こんにちは、HALです。
さて、補完食(離乳食)の疑問は山ほどあると思いますが、その中でも「卵」🍳の進め方にお悩みの方、多いのではないでしょうか。
というわけで、今回から数回に分けて卵の進め方について解説したいと思います。
今回は第2回。
前回の記事はこちら↓
補完食(離乳食)の開始時期が変わったってご存知ですか
お二人目のお子さんとかで、数年前の離乳食の本を見ると、卵の開始時期は中期(7、8ヶ月)から……と書かれているのではないでしょうか。
これは、2007年に出た厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」で
引用元:厚生労働省. 授乳・離乳の支援ガイド.2007
このような付表がつけられていたからです。画像を見るとわかりますように、初期には「卵」の文字はなく、中期になって始めて卵と書かれているのがわかります。
というわけで、この付表を見て離乳食の本を作る
→卵の開始は離乳中期から!
……という情報が一般的だったのです(実際には、本文中に初期から食べさせていけないとは書かれてませんので、付表だけが一人歩きした状態ですね)
しかし、食物アレルギーの視点から見ると、これはあまりよろしくない(詳細は前回記事参照)
ということで、流石に2007年の情報ではちと古い、授乳・離乳の支援ガイドを改訂しよう! ということになりました。
その時の議事録を見ますと、国立成育医療研究センターアレルギーセンターの成田雅美先生を中心に、
「卵の開始時期は遅くしてもアレルギーの予防効果はない、むしろ遅らせるとかえってよくない、離乳食を開始した後の早期(生後5〜6ヶ月)に開始した方がいいということを、表を含めて明記した方がいいのではないか」
という内容の熱い議論が、様々な文献を交えてなされ……
\じゃん/
このように、「離乳初期」のところに卵黄など🍳の記載が出てくることとなりました。
この授乳・離乳の支援ガイドに沿って多くの離乳食の本が出されていますので、最近発売された離乳食の本では、
「卵の開始時期は離乳初期(5〜6ヶ月)」
に変更されているんですね。
(昔の離乳食の本をお持ちの方は、卵の開始時期の部分は頭の中で新しい情報にリニューアルしてお使いください。)
補完食の視点から見た卵の開始時期は?
では、WHOの補完食の視点から卵の開始時期はどのように考えたらいいでしょうか。
WHOの資料では、食物アレルギーに関しては資料作成当時あまり食物アレルギーが問題ではなかったこともあり、アレルギーに関してはあまり書かれていません(詳しい資料には書いてあるのですが、その根拠となる論文そのものが古いので……)
というわけで、補完する栄養の部分で見てみましょう。
卵は実は栄養満点です。
特に卵黄(茹で)1個(20g)には、鉄0.9mg、亜鉛0.7mg、ビタミンD1.4μgと、少量でみっちりと離乳期に不足しがちな栄養素が詰まっています。
また、補完食には特に「この時期にはこの食品を食べさせる」とか「順番通りに」といった縛りはありません。
以上から、補完食の視点でみても、卵は補完食(離乳食)開始して早いうちから積極的に取り入れてほしい食材の一つ、ということになります。
卵を離乳食の初期から「食べる」ことができますか?
これも気になるところと思います。
アレルギーのことは抜きにして、食材として考えてみましょう。
卵黄に関しては、固ゆで卵から取り出した卵黄を潰して水やミルク、お粥や野菜ペーストに混ぜ込めばとろとろになりますので、初期から食べさせやすい食材です。
一方で、しっかり加熱した卵白は硬く、裏ごせば食べることができるだろうと思いますが、やや食べさせにくい食材になります。
具体的な話は次回に回しますが、アレルギーの観点も含めて考えますと、まずはしっかり加熱した卵黄からスタートすると失敗が少ないかなあと思うところです(初期に卵白を食べさせてはいけないという意味ではありません)。
今回のまとめ
- 卵の開始時期は「離乳初期(5〜6ヶ月)」から
- 補完食の視点でも、栄養たっぷりの卵はおすすめ食材
- しっかり加熱した卵黄からスタートしよう
次回は、「補完食(離乳食)、卵の具体的な進め方は?」というお話をしようと思います。
補完食の本でも解説していますので、気になる方はどうぞ。
出典
厚生労働省. 授乳・離乳の支援ガイド.2007(2022-04-28 参照)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17.pdf
厚生労働省.「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会.(2022-04-28 参照)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo_129050_00001.html
厚生労働省. 授乳・離乳の支援ガイド(2019 年改定版).2019 (2022-04-28 参照)
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
Osamu Natsume, Shigenori Kabashima, Junko Nakazato, Kiwako Yamamoto-Hanada, Masami Narita, Mai Kondo, et
al.Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-
blind, placebo-controlled trial.Lancet. 2017 JANUARY 21;389:276‒86.