物理サークル2019.2.16報告 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 物理サークルに行ってきました。会場は向陽高校に変わりました。

 

 ぼくはアクセス時間が短くなって、こっそり喜んでいます。

 でも、一番喜んだのは林ヒロさん。今までは重い重ーい実験装置を抱えて階段を昇っていましたが、今回の会場は1階になったので、荷物の搬入がラクになりました。

 

 今回は新しい人が数名参加。総勢20名を超える、非常に活発な会になりました。

 

 そのうちの一人、東京からはるばる来られた東京物理サークルの児玉さんは、なんと、ぼくのブログで愛知物理サークルの例会の日程をチェックし、タイトなスケジュールの中、わざわざ来ていただいたということで、感激しました。

 自己紹介のとき、「(ぼくの)本にサインしてもらって、明日の横浜物理サークルで自慢する」とおっしゃっていました。ありがたいことです。

 

 このブログで、研究会などの告知をするようになったのは、若手の教員が部活など、休日の予定がたいへんで、「物理サークルなどに参加したいと思っていてもなかなか参加できない。次の例会が公式サイトで発表されるときには、部活などのスケジュールがすでに入っていてバッティングして、参加できない」と聞いたからです。

 少しでも早く、予定を公表する場所があれば、参加しやすくなるかなあと思ったんですね。

 

 今回のように、遠方の地の方が参加するきっかけになったとお聞きして、やってきたことが無駄ではなかったんだなあ、と思いました。(最近は、ぼくのブログで会の予定を知り、参加してくれる方も増えてきたようです。ありがたいですね)

 

 

 さてさて、会場校が変わり、少々緊張している会場責任者の成相さん。ノートにメモをとりまくっていました。ぼくも経験がありますが、例会の記録を書くことで、思わぬ実力がつきます。

 

 さて、今回も、ごく私的な、サークル記録。ぼくの印象に残ったものを適当にピックアップさせていただきます。

 

 正式な記録は愛知物理サークルのウェブサイトで例会記録がアップされるのをお待ちください。

 

 今日の一番手は前田さん。

 

 

 お試し版ということでしたが、制作者の前田さんと電気工作が得意な田中さんがこの装置を見てカタカナが飛び交う専門的な会話をしていたのですが、ぼくにはさっぱり(笑)・・・

 

 なにがなにやらちんぷんかんぷん・・・でも、ぼくと似たような表情の人、他にもいました。

 

 

 これはなんたらいう距離を測る装置。前田さんはこれを利用して速度測定器にしていました。台車が動くと、その速度も測れるので、いろいろ応用が利きそうですが、ぼくには利用のしようがないので(すみません)、記録だけ。

 

 

 こちらは、飯田さんが昔からやっている光の実験装置。

 以前は、1本数千円の特別な蛍光灯を使って実験していました。飯田さんは他県での科教協大会で、発表直前に蛍光灯の1本が壊れ、電気屋を巡って数千円を払って蛍光灯を補充し、この実験を見せたことがあります。

 ものすごい執念だなと思いましたが、それ以上に、数千円もする蛍光灯を3本も使っていることにびっくりしました。

 それが、100円ショップ(ダイソー)で手に入る、蛍光灯(のまねをする)LEDライトでできる、というのが、今回の実験紹介でした。商品の箱には9SMD・1LEDと書かれていました。

 SMDは基盤部品とLEDが一体化したもので、9SMDはそれが9個並んでいるということらしいです。LED蛍光灯と同じ発想でしょうね。

 そのライトに、やはり100円ショップで手に入るカラーセロファンをかぶせて、光の3原色のライトにします。

 

 このライトの前にものを置くと・・・

 

 

 カラフルな影ができます。

 

 よく見ると、影の色がライトの補色(もとの色の光と合わせると白になる色)になっていることがわかります。

 

 

 この写真だと、わかりやすいですね。

 

 青い光の影は赤と緑の光がつくる黄色。

 緑の光の影は赤と青の光がつくる赤紫(マゼンタ)色。

 赤の光の影は青と緑の光がつくるシアン(青緑)色。

 

 これがたったの300円(セロファンも含めると400円)でつくれるのですから、すごい。これは、誰でも作れますね。

 

 今日、一番おもしろかった(ぼく的に)のは、田中さんの慣性力の実験シリーズ。

 

 

 回転台の上に水の入ったペットボトルを置きます。一方には重い金属球、もう一方には軽い発泡スチロール球が、糸で支持されています。

 

 回転台を回すと、何が起こるでしょうか?

 

 遠心力の影響が、金属球と発泡スチロール球に、どういう影響を及ぼすかという質問。

 

 参加していたKY高校2年の生徒さんは、見事に正解しました。

 

 

 見ての通り。

 

 金属球は外側へ、発泡スチロール球は内側へ傾きます。

 

 この解説は、以前、このブログで作ったアドベンチャーゲーム「ガリレオ島の秘宝」で、似た問題の解説として書きましたので、今回は省略します。ゲームでは、水中を昇る空気の泡がどちらにむけて上っていくか、という問いかけでした。

 

 リンクにあるアドベンチャーゲームをやっていただければ、その問題を見ることができますので、ぜひチャレンジを。

 

 でも、この問題は、物理をやっている人には定番の問題。

 

 ぼくがびっくりしたのは、田中さんが次に提示した設問です。

 

 

 ペットボトルの水を減らし、発泡スチロール球が水に浮き、球をつなぎ止めている糸がたるむようにします。(左のペットボトル。右のペットボトルはバランスをとるために置いてあるだけで、今回の設問には関係しません)

 

 田中さんの設問。

 

 この装置を回転させたら、糸のついている発泡スチロール球は、どうなるか。

 

(1)遠心力で、外側へ移動する。

(2)さきほどの問題と同じで、中心側へ移動する。

(3)位置は変わらず、中心にいつづける。

 

 (1)の答を選んだ人の主な意見は「今度は水が関係ないので、球は外側へ遠心力を受ける」というところでしょうか。

 (2)は「水に一部が浸かっているので、前の問題と同じで、中心側へ移動する」という考えです。

 (3)は、「遠心力」ではなく、「みかけの重力」を考えた人の考えです。(ぼくもその一人です)

 

 参加者の意見はみごとに3つに分かれました。超難問ですよね。

 

 では、実験結果を。

 

 

 やはり、問題の発泡スチロール球(写真右)は、水面の中央で浮いたままになっています。左の発泡スチロール球は、最初から表面張力でふちにくっついたままでした。

 

 この実験、普通の回転台でもできそうですが、回転が急に始まると、円運動の接線方向の加速のため水がゆれ、スチロール球がふちにくっついてしまいます。

 

 田中さんの回転装置はステップモーターをプログラムで操作しているので、最初はゆっくり回転し始め、徐々に速くなります。この実験には最適ですね。

 

 さて、球の位置が変わらないという、意外な結果に驚いた人たちもいましたが、アインシュタインの等価原理によれば、当然の結果だと思います。

 

 田中さんはみんなを「ひっかける」(?)ため、しきりに「遠心力の働く状態で、果たして浮力はどう働くか」と問いかけていました。

 

 しかし、アインシュタインの等価原理(加速運動をしている人から見た場合、慣性力は局所的には重力とみなしてかまわない)を考えれば、ペットボトルに働く「見かけの重力」(アインシュタインによれば、みかけではなく、本物の重力)は、斜めになった水面に垂直な方向に働いています。

 

 浮力は、重力とは逆向きに働く力ですから、当然、水面に垂直に働きます。

 

 したがって、装置が回転しても、発泡スチロール球に働く力は、水面に垂直な重力と浮力だけですから、回転する前となんら変わりはありません。

 したがって、スチロール球は、そのままペットボトルの中央で止まったまま浮いている状態が続くのです。

 

 次は、K高校の生徒さんの発表。

 

 藤田先生(ぼくの本『いきいき物理漫画で冒険』の帯で、ウィット溢れる推薦文を書いていただいた先生です。名古屋大学のプラズマ研究所等の名誉教授です)のロウソクの炎が電場で傾く実験について、藤田先生の考える「プラズマが電場から影響を受けた」という意見に異を唱えたという生徒さん。

 

 ぼくも、興味津々で、彼の発言を聞いていました。

 

 どういう話かというと・・・

 

 

 ろうそくの炎に、電場をかけると、ロウソクの炎が電場から力を受けてマイナス側に傾きます。

 

 これを、藤田先生は当初、プラズマ化した炎の陽イオンが力を受けるせいだと考えていました。

 

 ところが、たまたまK高校の科学部に紹介したところ、生徒の一人(今回参加した生徒だと思われます)が「ろうそくの炎の温度で、本当にプラズマ化が起こっているんでしょうか」との問いかけがあり、藤田先生がロウソクが燃えたときに生じるスス(炭素)が熱電子を放出することでプラスに帯電して、負極に引っぱられている可能性もあると答えられたようです。

 藤田先生は「炭素が出ない炎で試したらわかるはずだ」とアドバイスされ、なんと、生徒たちはススのでない炎として、水素を燃やした炎(水素が爆発するので、普通は危険だからやらない)で実験したというのですね。(*2)

 

 この顛末は、じつは藤田先生からは以前の物理サークルでうかがっていたのですが、今回は、その当事者の高校生が、装置の説明に登場した、ということのようで、そういう意味でも価値のある発表だったかなと思います。(経緯がぼくの思い違いだったら、ごめんなさい)

 

 

 炭素棒(シャープペンシルの芯)を熱して、電場をかける実験ですが、光が膨らんでいるのが、炭素のイオンが電極に引っぱられているのか、発光が激しくなって光が膨らんでいるように見えるだけなのかは分からないようです。

 

 プラズマについてもいろいろ意見交換がありましたが、そもそもプラズマは、高温で、原子核と電子が遊離した状態を指す言葉だったのでしょうが、今は、高温で陽イオンと電子にわかれた状態ならプラズマになっていると考えるようです。

 

 炎も、プラズマとしてとらえられているようですが、ロウソクの炎で、本当にプラズマ化が生じているかどうかはわかりません。

 

 次の、KY高校の生徒さんたちの実験を見ると、どうやら炎の傾きがプラズマのせいではないことがわかります。

 

 

 危険な実験なので、動画での紹介になりましたが、さきほど紹介した、ススのでない水素の炎による実験です。さきほどの実験と同じく左右に電極を置いて電場をかけても、この実験では炎は傾きませんでした。(少々ゆれましたが、左右均等で、平均すれば力を受けていません)

 

 この実験、ペットボトルに入れた水素を燃やしつつ行ったので、実験の最後にはペットボトルの中で水素爆発していました。やはり危険。

 

 ススのでない実験では電場から力を受けないことから、「プラズマが電場から力を受けて、ロウソクの炎が傾く」という藤田先生の初期の意見は否定されました(と、藤田先生自身が、前の物理サークルで報告されていました)。

 

 どうやら、ススがエジソン効果(熱電子の効果)により、プラスに帯電し、負極に引かれたというのが、真相のようです。

 

 おなじくKY高校の生徒の作品。発表は、科学部の顧問をしている伊藤さん。

 

 

 人工衛星の太陽パネルの折りたたみに使われている「ミウラ折り」の強度を探るという実験の報告です。

 

 これ、折るの、大変なんですよね。

 

 写真の一番手前にあるのは、完成するまで3時間かかったそうです。

 

 この折り方は強度があり、段ボールのようにただ山谷の折り返しをくり返す形(写真右側)よりも、じょうぶです。

 

 それが、こちら。

 

 

 すごい。

 

 紙は普通のコピー紙ですが、二枚重ねにしてあります。

 

 それにしても、強い。

 

 折り数を増やして、細かい構造にするほど、強度は増すという結果がでたようです。

 

 

 左側のグラフが「ミウラ折り」、右側のグラフが単純に「段ボール折り」です。強度が全然違いますね。折り数を増やすと強度が「直線的に増す」(これは生徒たちの結論のようです)様子が、グラフに現れている、ということでした。

 

 こっそり、ぼくがこのとき、思ったことを書いておきますね。

 

 折り数(グラフの横軸)がどんどん増えると、追っていないただの紙の形状に近づきます。すると、荷重をかけて「構造が潰れる」というのは、どうなるのか。

 

 理想的に折り数が無限大になると、ミウラ折りの紙は、ただの平ぺったい紙と区別がつかなくなります。

 

 折り数が無限大に大きくなった紙は、一度も折っていない紙と同じなのか、まったく違うのか・・・

 

 興味深い話題ですが、別の発表に移りましょう。

 

 次は、ぼくの発表にからんで。

 

 自分の様子は自分では撮れないので、以前、ブログにアップした写真で代用します。

 

 

 BB弾のタマを水分子に見立てた浮力測定のモデル実験です。

 

 このモデルでは、分子の重力による密度差を実現できないので、浮力モデルとしては機能しません。

 

 

 

 こちらの実験装置だと、分子の重力による密度差を可視化することができます。

 

 でも、議論はさらに深まっていきます・・・

 

 

 冒頭の写真ですが、こちらは飯田さんによる実験。

 

 BB弾で実験したら、BB弾を入れた容器がBB弾の海の中で浮いたという実験結果を得たということ。

 

 浮力のモデルとして使えるなら、ありえないことだと。

 

 さらに、容器の沈んだ深さから体積を求め、その体積に見合うBB弾の重さを計算すると、浮力の値に相当するかどうかという実験をくり返したそうです。

 

 BB弾ではうまくいかなかったけれど、アズキ豆では、そこそこの値になったという話でした。

 

 このあと、ケンケンガクガクの議論。

 

 案の定、浮力モデルについては、参加者の意見が止まりません。

 

 サークルが終わって、飯田さんと雑談しているとき、ようやく飯田さんのいいたかったことがわかりました。

 飯田さんは、マントルの上に近くが乗っている様子を説明するアイソスタシーの原理を、この実験で表せるのではないかと考えたそうです。

 飯田さんのアイソスタシーモデルという発想に、驚きましたが、浮力モデルとは別に、なんらかのアプローチができそうだと感じました。飯田さんの一連の実験の意味も、少しわかった気がします。

 

 

 こちらは、こまめに進化をくり返す、林ヒロさんの光速度測定装置。以前、このブログサイトでも紹介したことがあります。

 

 そのときに比べると、かなり簡略化した感じ。

 

 

 こちらのコーナーキューブ(どの方向から光が当たっても、同じ方向に光を反射する装置。直交する3つの鏡の集合体です)は、以前の実験で使っていたものより価格の安い、本格的なコーナーチューブです。

 反射率が本格的なコーナーキューブの半分くらいですが、じゅうぶん使えます。コストパフォーマンスはいいですね。

 

 

 これは、もとの光とコーナーキューブまで往復した光との位相差は、こんな感じでオシロで測定します。LEDの光量が周期的に変化するようにしてあるので、往復してきた光ともとの光との時間のずれが、こんなふうにオシロで見られます。画面でいうと、例えば双方の谷の位置のずれ(画面上では時間で出ています)が、そのまま光が往復するのにかかった時間です。

 

 コーナーキューブを遠くへ動かすと、この時間のずれが長くなります。

 

 往復距離を時間でわると、光速がでるのですが、かなり詳しい光速値が得られます。

 

 林ヒロさんの光速度測定装置は、見るたび改良されているので、以前、このブログで紹介したときの装置よりかなり簡略化・高性能化しています。

 

 ついでに、オシロを使った、別の実験。(*1)

 

 電線に電池と電球をつなぎ、スイッチを入れると何秒後に電球が点灯するか、という問題。

 

 以前、物理天才クイズでも登場しました。

 

天才クイズ17

 

 電球が点くまでの時間は、光速で伝わる時間より大きいか同じか少ないか、という問題。

 

 それを、同軸ケーブルにオシロをつないで実験。電気信号を送ると、ケーブルの端が切れていれば、そこで自由端反射をして戻ってくるので、その時間をオシロで調べ、ケーブルの長さを割って、速度を調べるという発想。

 

 結果は、光速の3分の2くらい。

 

 これは、同軸ケーブルの中身がプラスチックであるため。屈折の法則に従い、誘電体の中を伝わる電磁波(電磁場の変化)の速度は遅くなるためで、だいたい屈折率が3分の2くらいで実測値と合うという話。

 

 でも、これは、同軸ケーブルが真ん中の導線とまわりのシールド用の導体の網による、コンデンサー(というより、導波管に近いといった方がよいのでしょうか)のような構造をしているために生じる現象。

 林ヒロさんが最初にした質問(上の図の問題)の答としては、ふさわしくないと思いました。

 

 同軸ケーブルの場合、電磁波が伝わる場所が同軸ケーブルの中心軸とシールドの間の空間になるので、こういう結果になりましたが、むきだしの単線でつくられた回路の場合は、次の点で異なります。

 

(1)媒質が誘電体でなく、真空。→当然、電磁波は光速で伝わりますので、光速よりおそいという結果にはなりません。

(2)長い同軸ケーブルは実験ではくるくると巻かれています。この場合は電磁波は同軸ケーブルの軸とシールド網の間を進むので、同軸ケーブルが巻かれていようとそうでなかろうと関係なく、実際のケーブルの長さを伝わります。しかし、単線の回路の場合、電磁波(電場の変化)が単線に沿って進むのか、そうでなく、空間を直接伝わるのかという、根本的な問題が残ります。

 導線に沿って電磁波が進むのは考えづらいのではないでしょうか。空間を進むなら、回路に沿った長さではなく、スイッチからの距離が問題になるでしょう。

 

 今日はその議論に立ち入る人はいなかったので、この問題は、今後の検討課題になると思います。

 

 

 

 これは何でしょう?

 

 石川さんが持ってきた装置の1つ。

 

 周りのコイルに電流を流すと、磁石との間で力を及ぼし合い、コイルが回転しますが、作用反作用で、磁石が逆方向に回転します。

 

 

 クリップモーターで、磁石の方も動けるようにしたものだと考えてください。

 

 クリップモーターでは、半回転ごとに電流を切らないと、同じ方向に回転してくれませんが、この装置も同じ工夫がされています。

 

 

 ちょっと見づらいですが、コイルのすぐ下にあるプラスチックの軸の半面に金属が貼ってあり、ブラシに相当する銅線との接触が、半回転ごとに入ったり切れたりするようになっています。

 これが、クリップモーターで、軸のエナメル被膜を半面だけヤスリがけするのと同じ効果になっています。

 

 

 こちらも石川さんの力作。

 

 動いていてわかりにくいのですが、真ん中にはバネにつながれた板があり、それを揺すると、板に軸が固定されている向こう側のモーター内で、コイルと磁石の相対的な運動が生じ、電磁誘導現象が生じて、誘導起電力・誘導電流が生じます。

 その誘導電流ををアンプで増幅して、手前側のモーターを駆動します。こちらのモーターも真ん中の板に軸がつながっているため、真ん中の板はモーターの力でさらに揺れます。

 アンプの増幅率を調整すると、ちょうどよい振幅で板が揺れるようになります。

 なお、赤いLEDの発光は、駆動用のモーターがちゃんと働いているのを確認するためのものだそうです。

 

 

 こちらは、先ほどの装置と同じ原理。以前、科学館にも「止まらないコマ」の装置が展示してありました。(今も展示してあるかどうか、確認していません)

 

 回っているコマの磁石はNSが半分半分になっているもの。これが回ると、下にあるコイルに誘導電流が流れます、それを増幅してやはり下にある別のコイルに電流を流し、その電流が作る電磁石が、コマの磁石を駆動するため、コマはずっと回り続けます。

 

 先ほどの装置は、このコマの原理を別の形で実現したものです。

 

 

 最後に、佐野さんの紹介した本。

 

 なんと、著者は佐野さんの大学時代の後輩だそうです。

 

 最後に、もう一つの話題を。

 

 この日は、成相さんから、物理サークルの有志で共同で購入した江沢洋先生の「物理の見方・考え方」を手に入れました。

 

 

 さきほど、ちょっと読んでみたら、一番最初の話題が鏡に映った世界のパリティの破れの話で、直線電流の下で磁針が振れた実験自体、パリティを破っているのではないかという出題が、章の最後でなされていました。これは深い話題ですね。以前描いた、鏡は左右反対になるが上下反対にならないのはなぜかを扱った、「これ物理?」の記事でも登場しています。

 

 こちらは、ちょうど、今、書いている小学生向けの「さりと12のひみつ」の第2話で扱っている話題だったので、あまりの偶然にびっくりしました。

 

 もちろん、江沢先生が投げかけた質問には、「さりと12のひみつ」第2話の内容を1ヶ月近く検討したおかげで、ぼくは答えられるようになったと思っています。

 

 それを小学生にもわかるように描く予定です。今、完成したネームの調整を行っているところですが、この本を読んで、自分の考えた方向性に確信がもてました。

 

 ちょっと、おまけの話でした。

 

【追記】

(*1)コメントを書こうと思っていたこの実験を、最初の記事では落としてしまっていましたので、追加しました。

(*)ススで実験するまでの細かい経緯を、ブログ執筆後に成相さんからメールで教えていただきましたので、それに即して文章を一部訂正しました。「ススの熱電子放出」の可能性があることはその場で藤田先生が指摘され、それを水素を燃やした炎で調べようと計画したのが、生徒のオリジナル実験だったということです。その流れで、文章を修正しました。

 

 

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