血圧を調整するツボ 人迎 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます 

先日、「気温がぐっと下がったら、急な血圧上昇に気をつけて」で、ブログネタとなった姉の友人、一夜明けた日曜の朝は、本人曰く「絶好調♪」だったそうです。ホントに大事に至らず、よかった、よかった♪

ふだんは元気いっぱいで、テンション高めのタイプ。寒い雨の日に、「寒さをまったく感じなかった」と言い切るほど、昼間から緊張と興奮で上気してたんですね。夜になって、緊張感マックスで交感神経バリバリ、血圧急上昇という結果に。

彼女への施術で使った人迎(じんげい)というツボへの刺鍼は、鍼灸治効研究の第一人者であり、『鍼灸真髄』や『鍼灸治療基礎学』など多くの著書を残された代田文誌(しろたぶんし)先生が、人迎が解剖学的に頸動脈洞の位置にあるため、「頸動脈洞刺鍼(洞刺)」と名づけた方法。

頸動脈洞の血管壁には、血圧をチェックするセンサー(圧受容器)があります。このセンサーは、血圧が通常より高くなると血圧を下げる方向に、逆に低くなると血圧を上げる方向に、自律神経反射を起こして、脳への血液供給が一定になるように保ちます。そう、ふだんなら圧受容器の働きで、自動的に血圧が調節されるはず。

でも、今回の彼女のように、興奮状態に入ってると、センサーが鈍るというか、自律神経が正常に反応しなくなることがあります。だから血圧が高いままになってしまう。そこで、センサーを刺激して、自律神経反射を呼び起こす。それが洞刺(どうし)なんです。

ところがですね、これが押圧するだけでも反応するんだなぁ…。鍼を刺すときって、ツボの位置をさぐるために、必ず指で軽く押圧します。だから、実はどっちが効いてるのか、はっきりしないの。鍼灸師としては、どっちも効いてると思ってますけど…。代田先生の報告は刺鍼だったし…。

☆ ツボの位置

 

人迎は前頸部にあって、↑上図の青●になります。甲状軟骨上縁の高さで、胸鎖乳突筋の前縁、動脈の拍動が感じられるところにあります。男性なら、喉頭隆起(のどぼとけ)の両外側あたり。

☆ 効用

先に書いたように、血圧を調節します。高ければ下げる、低ければ上げる。ですから、血圧異常に伴う頭痛やめまいなどにも効用があり、ほかに、ツボの位置的な関係で、喘息、のどのはれや痛み、嚥下困難、しゃがれ声、甲状腺腫大などにもよいとされています。

古典では、禁灸穴、すなわちお灸をしてはいけないツボとされていたせいか、人迎を使った治療法の記載はほとんどないようです。禁鍼穴にはなっていませんが、鍼を刺すにも注意が必要とされています。頸動脈がある場所ですから。

そんなツボを使おうと思った代田先生ってすごいなぁ…。先生の報告が学会で発表された後、続々と追試の結果が報告されたとのこと。それで、↑上記のような効用があるとわかってきたんですね。

洞刺には、刺す深さや方向など気を使いますが、解剖学で構造がわかっている今は、昔ほどの危険性はありません。それに、動脈は太くて弾力が強く、そうそう鍼が刺さるものでもないんです。

☆ 手当のしかた

血圧の調整には、片手の親指と人差し指で、30秒ほど左右の人迎を軽く指圧します。のどの炎症には、同じく親指と人差し指でツボを軽く押さえながら20~30回もみほぐすか、親指と人差し指で皮膚を20~30回軽くつまんで発赤させます。

一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。

 
ネコヤナギ
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