この作品ほど、疲れたときに何も考えずに体に染み入る響きはないといえるかもしれない。テレマンの作品と言うよりも、むしろゲーベルとムジカ・アンティクヮ・ケルンの奏でる少しくぐもった雰囲気を感じさせる古楽器の響きが、そうさせるのかもしれない。
この音盤は特にそれが顕著に感じられる。自然な流れの中にも、違和感のないアクセントが散りばめられ、聞いていて飽きることがない。しかしながらBGMとしても正に「自然」な音楽の流れを感じることができる録音といえ、その音楽的な美しさに心を奪われ、愉悦の瞬間が目白押しな録音といえるかもしれない。後期バロックの代表的作曲家テレマン像を再認識させられる一枚でもある。
ラインハルト・ゲーベル/ムジカ・アンティクヮ・ケルン[2001年9月&11月録音]
【ARCHIV:471 492-2(輸)】