これまでのお話
長男である弟と、私の夫に納屋の片付けを手伝ってもらうことになり、作業は再開した。
弟と夫は梯子をかけて納屋の2階に登り、ひたすら荷物を下におろした。
2階には、主に私達姉弟の、小学校からの教科書、ワーク、テスト、絵画などが一学年ずつ段ボールに分けられて収納されていた。
私も弟も人に見られるのは恥ずかしいので、自分の物は自分で片付けた
2階から降ろされた
書道の道具、水彩画の道具、テスト、テキスト、ワークブック、ノート。
なんで取っておいたのかな~と思う物ばかり。
小学生の頃の絵や工作も結構出てきた。
あの頃、天才的に上手いと思っていたそれらの私の作品は、今見ると見事なまでに下手くそだった
あの頃の私は、きっと最高傑作だと思ってこの納屋に保管したんだと思う。
今の私は美術が好きである。
子供の頃に、「自分は美術が得意だ。」と思い込んで、そのまま成長したからだ。
思い込みの自信って、大切だなと思った。
そしてこの歳まで、これらの作品を見つけていなかったことは、私にとって良いことだったんだと思った
小学生の頃の女友達とやっていた、交換日記も出てきた。
クラスの男子の悪口が書いてあった。
ちょーバツが悪い
速攻、捨てた
小学高学年の時に書いた
イラスト付きの恋のポエム
なんかも出てきた。
ちょー恥ずかしい
弟や夫に見られる前に、
狂ったようにビリビリに破いて
ゴミ袋に突っ込んだ
あー、恥ずかしかった。
自分で処分できて良かった
臭い表現を多用した作文も何枚もでてきた
この感情に訴える作文で、私は結構、賞を獲得していた。
今思うと、なかなかしたたかな小学生だと思った
中学生の時は割と優等生だったので、真面目に勉強した証が色々出てきた。
細かく記入したノート類を見た時は、「私って、結構頭良かったのかも。」と思った。
今は、その時学習したことは全て忘れたけど・・・
弟のものは、昔集めた漫画本や雑誌、野球やサッカー道具などが大量にでてきたようだ。
小学生最後の日に、そのまま納屋に突っ込まれたと思われる、プリント入りの埃まみれの黒いランドセルもでてきた。
すごい時が完全に止まっている
弟も、私と同じように「わー」とか「おー」とかリアクションしながら、ジャンジャン捨てていた。
弟の「ドカベン」全巻が出てきた時には、喜んでいた。
ただそれらは傷みが激しく、後日持ち込んだブックオフでは、引き取ってもらえなかったらしい
姉は遠方に住んでいるので片付けには参加できない。
その姉の物は、結構整理されて入っていた。
姉の恋のポエムは出てこなかった
ただ、西城秀樹とフィンガーファイブの切り抜きは荷物に紛れていた。
姉も、学生時代は一生懸命勉強した形跡を残していた。
私達姉弟の学生時代の物は、それこそ何十年もこの納屋の2階に保存されていた。
実は、私はずっとこれらが気がかりだった。
将来、業者さんやら自分の子供たちに、これら(特に恋のポエム)を見つけられて、ゲラゲラ笑われるのは避けたかった。
今回、納屋の掃除をし、リセットできて本当に良かった
私も弟も、本当に清々しい気持ちになった
ずっと昔母に、なぜ納屋にあんなにたくさん子供たちの物を残しておくのか訊いてみたことがある。
母は言った。
「それはね、将来あなたたちが有名になった時、テレビや雑誌の取材を受けるかもしれないからよ。
そういう時って、子供の頃の資料がよくテレビとかに出るじゃない。」
今回整理してみて思った。
良かった。私達、有名になるほど優秀じゃなくて。
そして、これらを世に出すこともなく、今回スッキリ処分できて本当に良かった
下手くそなイラストに添えた、あの臭い恋のポエムが世に出なくて本当に良かった。
そして恋のポエムの対象になった男子の顔は、今はもう思い出せない
(片付いた納屋の一部↑)
納屋の2階にあったものは、私と弟の過去の心の傷をえぐり、すこしセンチメンタルにさせて、
殆ど全てがゴミ処理場に消えていった。
私達姉弟、過去をリセットした気がした。
本当にすっきりして清々しい
そしてこの後・・・、夫の意外なものも納屋から発見されることになる。