お久しぶりです、HALです。
さて、補完食(離乳食)の疑問は山ほどあると思いますが、その中でも「卵」🍳の進め方にお悩みの方、多いのではないでしょうか。
というわけで、今回から数回に分けて卵の進め方について解説したいと思います。
補完食(離乳食)の「卵」の進め方が注目される理由
理由は、卵は食物アレルギーの心配があるからです。
もちろん卵以外の食材も食物アレルギーを起こす可能性はあります。
しかし、平成29年に行われた「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」によりますと、“何らかの食物を摂取後 60 分以内に症状が出現し、かつ医療機関を受診したもの”を解析した結果、原因食物の1/3を占めるのは卵です。
また、0歳児だけで調べると、鶏卵55.3%🍳、牛乳27.6%🥛、小麦12.2%🍞と、卵が半数以上を占めています。
もちろん、食物アレルギーを起こすお子さんはごく一部です。
日本の約10万人を追跡した調査(エコチル調査)では、(保護者の回答になりますが)卵の即時型アレルギーの有病率は、1歳児で5.3%、2歳児で4.7%、3歳児で3.2%となっています。
この数字をどう見るかは人によって違うと思いますが、多くはないけれど決して少なくはない、自分の子どもが起こさないとは決して言えない数字ではないでしょうか。
食物アレルギーが怖いからと言って卵のスタートを遅らせないで!
「えっ、そんなアレルギー起こすなんて怖いから、もう1歳くらいまで食べさせないで様子みようかな……」
と思う方もいると思います。
しかし、補完食(離乳食)で卵のスタートを遅らせることはおすすめできません。
卵に関しては食物アレルギーのリスクが高いため、これまでに様々な研究が行われています。
(少なくとも湿疹があるなどリスクが高い場合は)卵のスタートを遅らせるより、むしろ早く摂取を開始する方が食物アレルギーを発症しにくいという日本の論文が出ています(PETIT study)。
食物アレルギーを起こす可能性があるのはもちろん怖いし心配と思いますが、怖いし心配だからこそ、適切な時期から赤ちゃんに卵を食べさせ始めてほしいなと思っています。
今回のまとめ
- 卵は食物アレルギーの心配がある
- けれども、心配だからこそ、補完食(離乳食)で適切な時期から卵をスタートしよう!
次回は、「補完食(離乳食)でいつから卵をスタートしたらいいの?」というお話をしようと思います。
補完食の本でも解説していますので、気になる方はどうぞ。
出典
平成30年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書. 消費者庁,2016(2022-04-26 参照)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/pdf/food_index_8_190531_0002.pdf
Yamamoto-Hanada K, Pak K, Saito-Abe M, Yang L, Sato M, Irahara M, Mezawa H, Sasaki H, Nishizato M, Ishitsuka K, Ohya Y; Japan Environment and Children's Study (JECS) Group. Allergy and immunology in young children of Japan: The JECS cohort. World Allergy Organ J. 2020 Nov 7;13(11):100479. doi: 10.1016/j.waojou.2020.100479. PMID: 33204389; PMCID: PMC7652713.
Osamu Natsume, Shigenori Kabashima, Junko Nakazato, Kiwako Yamamoto-Hanada, Masami Narita, Mai Kondo, et
al.Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-
blind, placebo-controlled trial.Lancet. 2017 JANUARY 21;389:276‒86.