あのひとが - - - 店に現れた ✨
今夜の夜行で
東京に帰るはずなのに - - -
でも - - - また逢えて嬉しい ✨
身体の具合は良くなったのかい?
ええ - - - お陰さまで
きっと - - - 暑さが身体に堪えたのね
でももうすっかり良くなったわ
そう - - - 答えてはみたものの
私の病気が進行していることは
間違いない - - -
あの時も - - - そうだった
強い目眩で
立っていられなくなったから
あのひとは
勘づいていたのかしら?
私の病気のこと - - - !?
今晩
お発ちにならなかったのね?
東京に帰らないで良かった
また秋子の
あの甘い声が聴けたから - - - ✨
俺は - - - 男らしく
単刀直入に伝えることにした
君に - - - もう一度
逢いたかったんだ ✨
だから - - - もう一日 延ばしたんだよ
今夜 何処かで逢えないかい?
秋子は
店を抜け出して
逢いに来てくれた ✨
二人で
連れ立って 川べりを歩く
肩を寄せ合いながら - - - ✨
あなたは
私の手を繋いで
そっと - - - 肩に手を添えてくれたわね
私のことを - - -
大事にしたいと言って - - -
嬉しかったわ
あなたのその気持ち ✨
このまま - - -
あなたに縋ることができたら
どんなにいいかしら?
でも - - -
現実が - - - その想いを破壊していく
女の幸せを掴むことなんて
私には - - - 遠い絵空事
涙が - - - 頬を伝わる - - -
柳の木の影から - - -
あの石が - - - 見えてきた
この石を - - - 見るたびに
現実に押し戻されていく - - -
この - - - 石は - - -
この - - - 私自身なのだから - - -
ちょっと - - - 手を出して
この石を - - - 握ってみて
不意に - - - 秋子がそう呟いた
何の変哲もない
その - - - 河原の石は - - -
ぎゅっと - - - 握り閉めると
掌で - - - 脆くも
崩れ去っていく
この石は - - -
いったい - - - 何の石なんだ ?
その石はね - - -
潮が満ちている時には - - -
川の底に
ひっそりと身を隠していて
潮が引くと - - - その醜い姿を現すんです
八月六日
あの日の朝も - - -
こんな風に - - -
水が引いていたの
広島には - - -
まだ沢山 こんな石があるんですよ
それは - - -
原爆で被爆した
広島の石だった - - -
続く - - - ✨
人間だけではなく
石まで - - - 被爆するんですよね
この映画を初めて観た
10代の時
とても - - - 衝撃を受けました
このロマンチックな
川べりのシーンは
二人の心の温度差を表す
重要なシーンでもあるんですね ✨
それが - - -
上手く伝わるように
二人のそれぞれの視点から
書いてみました - - - ✨
次回へと - - -
続きますね - - - ✨