諸君、ご壮健かな
機動戦士ガンダムに登場する少女。幼い2人の兄妹を抱え、ジオンのスパイとしてカイ・シデンに接近する。
カイはほのかに恋心を抱くが、スパイとして近づいてきていたミハルの本心を知り、それを問うたあとに言う彼女の台詞。
それは戦争に翻弄され心すらも縛られた少女の、余りにも哀しい心情を表した言葉。
そして彼女は、心を開いたカイと共に戦う中で、爆風で命を散らす…。あまりにも哀しい…切ないラストだった。
それを見て、多くのアフターストーリーが作られた。まず、ミハルに生きていてほしいとの思いから生まれた物語。
それを以前に書いたのだが、今回はもう一つの切ない物語。
彼女が体を張って守ろうとした、ジルとミリーのその後。
戦場にポツンと取り残されたそのあまりにも小さな命が、どうにかつながって欲しい…視聴者の思いに応えた話が二つある。
まず一つ目は。
フォウ・ストーリー
ご存じ、記憶を失った強化人間フォウ・ムラサメのストーリー。そこに書かれた前日譚に当たる部分に、ジルとミリーは登場する。
ミリーは誘拐され行方不明…。幸せになって欲しかった…切ない。あまりにも切ない。
ジルは連邦のムラサメ研究所に連れ去られ、強化人間5号として改造されていく。
フォウは研究所の強化人間の4番目なので「フォウ」と改名させられた。つまりジルは同じ境遇の同志。
やがてフォウはジルに惹かれていく。
しかし不完全なサイコガンダムの試験からフォウを守るため、ジルはそのパイロットとして乗りそして…命を失う。
ミハルの懸命に生きた証が、無情にも消えていく。そして記憶を中途半端に消され、カミーユにジルの残像を重ね、名前を求めて苦しむフォウ。
戦争の悲惨さ。
それを残酷なまでに突きつけてくる、機動戦士ガンダム。リアリズムの追求と言えばそうなのだが、あまりにも辛い。
しかし、2人の結末はもう一つある。
それは。
安彦良和先生の描く、2人の温かい結末がここにある。