西部劇『11人のカウボーイ』のために作曲されたものを、ボストン・ポップス・オーケストラの音楽監督就任記念公演のためにオーケストラ編曲したのがこの『カウボーイ序曲』である。それをさらに、ジェイムズ・カーナウが吹奏楽版にアレンジした演奏がここで紹介する金聖響の演奏だ。

トランペットの高らかなファンファーレに始まり、この曲のメインテーマともいえる軽快なリズム感に冴えた旋律が弾ける。中間部の美しさも見事であり、息つく暇無く突き進む会心の作品といえる。カーナウ編曲ということもあり、壮大かつ華麗さに磨きがかけられている印象が強い。金聖響のサウンドは実にシンプル。変な脚色をしないものの、アクセントの付け方はスマートにしてダイナミックだ。他の録音でも感じることだが、金聖響の内面から湧き立つ迸るパワーを感じる演奏といえる。作曲家自ら指揮するオーケストラ盤と聞き比べると、金聖響のサウンドが実に柔軟でアメリカ的であるかが感じられるだろう。


【推奨盤】
乾日出雄とクラシック音楽の臥床

金聖響/シエナ・ウインド・オーケストラ[2006年3月録音]

【avex:AVCL-25131】



【推奨盤】
乾日出雄とクラシック音楽の臥床

ジョン・ウィリアムズ/ボストン・ポップス・オーケストラ[1980年代録音]

【PHILIPS:420 178-2(輸)】