おはようございます
「一陽来復」から3か月、陰陽の気がちょうど半々になる春分の日も過ぎて、これからは夏至に向かって、日一日と陽気が強くなっていきます。暦の上では春真っ盛り。今日は冷たい雨が降ってますけどね。
「一陽来復」でご紹介した『鍼灸治療のための易経入門』、ぽちぽちとですが読み始めました。実は、4月からまた別の鍼灸学校で教えることになり、西洋医学系の科目を勉強しなおさないといけないんですけど、それがけっこう大変なので、ちょっとした現実逃避です(笑)。
著者の小林詔司先生は、序章の中で、『易経』は占いのための書物だけれど、単に「運勢の吉凶を漫然と占うものではありません」とおっしゃっています。ならば、占うとはどういうことか、何を占うのか、なぜ『易経』で占うことができるのか、次のようにおっしゃっています。
① 占うとは?
「この世を動かしている見えない力に知りたいことを問いかけ、答のヒントを伺う」こと
② 何を占うことができるか?
「その人が本当に知りたいと思うことであって、しかも調べ尽くしてもわからない事物や事柄のすべて」
③ どうして占うことができるのか?
「『易経』が、この世に見える世界と見えない世界のあることを前提としているから」で、言葉を変えれば、「見える世界は見えない世界の力で成り立っていることを、『易経』は知っているから」
「見えない世界」と聞くと、何だか怪しい雰囲気に感じられちゃうかもしれませんけど、小林先生は、「見える世界」をリンゴ、「見えない世界」を万有引力に例えていらっしゃいます。ふむふむ、なるほど。
人体で言えば、細胞そのものは「見える世界」で、細胞の働きや作用が「見えない世界」ってことですかね。いや、もっと大きいかな。DNAに刻まれた細胞活動のプログラムを発現させる力とか、今の人体をデザインした進化の力とか?
「見えない力とその力によって存在している見える世界とは一体であって、分けて考えることはできません。この見えない力はまったく見えないものですから、見える世界から想像してのみ、その存在は知られるのです。」
分子生物学とか電子顕微鏡とかがなかった時代の思想ですから。現代でもなお、宇宙の成り立ちでも、人体の活動でも、わからないことはたくさんあるんだから、当時、世界はいろんな不思議に満ちていた。それを理解しようとしたとき、見えない力があると考えたんでしょうね。
ということで、『易経』では、「太極は存在するすべてのものに共通する原点」とされています。そして、「すべてのものに共通している見えるという現象を太極の陽とし、それを支える見えない力を太極の陰としています。」
見えるものが太極の陽で、見えない力が太極の陰。これが陰陽の根源だったんですね。根源的で絶対的な陽と陰を合わせたのが太極。
でも、陰陽ってほかにもいろいろあるじゃん。そうそう、このブログでも東洋医学講座のNo.2 ・No.3とか、「あらためて、陰陽って何?」とかで書いてるじゃん。そうですよねぇ。
世の中のさまざまな事物・事象を陰陽に分けたときは、太極の陰陽とは区別して、相対的な陰陽関係ととらえるんです。だって、そういうときって、比較対照してるでしょ?
その例として、小林先生はソメイヨシノとヤエザクラを挙げていらっしゃいます。花弁の数で見たとき、八重のヤエザクラが陽で、一重のソメイヨシノは陰です。これが相対的な陰陽ね。
ところが、桜でくくれば、あるいは植物としてくくれば、ソメイヨシノもヤエザクラも植物であり桜です。なので、この場合の太極(根源的で絶対的な陰陽)は、桜であり植物であるってことですね。
一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。
ツバキ
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