花待ちて仄明るきや山の路 | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

宇都宮市内にある八幡山公園に吟行に行きました。塙田トンネルの上に位置する雷神社、蒲生神社を経て八幡山へ。

800本の桜盛りには(つつじも700株)花見客がやってくる有名処です。花のころの少し前ではありましたが地元の山を歩いて吟行してきました。その時の作品を掲載いたします。

 

 

高崎志朗

学問の蒲生神社や桜咲く
桜まだ八幡山は人まばら
花曇屋台に群がる人ひと


疋田 勇

空高く色を変へたり石鹸玉
八幡山田楽の串やや細き
山裾のすみれ見上ぐる百千鳥
蕗の薹刻む厨に香り沁む


山 多華子

弥生月石段多き雷神社
春句詠む令和六年八幡山
春の花蕾満ちたり八幡山
春吟行赤飯卵焼きうまし
開花待つ八幡山の風強し
三月の句芋だんご食べながら


渡辺 健志

木漏れ日の夕陽煌く竹の秋
涙堕つ花粉光環春の風
花見客偶には枝見と強がりて
教会の周り騒がし菜種梅雨



大竹 和音

花の山廻る父子のゴーカート
花盛る蒲生神社の横綱像
さざ波のブルーシートや花筵
噛み切れぬ松坂牛の花見屋台
天井を巨木つらぬく花見茶屋
夜桜や父の手みやげ煮烏賊かな
崖つぷちのあばら家三棟花の山
ベビーカーそろりそろりと桜坂
綿菓子の叩き売り待つ夕桜



小林泰子

春光や亀の甲羅つややかなり
亀鳴くや卵焼きにもらう笑
春昼や蛍光ブルー駆け抜ける
吊り橋の隙間に住まう春の街



白石 洋一

蕗の薹雨を待ってる蕾かな
階段に射す光に舞うは埃クズ
白菜の古漬け祖母の味近し
気道を冷たい空気が入って行く
日々暖かくなるから畑耕す
車戻って運転は大切に
酒蔵を巡るイベント昼間から酔漢
手の甲に皺六十四年過ぎた時間
宇都宮のニュース浮かぶ人達
二ヶ月ぶりに玄米を炊く


刈谷 見南國

桜まだ咲かぬ横綱像の臍
ジャンボすべり台消へし高台冴返る
わたあめの機械音して初桜
花冷えの固定されたる双眼鏡
鉄塔の朽ちたメガホン桜騒


福冨陽子

志賀之助像初拝は花のころ
彼岸過ぎ花ある墓地の風靜か
花曇り展望台より目をこすり
陽春や池にあおさぎひとりぼち
吊り橋の一五〇メートルただ麗らか

風薫吟行(見えるのは宇都宮タワー)