和太鼓奏者・林英哲の録音を今日は紹介する。世界的に活躍する林がベルリン・フィルのシーズン最後を飾る恒例のヴァルトビューネのピクニックコンサートに出演した際の録音だ。

2000年に収録されたこれは、『リズムとダンスの夕べ』と題した公演で、ケント・ナガノらしい、一筋縄には行かない独特の妙味を併せ持ったプログラミングだったといえる。毎年、大いに盛り上がるこのヴァルトビューネのコンサートの中では、ちょっと難しい曲目も相俟って、いつもの和んだ雰囲気の中にも、一種独特の緊張感に終始していたように思える。

そんなコンサートの中で、一番の盛り上がりを見せたのが、この「飛天遊」だった。ヴァルトビューネに響き渡る和太鼓の鼓動、そして、万来の拍手は、今までのヴァルトビューネの歴史に大きなアクセントを付けたに違いない。是非、この公演の様子は、目で楽しんでいただきたい。ヴァルトビューネはそんな空間である。

【推奨盤】
ケント・ナガノ/林英哲(和太鼓)/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[2000年6月録音]