これまでのお話

実家処分を決意するまで

実家をしまう  

 

実家をしまうにあたって、建物の解体のため解体業者さんに車庫解体の見積もりを依頼した。

 

そこで分かったことは、不用品や家具の処分をプロに任せると、そうとうなお金がかかるということだった。

 

実家が建ってから56年間、生活ごみ以外の荷物は全て保存してきたんじゃないかと思われる実家の片付けは、今後どのくらい時間がかかるのか想像もつかなかった。

母にはもう片付ける力はない。

 

長男である弟には、週末の片づけを頼もうと思う。

弟の家から実家までは結構遠いが、

今までも広大な庭の除草剤散布などをマメにしてくれていた。

 

しかし、私の夫には私の実家の片付けは頼みにくい。

 

なぜなら、夫に私の実家の片付けを手伝ってもらったら、私も夫の実家の片付けに協力しなくてはいけないような気がするからだ。

協力するのが嫌なわけではないが、到底期待に応えられそうもないのだ。

 

そもそも私は「オドオドのトロそうキャラ」である。

頼めば逆らわなさそうな雰囲気を持っている。

 

これまでの人生、このキャラのせいで、どれだけ高圧的なおじさまや女王様に色々命令されてきたことだろうか。

 

しかしこの見た目のわりに、しっかり自分の意見を言い返したりするので、大抵のおじさまと女王様にはキレられる。

見事なまでの切り返しで、女王様を怒りでプルプル震わせたこともある。

要は見た目に反して生意気な奴なのだ。

 

なので、義実家の片づけを手伝って波乱をおこしたくない。

夫の実家で、黙って機敏に気が利く働きができそうもない。

何か余計なことをしてしまいそうなのだ。

 

バリバリ、チャキチャキに仕事をされてきたお義母さまには、多分、トロい嫁として映っていると思う。

気が利く働きができない上に生意気なことを言って、お義母さまにがっかりされたくはない。

 

とにかくこれからは、嫁として目立たず、なるべく「そんな人いたっけ?」という、全く期待されない存在でありたい、と思う私だった。

もう嫁としての立場とか役割とか、そういうことから卒業したいのだ。

 

なので、自分の実家はなんとかするけど、義実家までは無理だと思うのであった。

 

そういうわけで、夫に手伝いを頼むのは申し訳ないし、借りを作るようで気が引ける。

 

アメリカ人たちは、「両親や家のことは、子供たちと家族でなんとかする。」というスタンスだった。

子供たちの配偶者は、義両親、義兄弟に対して特になんの世話もしない。

嫁という感覚がそもそもない。

 

なのでアメリカ生活をある程度経験した私達夫婦も、自分の両親と家のことは配偶者に頼らず、自分たち兄弟家族で何とかしようと、暗黙の了解を得てきた。

もちろん私も、弟のお嫁さんには頼らずに、実家と母のことは兄弟たちで何とかしようと思っている。

 

だから、実家をしまう作業がどれだけ大変であっても、夫には助けを求めまい、とずっと思っていた。

しかし、実家の荒廃具合は想像を絶し、段々そうも言っていられなくなっていくのだった。