自由俳句「風薫」定例句会を開催しました。悪天候が続いたこの頃、句会の帰り、久しぶりにみごとな夕景にめぐり逢うことができました。綺麗な夕焼けを見て、うわっと感動して、それを人と共有できることって倖せだなと思います。
今回の句会の兼題(テーマ)は読書など本や書にまつわるものです。みなさんはこの秋どんな本を読まれるのでしょうか。
水野ゆうき
書を携へバスで向かふは秋遍路
憂ひあり進まぬページは秋蛙
ひもとくは一期一会の運と勘
秋時雨ふらりと寄りしカフェ読本
冴へ渡る夜半の月の朗読会
ひと休み失ひせしは蒔絵しおり
高崎志朗
集く夜本を開けば諭吉かな
三国志マンガを追ひて夜長かな
秋暑し知人に遇うも名前出ず
秋鴉テニスコートで餌を待つ
山 多華子
秋暑し久々の読書目は冴えて
エアコンやミシンも我も調子良し
残暑やゲリラ豪雨の帰り道
一献と雲間に眺む望月よ
彼岸花酷暑と聞いて里心
渡辺 健志
迷ひ風野分たゆたふ西の空
篠突く雨スマホ三台悲鳴あげ
雨音に読みかけの本置き走り
秋桜しとどに濡るる峠道
大竹 和音
短編のモデルは次男竹の春
朗読の声変はりして新松子
クレヨンの赤は短し夕紅葉
爪切れば人足のごと秋の蟻
居酒屋の斜のバス停秋刀魚の香
色彩の夢はあの世か天の川
蔦からむアンテナ高き空屋敷
ストローをしつこく啜る残暑かな
小林泰子
移動図書りょうていっぱい秋みつけ
秋の声み空見上げて風をみる
鬼灯や赤子の頬のごとぷくり
名月や幾年経ちてもまんまる
白石 洋一
黒の丸に黄色の花弁の一輪挿し
金子みすゞを思う時私に戻る
夕闇の始まる頃蝉が静かになる
死後八年父宛の郵便まだ届く
深く吸い暫く止めてゆっくりと吐く
年金を貯蓄する払った分取り戻す
ハバネロを干す手に残る辛味
千円札新旧混ざるATM
庭猫二匹耳はV字のマークなり
ミルを一一三回手で回す
刈谷 見南國
「ひととき」といふ文集やうろこ雲
文集に母のひとこと曼殊沙華
とんぼうの止まるくちびるピアスかな
次ページに続く小鳥の羽音かな
レモンスカッシュ指紋一致のスマホかな
沈みゆくそば茶のバック白露かな
館長の居合銀漢となり休館
福冨 陽子
母の本挟んだ落葉の厚みかな
子規の忌や頁に潜む小風来る
背表紙を小指で押せば秋嵐
庭仕事終わるのを待つツグミかな
「50-50」地球を駆けめぐる
鈴虫や雌はひたすら甘藍の上
鶉居た檻に鳴き声沁みてをり
うづらだま五滴簀立を垂らす飯
庄之助終に納める立行司
くさびらや日中に消ゆる秋湿り
久々 秋夕焼 9/22