物理サークル2024.2.18報告 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 2月18日(日)の物理サークルに行ってきました。

 最近はスギさんがサークルの呼びかけをやっています。ご苦労さま。

 

 

 最初はコレ。

 映画「ゴジラ−1.0」で見た実験。

 泡で包まれた物体の浮力が減少するという実験です。

 名古屋市科学館にも「ぷくぷくタンク」として展示されている実験。

 

 映画を見たあと、なんとかあの実験が簡単にできないかと思案していたのですが、100円ショップでペットボトル用のジョウロを見つけたので、お試しで作ってみました。でも、それに使えるホースは売ってなかったんですよね。

 そこで、昔100円ショップで買ったゴムチューブ式のエキスパンダーを解体すれば、ちょうどいいホースになるかなと試してみたところ、ドンピシャ。

 合わせて200円の装置です。

 

 装置の全体図はこちら。

 

 

 空気入れは水ロケット用に使っているものを使いました。

 泡が上昇するにつれ広がるので、細いペットボトルの中を泡が上昇するようにしました。

 ペットボトルの口元がそのままにしてあるので、アブクとともに動く水が細いペットボトル内で対流します。

 サークルで見せたところ、対流によって沈み込む分もあるのではないかと議論になりました。さっそく、このホースを水道に繋いで水だけを流したところ、たしかに対流によって沈み込む現象も見られました。

 

 泡による浮力現象だけを見る実験にするには、いくつか改良が必要です。

 

 思いついたものを列挙すると・・・

(1)泡を細かくして対流が起きにくくなるようにする。

(2)スーパーボールを細いペットボトルとほぼ同じ大きさにすることで、対流による沈み込みを防ぐ。

(3)細いペットボトルの口を切り取り、泡とともに上昇してきた水が細いペットボトルの外へ流れ出すようにする。(これにより、細いペットボトル内の水の動きは上昇だけになる)

 

 こんなところでしょうか。

 改良版ができたら、また紹介します。

 

 ところで、泡で浮力が減少する理論ですが、科学館の装置の説明は「泡がつく分だけ物体に接触している水が少なくなり、より深く沈むことで接触する水の量を元通りにする」というような感じ。これはどうかな〜。

 

 

 黒板の中央の図のように、泡が空気の層を作って物体を覆うので、泡の中を物体が落下するイメージの方が、実態にあっているように思います。

 今回のサークルでは、理論についてはあまり議論が深まらなかったので、また別の機会に。

 

 

 これはいわゆる「逆シャボン玉」ですね。洗剤の中で空気の膜に包まれた球体を作る実験です。

 普通のシャボン玉はシャボン液で空気を包むので、内側から外側へ向かって、空気→シャボン液の膜→空気となっています。

 逆シャボン玉はちょうどこの逆で、シャボン液→空気の膜→シャボン液となっています。

 

 

 通常の泡と違って、中に入っているのは空気でなくシャボン液です。

 

 

 この逆シャボン玉、今の生物教科書では当たり前のように載っているそうです。シャボン液の疎水基と親水基の構造を説明するのに最適な実験。

 詳しい説明は省きますが、上の黒板の図で、だいたいの理屈はわかると思います。

 

 

 こちらは、自然科学部の生徒の研究紹介。ちょうど実験室を出ていたので、このスライドしか撮影できませんでした。翼のない方がよく飛ぶんじゃないかというような話題だったかと思います。

 

 

 こちらは、昔岐阜の人たちが木で作った「ベルバラ」を、紙粘土で作ったというもの。木で作るのは大変ですが、紙粘土ならだれでも作れそうですね。

 

 

 これは磁石が鉄の壁にくっついて落ちてこないのは、はたして磁力のせいかどうか、という実験。磁力のせいかどうかをはっきりさせるために、鉄製のブックエンドと磁石の間に、鏡を入れています。

 上の写真は、鏡のざらざらの裏面を磁石側に向けた場合。

 鏡の向きを変えて、磁石側がなめらかなガラス面に変わると・・・

 

 

 このように、すとん、と落ちます。

 磁石が壁をずり落ちないのは摩擦力のせいだということがわかります。

 摩擦力は垂直抗力で決まり、垂直抗力は(この実験では)磁力で決まるので、磁力が磁石が壁をずり落ちない間接的な原因になっていることは間違いありません。しかし、より本質的なのは磁石と壁との摩擦力であり、同じ磁力でも壁の表面の状態がつるつるかざらざらかによって、摩擦力が変わるわけですから、「磁石が壁にくっついているのは磁力のせいではなく摩擦力のせい」といった方がよい、ということですね。

 

 

 こちらはアウトウッドの機械(滑車に重りを2つ、糸を介してぶら下げた装置)の実験です。

 理科教材として手に入る普通のプラスチック滑車だと、摩擦が大きくて理論通りになりません。

 そこで、滑車を自作したとのこと。

 

 

 なんと、この滑車、100円ショップのスピナーの重りを外し、それにプラスチックコップの口元の部分を切り取って2つ重ねてつくってあります。器用!

 しかし、剛性の問題で形がひずみ、思ったほどの性能は得られなかったとのこと。

 

 

 これは石川さんの「光電池」。

 音源につないで出力をアンプで増幅し、スピーカーから音楽を流す、というセットで使います。

 直接つなぐと、なぜか一定の電流が流れています。化学電池にもなっているみたいですね。

 

 

 水波投影機で遠浅の海岸に見立てた「岸辺」に水波を送る実験。

 定規を斜めにして入れてありますが、この幅では遠浅海岸のモデルにはなっていないと思いました。

 

 ほかにもいろいろあったかと思いますが、サークルの間ずっと「海神作戦実験」の改良案を考えていたので、あまり記録を撮っていません。

 

 では、このくらいで。

 いずれ公開される物理サークルのサイトで詳細は報告を御覧ください。

 

 

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