2025年9月に物理サークル例会がありました。その、ごく私的な報告です。
冒頭のイラストは飯田さんのキャライラスト。雑誌『理科教室』に連載中のいきわく!物理製作委員会の著者プロフィール用のイラストです。
さて、最近、このブログサイロで例会の報告をしなくなっていたのですが、その理由は3つ。
1つめは、物理サークルのウェブサイトの例会報告がわりと早く掲載されるようになったこと。もともと以前のサークルウェブサイトの更新が非常に遅く、次の例会がある前日に更新されるなんてことが多かったのですね。それで、私的な報告でも、例会が終わって間もない状態でどんなことがあったのかをお知らせするのに、それなりの意味があるかなと思ったのです。
2つめは、ユーチューブチャンネル用に動画を撮るようになり、そのため写真を撮ることが減ったためです。動画から一場面を切り取って写真の代わりに載せることはできますが、手間がかかるので、以前のようにスピーディーに記録を書くことが難しくなってきたのです。
3つめは、個人的な理由で、物理サークルの記事だけでなく、このブログサイトの記事そのものを書く余裕が、とくにこの数ヶ月、なくなっていたことです。
今はサークルのウェブサイトは杉本さんが作るようになったので、その事情を話したところ、「いやいや、今はまた、なかなかすぐには更新できなくなってて、ぶっちゃけ、そちらのブログを参考にして書いてるんだ」・・・とのこと。
3つめの理由が少し解決してきたこともあり、杉さんの話を聞いて、また私的な報告を書いた方がいいのかな、と思うようになりました。
一月遅れですが、とりあえず、9月のごく私的な例会報告を書いていきます。
まだ余裕がたっぷりある、というわけではないので、少しずつですが。
こちらは実験ではなく、飯田さんのケプラーの法則に関する理論的な考察。黒板に書かれているのは、楕円軌道の長半径(楕円の長い方の差し渡しの距離の半分)aを用いて、ケプラーが第3法則を記述しているが、それはなぜそうなるのか、というのを説明するための図。
ぱっと見ただけではわかりませんが、ちゃんとした理由があり、自分の本に書いたという話。
その抜粋がこれ。
ケプラーの第2法則(面積速度一定の法則:1607年)から、面積速度hを求め、楕円の面積πabをhで割れば、周期Tが長半径aで決まる(T=2πa/v)、というのを説明しています。
飯田さんのさらなる疑問は、惑星の観測記録は当然地球から見た位置の記録であるということ。それを太陽から見た惑星の運動に変換してケプラーの法則が発見されたはずなので、すごく難しい計算だったはずで、どうやってケプラーはそんなことをやったのか、ということだそうです。
この時代の記録はもちろん、すべて地球から見た星星の位置の記録しかありませんし、それはプトレマイオスの時代からそうです。
プトレマイオスは地球中心に位置の変換をする必要はありませんでしたが、火星の逆行などの不可思議な現象を説明するために、惑星の軌道上に見えない球(周天球)があって惑星はそこに張り付いている、という苦しい説明をしました。
各惑星は周天球といっしょにくるくると自転しながら、地球の周りを公転している、という複雑なモデルです。コペルニクスが地動説を唱えたのも、「神がこんな複雑な宇宙を作るはずがない」という神学上の疑問からでした。
ケプラーが理論の柱とした惑星データは、ティコ・ブラーエが長年にわたり観測してきた、当時としては最高に精度の高い観測データでした。
ケプラー以前にも、さまざまな研究者が地動説、もしくは地動説と天動説の折衷案(この代表がティコです)で、惑星の運行モデルを考えていたので、飯田さんの疑問はケプラーただ一人の問題ではなく、当時の天文研究者に共通する問題でした。
科学はまだ黎明期なのでそんな時代にそんな複雑な計算ができたのか、という疑問は当然かもしれません。しかし、科学はともかく、数学の歴史は古代ギリシャの幾何学から続く長い歴史があるので、この時代の数学のレベルは現代のものと遜色ありません。
実際、ケプラーが第3法則を作るにあたっては、その少し前、1614年にスコットランドのジョン・ネイピアが「対数」(logというやつです)を発明しています。ケプラーはこのネイピアの対数を利用することで、第3法則を発見しています。(1619年)
ですから、飯田さんの疑問は、当時の数学レベルで考えれば、それほど難しい問題ではなかったと考えられます。(とはいえ、ケプラーのような、才能と、年がら年中計算し続ける根気がなければ無理だったでしょうが)
こちらは伊藤(広)さんの電磁誘導の実験。裸銅線で3つの豆電球をつなぎ、ICヒーターの上に置いて、電磁誘導で豆電球を光らせる実験です。真ん中に水の入ったステンレスの容器があるのは、ICヒーターの安全装置を働かせないため。この容器がないと、誘導電流が流れすぎることを危険と判断したICヒーターが働かないということ。利口だなあ。
伊藤さんは「銅線の電磁誘導で電圧が生じ、豆電球で電圧降下する。これの繰り返しで一周するので、回路を一周すると等電位になる」と。だから、豆電球無しで銅線だけにした場合は、銅線の抵抗が豆電球の電圧降下と同じことをするため、「銅線全体が等電位になる」との発表でした。
工学的にはそれでよいのでしょうが、理学的にはそれはおかしい、とぼく。
そもそも電位(スカラーポテンシャル)を定義できるのは静電場だけで、電磁誘導が起きているときの「電位」は、そもそも定義できません。
この実験に限らず、電磁誘導で生じる起電力を扱う場合に、同様な問題が生じます。高校の物理で定義する電磁誘導での「起電力」も、便宜的なものにすぎない、ということです。電磁誘導が起きているコイルの両端の「電位差」は本来定義できないので、電磁誘導による「電位差」と呼ばず、「起電力」と呼ぶことで矛盾を避けているわけですね。
これは、この実験で、銅線のない場合を考えれば明らかです。銅線がなくても、電磁誘導で円形の電気力線ができていますが、その電気力線に沿って「電位の高い方へ」進んでいくと、一周してもどの位置に戻ってしまいます。すると、同じ点が2つの電位を持つことになってしまうから、おかしくなるのです。しかも、これを何周も繰り返すと、同じ点が無数の電位を持つことになり、大いに矛盾してしまいます。これが、静電場のように「電位」を定義できない理由なのです。
風による浮遊実験。
ダイソンの羽のない扇風機で浮遊実験を試したというもの。
高価なダイソン扇風機をこんなふうに使うというのは、思いついてもなかなか実行できません。
扇風機の裏側を板で塞いだら浮かなくなるのではないかという意見が出され、さっそく、実験。
浮きました。
しかし、浮いている風船が、送風部分のヘリ近くまで来た途端、なぜか吸い込まれるように送風機の中へ。
いったい、何が起きているのでしょうか。
渦ではないか、など、いろいろと意見が出ましたが、はっきりとわかりません。みんなでやると、謎が深まりますね。
では、今回はこのへんで。
続きは、また。
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