地震や台風、いろいろなことが起きたお盆休みでした。長い休みが取れた人、普段と変わらず仕事があった人、さまざまですが予期せぬ事象、とくに自然現象にはやはり普段から備えが必要だと改めて感じました。
本日、8月の句会を開催しました。残暑がまだまだ続きそうです。立秋を過ぎたので本来であれば秋を詠うところですが、実際には真夏状態の中で生活していますので夏を詠んだ句もあります。兼題(テーマ)は機械や物の音。メンバーの作品を掲載いたします。
水野ゆうき
カラカラと回り生まれる夏の風
夏の夜爆ぜる光をカシャっとね
カンカンと電車が接近黄黒赤
暑すぎる部屋に帰ってピピっとオン
ガリガリガリ削れる夏のクリスタル
高崎志朗
午後三時定期ジェットは秋を往く
スマホ音残暑見舞い孫娘
乱打球衝突したり秋の風
練習のネットに休むオニヤンマ
盆の夕上弦の月現るる
山 多華子
エアコンの音より高くテレビ観る
秋疲れキャベツ炒めと梅干し
鳥起きる朝汗ぬい出社
サングラス心のままに余生往く
金メダル洗髪拭き貰い泣き
渡辺 健志
滝壺もぬる風漂ふ酷暑かな
一千の風鈴彩る石の道
夏茜麦わら帽子でひとやすみ
手花火やこぼす幼子涙跡
花火消ゑ闇の川面に月映り
電扇の羽音微かな夜静か
自販機に会議は踊る蟲の聲
大竹 和音
トラックの排ガスけぶき残暑かな
アニソンのソノシート透く星月夜
秋の蠅反応鈍き体温計
木の実落つリヤカーに乗り祖父の山
マダム憩ふ石蔵のカフエ蔦かづら
のびのびと揺るる軒先猫じやらし
洞穴の住人さらひ台風去る
小林泰子
ブロロロロ暑さ掻き乱すハーレー
炎昼やさつきロードの先ぼやぼや
超熱帯夜エアコンはゴオゴオオ
白ユリや水面を覗き己知る
御告げ来て祖母は小豆を用意する
初盆やあんこ煮つめ見つめる祖母
白石 洋一
合歓の花踏まぬ様にと避け歩く
朝4時39分蝉が一斉に鳴く
コンコンと耕運機吠え畑掘る
田植え機は割と静かに苗を刺す
耳に記憶の地蜂の羽音響く
パソコンは頭脳のスケッチブック
心の時は止まったままの母の死
百合の花終戦の日を忘れ去り
ゲリラ豪雨壮大な打ち水となり
ひだりー食べたいモノが食える幸せ
刈谷 見南國
製氷のゴロンと落ちて桃を剥く
午前六時コードチエンジして小鳥
星月夜弦のうらがは埃立つ
線香分けてもらふ少年とんぼ翔ぶ
月天心俎板のうら乾びけり
バレーコートに男子も女子も月天心
センスいいのにもつと頑張れギンヤンマ
福冨 陽子
スーダラと洗濯機まはる秋夜
駄々駄々と製氷堕ちる処暑の昼
タレ作るマシンの渦の秋にんにく
館長の入院部屋の無音かな
なにもなき日こそめでたし髪洗ふ
鈴虫やきやべつが好きと聞きつけて
秋あかね駅舎珈琲訪ぬれば
盆休み叶へたことを箇条書き
夜半の路地魚焼く佳き匂ひ
落鮎や串も焦げたり川の音
いわき市国魂神社の風鈴参道
