』のパートです。
高校時代、映画こそ見に行かなかったけれど、
ラジオでこれらのヒットナンバーを体感していた時期の曲で、
ステージも非常に楽しかったです。
オリジナルではクリフ・リチャードとのデュエットである
『恋の予感』は、現在の彼女のボイストレーナーでもある、
スティーヴさんとの美しいハーモニーで素敵でした。
5.A Little More Love (愛は魔術師(マジシャン))
アルバム『さよならは一度だけ(Totally Hot)』(1978)
6.Sam (サム)
アルバム『たそがれの恋(Don't Stop Believin')』(1976)
7.Make A Move On Me (ムーヴ・オン・ミー)
アルバム『虹色の扉(Physical)』(1981)
彼女の代表的ヒットナンバーが続きます。
『サム』は美しいバラードで、
ちょうど直前に聴いていたラジオ番組の中で、
解説の方がこの曲が特に好きだといわれていたのがよくわかる
しっとりしたステージでした。
8.If Not For You (イフ・ノット・フォー・ユー)
アルバム『If Not For You』(1971)(オリジナル:ボブ・ディラン)
9.Let Me Be There (レット・ミー・ビー・ゼア)
アルバム『Let Me Be There』(1973)
10.Please Mr. Please (プリーズ・Mr.プリーズ)
アルバム『そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)』(1975)
11.Take Me Home, Country Road (カントリー・ロード(故郷に帰りたい))
アルバム『Let Me Be There』(1973)
12.Banks Of The Ohio (バンクス・オヴ・ジ・オハイオ)
アルバム『If Not For You』(1971)(作者不詳スタンダード曲)
13.If You Love Me, Let Me Know (愛しい貴方)
アルバム『If You Love Me, Let Me Know』(1974)
「カントリーミュージックはお好き?」というオリビアの声とともに、
バンドがアコースティックなスタイルで立て続けに演奏されるカントリーパート。
彼女の最初の全米トップ40ヒットである『イフ・ノット・フォー・ユー』。
ボブ・ディランがオリジナルで、最初はジョージ・ハリスンに歌われた曲であると
ステージでも伝えてくれました。
そして、日本でも最も人気のあるナンバーともいえる、
『カントリー・ロード』は口ずさむ人多数。
こちらもジョン・デンバーがオリジナルのカバー曲ですが、
日本でのシングルリリース時には、
朝のテレビ番組のテーマ曲に使われたことでヒットしたんですよね。
ジブリ映画『耳をすませば』での日本語カバーでもおなじみです。
のちにポップスターとして花開く彼女も、
アメリカ人でないにもかかわらず、アメリカのカントリーソングが大好きで、
そこからシンガーとしての道を切り開いたことがうかがわれる
楽しいステージでした。
1976年日本での初コンサート時のかわいらしい彼女の『カントリー・ロード』
カントリーメドレーが終わった後も、
バンドがそのままのスタイルで、
ステージもバンドが集まる場所にスポットが当たるだけ。
アコースティックギターと、メロウなピアノの音色のもと、
ちょっとボサノバチックに歌い始めたオリビア。
あれ?
この曲をこんなアレンジで・・・と思っていたら、
「・・・ねえ、やっぱりこの曲はロックンロールで聴きたいでしょ?」
というオリビアの掛け声とともに、
一気に照明が華やかに、バンドが派手に演奏を始め、
それとともに、観客総立ちとなりました。
14.Physical (フィジカル)
アルバム『虹色の扉(Physical)』(1981)
1981年から82年にかけて、全米10週間No.1を記録した、
彼女にとって最大のヒット曲(1980年代集計でもNo.1ヒット)。
歌詞の意味深な感じやちょっとエロチックな雰囲気、
レオタード姿でのPVも話題になったこの曲。
次の動画にこのときの雰囲気が出ています。
ショー前半の最大の盛り上がりとなったこのステージ。
実のところ、最初のボサノバチックな『フィジカル』も聴きたかったなと思っていたら、
こんな動画もありました。
2012年、オーストラリアの管弦楽団とのコラボステージで、
この曲をフルでこのバージョンで歌ってました。
なかなか素敵です。
さて、ほどなく後半のステージへ。
オリビアが『私の大好きなルーツミュージック』として歌われたカバーパート。
15.Cry Me A River (クライ・ミー・ア・リヴァー)
アーサー・ハミルトン作、ジュリー・ロンドンの歌で知られる
16.Send In The Crowns (悲しみのクラウン)
ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』のために書かれた曲
オリビアが学生時代バンドを組み、
バーなどで歌っていたころに好きだった『クライ・ミー・ア・リヴァー』や、
シンガーとして活躍し始めたころに好きになったという『悲しみのクラウン』。
ここで、これまで気づかなかった彼女の円熟味というか、
声の凄みを感じたのでした。
昔からステージでも歌ってきたと思われるのですが、
66歳の今だからこそ聴けた、感動的なステージでした。
17.Not Gonna Give Into It (心の誓い)
アルバム『ガイア~新たなる旅立ち~(Gaia)』(1994)
80年代後半に一時音楽界を離れ、最初の結婚と出産を経験、
その後、乳がんが発覚して手術を行い、無事成功したものの、
精神的に落ち込んでいた彼女を救ったのが音楽。
そして再び新しい歌を歌っていこうと作られた1994年作品。
これまでの彼女にはなかった民族音楽的アプローチをもった
ダイナミックなナンバーです。
彼女のステージのバックスクリーンにも自然の雄大な映像が映し出されていました。
『ガイア』というのは、自然保護を目的に作られた、
彼女がオーナーを務めるオーストラリアのリゾート施設の名前にもなっています。
18.Look At Me, I'm Sandra Dee (私はサンドラ・ディー)
19.You're The One That I Want (愛のデュエット)
20.Hopelessly Devoted To You (愛すれど悲し)
21.Summer Nights (想い出のサマー・ナイツ)
22.We Go Together (ウィ・ゴー・トゥゲザー)
サウンドトラック『グリース(Grease)』(1978)
そして、1978年、彼女が女優として初の大ヒットを記録した
ミュージカル映画『グリース』のパート。
ジョン・トラボルタとの名コンビを生み出した映画でもあり、
ジョンとのデュエットや出演者たちとうたうナンバーが
このステージでも繰り広げられました。
彼女にとって3曲目の全米No.1ヒットとなった、
『愛のデュエット』で再びスティーブとのデュエット。
ここで再び観客総立ちとなりました。
4人で歌うステージでも、バックコーラスのウォーレン、マーレンが
ステージ前に登場してオリビアとの楽しい掛け合いを
披露してくれました。
23.Grace And Gratitude (グレイス・アンド・グラティテュード)
アルバム『Grace And Gratitude』(2006)
心の癒しをテーマに制作された、
オリジナル作品としては最新のアルバムタイトル曲。
『グリース』のステージから一転。
ドレス姿のオリビアが心優しく歌い上げるステージでした。
24.I Honestly Love You (愛の告白)
アルバム『とこしえの愛(Long Live Love)』(1974)
ブログ記事(2010.2.11)
そして、本編のラスト。
以前ブログでも取り上げた彼女にとって思い出深い、
初の全米No.1ソングであり、彼女が最も好きなナンバー。
ステージで彼女が同郷であり、この曲の作者であるピーター・アレンを誇りに思い、
今も彼に感謝していると話してくれました。
★アンコール
25.Over The Rainbow (虹の彼方に)
ミュージカル『オズの魔法使い』ジュディ・ガーランドの歌で知られる
アンコールにこたえて再びステージに現れた彼女。
「もう一曲聴きたい?」
とともに、誰もが知るスタンダードナンバーのこの曲を、
ピアノとのシンプルなステージで、
これも好きな曲なんだろうなと思いながらうっとりと聴き入ってました。
彼女は最後の最後まで妖精のままでした。
彼女を知って約40年後に初めて見た彼女のステージ。
ポール・マッカートニーの時もそう思ったのですが、
まさか彼女のステージを見ることになるとは、
全く予想もしていなかったんです。
活躍の時期がコンサートに足を運ぶことをしていなかった時期であったし、
長きにわたって独自の活動を続けていて、
最初にも書いた通り、
意外とコンサートでの来日が少なかったこともあるのかもしれません。
ただ、今年初めに彼女の来日コンサートが行われるニュースを知った時に、
これは行かなくてはと本能的に思って申し込んだんです。
ちなみにポールのコンサートは、
すでにオリビアライブ予約済みになった後に発表されたもので、
日程がかぶっているところもあってあわてたものの、
結局両方に行けたことで、本当に幸せな気分を味わえました。
ちなみにちょっと気づいたことを。
ポールのコンサートを見た2日後のこの日。
直前に何気なくネットでポールに関するニュースを見ていたところ、
「ボクはステージでは水を飲んだりしないよ。かっこ悪いから。」
そういわれると、あのアンコールまでの31曲、2時間以上のステージで、
ポールがステージから消えることが一回もなく、
ステージ狭しと歩き回り、ひきまわり、休んでる様子が全然なかったんですよね。
そうやって意識はしてみてなかったけど、確かに水を飲んでる雰囲気もなかったかな。
それに対してオリビアは、途中ほぼ1曲ごとにお水飲んでる感じでしたね。
ステージの最初のほうでは乾杯もしてましたし。
(オリビアの名前の付いたワインがあって、会場でも売られてたんですよね。
ステージではワインは飲んでないと思いますが・・・)
72歳のポール・マッカートニーと66歳のオリビア・ニュートン・ジョン。
短期間に2つの素敵なステージを見られて本当に幸せだったし、
生きていく力ももらったような気がしています。
この先も行ける、行きたいと思うコンサートにはできるだけ行けたらなと思ってます。
さて、そんなところで、
実は昨年10月2日に行ったコンサートの報告をまだしてませんでした。
次回記事では、思い出という形にもなるかと思いますが、
可能な限り思い出しながらその時のコンサートレポートをしたいと思います。
さらに、
先ごろ偉大なブルースシンガーが亡くなったニュースを耳にし、
1980年代にアイルランドを代表するロックバンドのコンサートに
スペシャルゲストとして登場したライブの思い出も
その後の記事で書いていきたいと思ってます。
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