初茜すつくと立てば道はでき | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

2024年 1月 自由俳句「風薫」初句会

新しい年がはじまりました。このブログを読んでくださっている方々に感謝いたします。今年もよろしくお願いいたします。

 

 

 

高崎志朗

年明けの鐘も花火もなかりけり

恵比寿顔当り籤ひく初の夢

孫娘成長速し松の内

冬麗雑魚を咥へたり鷺一羽

 

 

疋田 勇

日陰の万両日陰の私

切片が耳に当たりし吹雪かな

屋根や木に氷柱光れば年明くる

元日に刀研いだり爪も研ぐ

 

 

山 多華子

初春や磨き過ぎたる窓越しに

正月や旨煮褒められ盛りあがる

節重隅まで洗う四日かな

蕾つくプラス一度の白すみれ

 

 

渡辺 健志

店仕舞知らずに並ぶ福来雀

寒晴や鯱鉾煌る烏城

冴る風ますます熱る耳の端

熱海桜避寒宿でもう一杯

初日の出白化粧なき山照し

直島の冬落暉撮り英会話

 

 

大竹 和音

初春や妣あつらへし吾の晴れ着

賽の目の弌朱きかな初日の出

砂利混じる満身創痍の雪達磨

和食屋の姉のノルマの節重ね

座敷童子指を咥へる年の餅

差し入れの雑煮一気に一発録り

母と観たドクター・コトー観る二日

初凧や糸買ひ足せば月までも

あばら二本折るも我慢の初仕事

レコードの帯もまとめて落葉焚

 

 

小林泰子

福袋今年の福を貰いけり

風花や子らを引き込み舞う刹那

初富士や遠くからでも富士であり

尼寺の猫じっと冬薔薇のごと

鍋白菜ひたひた沁みる雪催

 

 

白石 洋一

窓ガラス結露の氷結晶美

極寒や胎児に戻る布団中

初春の朝の寒さに指痺れ

先を行く仔猫道案内の散歩

霜降りて赤い花びらどす黒く

二十五年ローン終わった一人缶ビール

ローマ字の方が速いのです

上下の下着三着に靴下六足の洗濯物

家族一人増え正月は通販オセチでおもてなし

寝汗かく寝具干しながら暖かい日

 

 

刈谷 見南國

一柳慧の旋律千鳥来る

活版の文字をなでゐし去年今年

脱稿やラスト一行淑気満つ

地下のミラノ二階のロマン淑気満つ

元旦の炭酸水の蓋固し

元旦や揃はぬ人を思はるる

松過ぎて集金はじむ組合費

松過ぎのワインに浮かぶコルク屑

松過ぎてごはん食べなと猫に声

 

 

福冨 陽子

御籤結ぶもちぎれ破顔の娘

前髪切る脱皮したての小正月

初雪や泣ひたふりして窓を這ふ

春渡祭や控へる神輿に夕陽差す

大寒や佳きことだけを記すかな

裂々と笑ひか悲鳴か霜柱

冬の草踏まれたままに生きていく

立行司三十八代初の場所

 

 

二荒山春渡祭神輿の準備〈1月15日〉