冒頭のイラストはマンガ「いきいき工作教室」(*1)の一コマ。中華鍋は球面の凹面鏡で、放物面のパラボラではありませんから、じつは太陽からの平行光線が焦点の一点に集まることはありません。このイラストでは、よく磨いた中華鍋(球面鏡)で、太陽光を一点(焦点)に集め、マッチを燃やしていますが、この図はあくまでも近似的な物で、実際に光がすべてこの一点に集まるわけではありません。
(*1)関連記事にリンク在り。
いままでの講座でも見てきましたが、球面鏡の場合の焦点は放物面鏡とは違い、厳密な意味での焦点はありません。あくまでも、球面が放物面に近似できる範囲でのことです。これは、高校物理ではきちんと語られないことですね。
さて、とはいえ、高校物理の範囲では、球面鏡にも近似的に焦点を設定して作図し、計算もします。
球面鏡の中心近くの範囲でなら、この近似が成立しますので、球面鏡の縁のほうに光を当てて図を描くと、うまく作図できなくなることがあります。その場合は、近似の無い基本光線(球の中心Oを通る光は反射後来た道を戻る、球面のセンターCに当たった光は反射の法則にしたがって進む)を使うと正しい図になります。
一応、高校物理で登場する球面は球面のセンターC付近の緩やかな局面になっていますから、あまり厳密に気にすることはありません。基本光線1〜3で像の図を描けばよいでしょう。
3つの作図を自分でやってみてください。最後のは、ちょっと困ったことになります。
写像公式の導出はプリントの通りですから、一度は目を通しておきましょう。
レンズのときと同様に、三角形の相似をうまく使って計算します。
それぞれの作図の答はこちらの描きこみを見てください。
(1)と(2)を見るとわかりますが、実物を焦点より手前側から徐々に鏡に近づけていくと、Fの直前までは倒立の実像ができ、Fの直後にはすごく遠くに巨大な虚像ができて、徐々に小さくなっていきます。
2のように実物が焦点にある場合は、像をつくりませんが、だからといって、目にその虚像が見えないかというと、そういうことでもありません。
この平行光線は目のレンズによって網膜状に像をつくります。その像は直線OMの方向の遠くに見えるはずです。
平行光線による像が見えないということになると、太陽や遠くの星からやってくるほとんど平行の光を見たとき、太陽や星の姿が目に見えないということになってしまいます。
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