物理ネコ教室208熱と気体演習 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 気体と熱の演習問題です。

 

 アイルランドのボイルやトムソン、スコットランドのマクスウェル、オーストリアのボルツマンたちが深く関わった気体と熱の物語。演習問題を解くことで、本当に理解できたかどうかを確認しましょう。

 

 演習問題も必要に応じて手作りしてきました。演習問題をここに載せるのはやめようかとも思ったのですが、特に授業との絡みで意味のあるものは、紹介することにしました。


 この分野は、現役生には苦手な範囲の一つです。

 

 理由は単純。以前の記事に述べたように、この分野、とくにPV図が絡む内容は、高校で学ぶ情報が過多のため、混乱が起こるのですね。

 

 実はさほど難しくない基本原理の組み合わせで考えられるので、それがわかっていれば、ある程度の量を練習すれば、だれでも解けるようになります。でも、現役生はそれほどたくさんの練習をしない人が多いので、苦手のままになっている分野です。


 代表的な問題を並べてあります。

 

 問題1と問題3は、気体の状態方程式を扱う問題で、よく似ていますが、物理的な条件が異なります。

 問題1は混合前と混合後の間に熱の出入りがあるため、内部エネルギーが保存されません。したがって、状態方程式と、気圧のつりあい、そしてモル数の保存だけが成立します。

 問題3は熱の出入りがないため、容器内の気体の内部エネルギーの和が保存されます。これは非常に強い条件になるため、内部エネルギーの保存の式を立てるだけで、混合後の温度がわかってしまいます。もちろん、状態方程式、気圧のつりあい、モル数の保存は成立します。

 

 問題2は、典型的な大学入試の問題です。大学入試といっても、授業で習った通りの内容を再現するだけの問題が圧倒的に多いし、なによりびっくりするくらい出題頻度が高いので、現役生にとっては、この分子運動論をきちんとやっておくかどうかが合否の分かれ目になります。なにしろ、毎年どこかの国立大(私大も)で出題されているのですから。

 

 「202気体の分子運動論」をもう一度やり直してから、問題を解いてみましょう。

 

 なお、この問題は「202」の内容に則して作りましたが、途中の展開が微妙に異なるバリエーションがいくつかあります。(たいした違いではないのですが、見なれていない人には、それだけで困る場合があるでしょう)

 問題集や実際の入試問題で、似たような問題に触れておくとよいでしょう。

 

 毎年、受験を終えた生徒たちが嬉しそうに「先生、本当に出ました」といってくるのがこの問題。

 

 そりゃあ、出るよ。

 

 気体の分子運動論は、簡単な力学理論のちょっとした組み合わせと、ちょっとした統計的な工夫で、謎めいた温度の正体が見抜けるという、もっとも物理学らしい特徴を持った理論です。ここには、理論物理学の一つの典型的な成功例が示されています。(出題者側から見た)人気があって当然なんですね。

 

 この大学はこれが出やすいとか、今年はあれ狙いだとか、そんなことを考えること自体が無駄です。

 

 大学の受験問題は、おおざっぱに言えば、どれも金太郎アメのように、似たような問題ばかり。大学によるはっきりした違いはありません。新傾向の問題が作成される場合もありますが、そういう場合は、問題中にかなりのヒントが書かれていますから、普通の問題よりかえって簡単です。問題文を冷静に読む力があり、基本的な物理知識がある人なら、なんとかなります。

 

 そもそも、大学の傾向を研究して対策をたてるという方法が、そもそも間違っているのですが、受験産業の喧伝に流されがちな現役生は、それを鵜呑みにしちゃうことが多いんですね。

 

 どの分野が出ても大丈夫な実力を身につける以外に、大学合格の道はありません。そして、その力は、正しい理解をして、正しいやり方で用意すれば、必ず身につきます。こんな簡単なことを実践しないのは、バカなことですね。

 

 勉強不足の生徒が近道を捜したくなる気持ちもよくわかりますが、それは失敗の道です。

 

 解答も手書きです(笑)・・・

 

 本当は、演習問題を自作せず、生徒の持っている問題集を使えばいいんですが、残念ながら、問題集の答え方が、あまり的を射ていない場合が多いんですね。ぼくの授業に即したやり方で解けば簡単に解けるのですが、問題集の答をみると、わざわざ難しく解いている場合が多いのです。これでは、せっかく授業で物理の王道的なやり方を学んでも、すぐに袋小路に入ってしまいますね。

 という、現実的な問題をクリアするために、最低限の自作問題と解答を与える必要があり、実際にはかなりの量の演習問題プリントを配布しています。(本当に困ったものです。二度手間なので・・・問題集を作る人たちがもう少し物理センスがあればなあ・・・)

 

 おっと、話がずれました。

 

 5のPV図の問題も、大学入試の典型的な形。

 

 なんと、定積モル比熱、定圧モル比熱がなくても、問題が解けてしまいます。(5)(6)の別解を見て下さい。

 

 「情報過多」といった意味がわかりますね?

 

 1サイクルでの気体の内部エネルギー変化がゼロであることや、内部エネルギーが絶対温度に比例すること、そして熱力学第1法則を組み合わせれば、たいがいのことはわかってしまうのです。定積モル比熱、定圧モル比熱の知識は、あればあったで便利、というように考えればいい、オマケの知識です。(そもそも定積変化と定圧変化にしか使えませんし・・・)

 

 この問題を丁寧に考えることで、気体と熱の様々な知識を整理することができます。

 

 もちろん、「情報過多」の分野ですので、問題を作る側からいうと、いろいろな「攻め方」ができるわけですから、時として本質的でない受験問題が作成されることもあります。

 

 といっても、これらも、内部エネルギーを3/2PVで表したり、断熱変化の式を使ったり、ばねでピストンを押させて圧力変化を複雑にしたり・・・と変化がありますが、じつはそんなにバリエーションはありませんので、少し多めに受験問題を見ておくことで対処できます。

 

 それらの演習問題は、このサイトの目的から外れますので、割愛しておきますね。

 

 

関連記事

 

気体と熱<物理ネコ教室3年>

201気体の法則

202気体の分子運動論

203気体の内部エネルギー

204気体の状態変化

205モル比熱・熱機関

206永久機関

207熱と気体の相関図

208熱と気体演習

 

211静電気

 

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