物理サークル2024.6.8報告その1 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 本日、6月8日(土)は物理サークル例会の日。いつものメンバーに、最近、いきわく!物理製作委員会に顔を出すようになった浜松さんも参加。発表もしてくれました。

 例によって、ぼくのごく私的な報告ですので、ご了承を。より正確なサークル例会報告は、後に公表される物理サークルのウェブサイトをお待ち下さい。

 

 まず、ど初っ端は、伊藤政さんのハナノキの種の実験。

 

 

 

 これがハナノキの種。くるくるプロペラのように回りながら落下します。

 

 自然科学部の学生たちが、この落下を詳しく研究中という話でした。

 

 

 落下距離と時間を計測してグラフにしたもの。落下して少しすると、等速度運動になっていることがわかります。

 

 

 速度のグラフを作ってみても、ばらつきはあるものの、落下してちょっとしたら等速度運動になっていることがわかります。

 ばらつきがあるのは、一枚羽根で回転しているせいでしょうね。

 

 

 プロペラのように回転しているので、通常の空気抵抗以外に、揚力も受けているのではないかという視点での研究。どうやって揚力を見ればいいのか、というサジェッションがほしいとのこと。

 空気を吹き上げて種を回転させながら空中で静止させる実験(これも昔、伊藤さんが『いきいき物理わくわく実験』シリーズで発表したもの)を行い、そのときの回転数と、落下するときの種の回転数を比較すれば、揚力がどの程度かわかるのではないか、と発言したのは、ぼく。

 伊藤さんは、たぶん、どちらも回転数は同じだと思う、との答。

 わいわいと、みんなで議論しました。

 

 こちらは井階さん。

 有名な大根の問題の実験。「大根の重心の位置で大根を2つに切ると、それぞれの部分の重さは同じか異なるか」という問題。

 

 

 大根だと日持ちしないので、木材で大根形をつくったという井階さん。工作はかなり大変だったようです。

 2つのパーツの重さが2グラムくらいしか違わないので、普通の秤だと違いがわからず、また電子天秤だと演示実験に向かない、ということで、あらかじめ測っておいた質量を断面に書き込んであって、それを見せるという方法を取っています。

 

 せっかくの実験なので、最後の重さの比較も、天秤で実験して見せるのがよりインパクトがあると思うのですが。

 

 

 重心の実験その2。愛知県の重心を調べると、たまたま豊田市になるとの話題。地図に厚紙などで裏打ちして、豊田市のある場所に磁石を貼り付け、回転台の軸に磁力で貼り付けて回すと、重心が回転軸にあるので、きれいに回ります。

 「物理的にも経済的にも、愛知の中心は豊田ってことか」との声が相次ぎました。

 この動画には「バカリズム」とのコメントも。バカリズムさんが、各都道府県の形をネタにしたギャグをやっているからですね。

 

 

 さて、こちらは、蝶番の裏側に磁石をつけ、黒板など磁石でくっつけることで、力のモーメントの釣り合いの装置を簡便に見せる装置。井階さんのアイディア。

 重りをぶら下げる方式にしてあるので、力のモーメントの釣り合いで求めた糸の張力の大きさを、実験で確かめることができます。重りの数を変えると、棒は水平でいられません。

 

 浜松さんの発表はこちら。浜松さんには自己紹介もしていただきました。

「一般人ですが、科学好きです」・・・いいですね。サークルはこういう人たちも大歓迎です。

 

 

 ケニス(理科教材屋さん)でキットを購入して、自分で組み立てたとか。

 全部自前で用意する林ヒロさんみたいな人もいますが、材料の入手が難しいものもあるので、こういうキット購入も、一般の科学ファンの人にはありがたい選択肢の1つでしょう。

 辻さんの先端放電回転車も、手作りでカワイイのが作られていました。

 

 

 同じく、浜松さんの手作り分光器。回折格子のレプリカの代わりに、CD板から作った回折格子を使っています。これを見て、飯田さんは「回折格子を買わなあかんと思っていたけど、CD使えばよかったのか!」と感心しきり。

 イヤイヤ、飯田さん。物理サークルで伊藤さんがずいぶん前から何度もCDで回折格子作るの、紹介してきてますよ・・・と影の声多数。

 

 

 これは、スマホのカメラで分光器を覗いて取った写真。確かに蛍光灯のスペクトルが見えます。

 

 

 浜松さんの簡易分光器を見た飯田さんは、我慢しきれず、以前のサークルで紹介した自作の簡易分光器を再び紹介。

 黒い紙を丸め、向こう側に隙間を少しあけることで、浜松さんの作った簡易分光器と同じ、回折格子とスリットの組み合わせを作ります。

 

 CDの回折格子つながりで、さらに飯田さんの実験を見ていきましょう。

 

 

 これはDVDの裏面側に電球をセットした装置。これを正面から見ると・・・

 

 

 きれいな干渉縞が見えます。

 

 飯田さんは「では、これをBDでやったら、どう見えるでしょう」と、ニヤニヤ。

 

 

 干渉縞が見えません。これは、溝の幅がDVDの半分くらいであるため、正面からだと、干渉縞が見えるための光路差が作れないからです。

 そこで、BDを机に置き、こちら側から光を当てて、それをこちら側から見る、という手段に。そうすることで干渉を起こす光路差が保証され、干渉模様が見えると。

 

 

 明るいため見にくいのですが、こうすると干渉縞が見えます。(手前の緑の筋)

 

 関連して、小野さんから、CD、DVD、BDから回折格子を取り出す方法についてのトリビアが。

 

 

 CDの場合は、印刷面をガムテープなどで剥がすことで、回折格子となります。上の写真だと一部だけレーベル面が剥がれていますが、全面剥がすことができます。

 ところが、DVDの場合は、構造が違い、レーベル面を剥がせません。

 

 なんと、DVDは2枚のプラスチック板が貼り合わされている構造になっているので、その接着面にマイナスドライバーなどを突っ込んで力を加えると、2枚に分けることができます。

 これは、知らなかったなあ・・・

 

 

 下の2枚は、DVDを2つに割いたもの。どちらも回折格子として使えますね。

 

 小野さんによるとBDは構造が異なるため、DVDのように簡単に2つに分けることはできないそうです。

 

 干渉については、単スリットやヤングの干渉について、小野さんから、面白い問題提起がなされましたが、それはその2の方で扱うことにします。

 

 では、今回はこのくらいで。「その2」に続きます。

 

 

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