「二人でお茶を(ティー・フォー・トゥー)」の名でジャズのスタンダード・ナンバーとして広く親しまれているこの曲をショスタコーヴィチはオーケストラのために編曲した。この編曲版が生まれた経緯は伝説ともなっている彼の驚異的な記憶力と初見力を物語るに相応しいエピソードといえる。
ある指揮者がパーティーの席上で今から聴かせる音楽を1時間でオーケストレーションしたら、自分の演奏会で演奏する、という賭けをし、ショスタコーヴィチが、40分で書き上げたのがこの作品である。ジャズの魅力を充分に感じられるオーケストレーションが絶妙な彼の新たな魅力に惹かれる佳品といえる。ちなみにロシアでは「タヒチ・トロット」という名で「二人でお茶を」は親しまれている。
【推奨盤】
リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団[1981年録音]
【DECCA:UCCD-3530】