こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊
本日も2022年のアーカイブというテーマで、本年6月にお送りさせて頂いた
想像力と発掘良品の発掘⑯
というシリーズで選んだ作品について総括してみたいと思います。
本日は、本シリーズで選ばせて頂いた29作品のうち、11~20番目までの作品をご紹介させて頂きます。
⑪カサノバ(1976)
(原題:IL CASANOVA DI FEDERICO FELLINI)
本作は「道」「フェリーニの8 1/2」などを撮られたフェデリコ・フェリーニ監督の作品。
18世紀に実在し「1,000人の女性とベッドを共にした」という回顧録を書いたジャコモ・カサノヴァという怪しげな人物の半生を描いた本作は、仕官を夢見ながらも、色物扱いされ続けたカサノバという男の人生とは一体どんなものだったかを描いたアイロニーなのです…
立身出世の野望を持ちながらも、
卑猥な行為だけでしか話題にならなかった
カサノバという男の人生とは?
映画の冒頭で流れる本作のメインテーマは
ニーノ・ロータ作曲の寂しく陰鬱な響き!
自身の事を希代の色男だと書き残した男の
心の中の寂しさを投影したような曲は
寂莫な想いを観客の心に植え付けます。
⑫アルジェの戦い(1976)
本作はかつてフランスの植民地だったアルジェリアの独立運動をリアルに描いた作品。
フランスと言えば、フランス革命時にラファイエットによって「人間の自由と平等、人民主権、言論の自由、三権分立」などを提唱したフランス人権宣言を採択した国。
ですがフランスは、自国の植民地だったアルジェリアの統治においては「人間の自由と平等、人民主権、言論の自由、三権分立」の全てを抑圧するような圧制を行っていたのです…
アルジェリア人の自由と平等、
人民主権、言論の自由、三権分立を否定し
軍を使って制圧したフランス!
あれ?フランス人権宣言は??
⑬エレクトリック・ドリーム(1984)
本作は1984年に公開されたラブコメディ映画!
1980年代の中盤は「グレムリン(1984年)」「スプラッシュ(1984年)」「処刑ライダー(1986年)」「ショート・サーキット(1986年)」など、SF的な作品にラブコメディ要素を加えた映画が数多く作られていた時代!
ラブコメディ映画に、怪物、人魚、幽霊、ロボットなどが加わった事で、ポップなファンタジー作品が量産された80年代のデート映画は今見ても楽しい作品ばかりですが、本作に登場するのは人工知能を持つコンピューター!!
偶然知能を持ってしまったコンピューターは、美しい音楽を奏でるチェロ奏者の美少女に恋をしてしまうのです😍
知能を持ったコンピューターは
別の部屋から聞こえて来た音に魅了され、
メロディのやり取りを始めます!
⑭さらば愛しき女よ(1975)
(原題:FAREWELL, MY LOVELY)
本作は1975年に公開されたミステリー作品ですが、原作は1940年に出版された私立探偵フィリップ・マーロウが主人公ハードボイルド小説。
フィリップ・マーロウって誰?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、フィリップ・マーロウは1940年代を舞台に活躍したダンディでアウトロー系の私立探偵ですが本作の舞台は何故か1970年代のアメリカ!!
今では想像できないくらい荒廃していた1970年代のアメリカの大都会は、空洞化現象や高い失業率によるスラム街の拡大、犯罪率の上昇とその反動による銃撃事件の多発、ヒッピームーブメントによる麻薬の蔓延や、麻薬マフィアの台頭など、深刻な社会問題に瀕していた魔界都市となっており、2019年に公開された「ジョーカー」に描かれているの荒廃したアメリカの大都会に通底する世界が描かれているのです…
仕事の依頼人があっという間に殺人犯。
これが1970年代のロサンゼルス!
もしかすると2020年代のアメリカは
再び、本作で描かれているのような
暴力が支配する世界に
向かっているのかもしれませんね…
⑮大いなる眠り(1978)
(原題:THE BIG SLEEP)
本作は1978年に公開された私立探偵フィリップ・マーロが活躍するミステリー作品。
⑭でご紹介させて頂いた「さらば愛しき女よ」が1975年であり、どちらの作品のフィリップ・マーロウもロバート・ミッチャム氏が演じられていますので、実質的に続編だと言って良いと思いますが、陰惨な殺人が次々と発生する「さらば愛しき女よ」が夜のロスを舞台なのに対して、本日の「大いなる眠り」は、緑豊かなイギリス郊外が舞台!!
美しいイギリス郊外にやって来たマーロウ。
ですが本作で発生するのは、1940年代ではなく1970年代りイギリスならではのセックス・ドラッグ・サイケデリックなアヴァンギャルドな展開の殺人事件なのです!
1940年代の映画にはなかった
エロティック&グロテスクシーン満載の本作は
70年代らしいエクストリームな作品です
⑯タンゴ・レッスン(1999)
本作は1995年に公開されたイギリスとフランスの合作映画。
タイトルからもお分かり頂けるように本作はタンゴ・レッスンの映画ですが、若い男女がダンス大会に向けてタンゴの猛練習をするような青春映画ではありません!
本作はサリー・ポッターという映画監督が撮った、映画の仕事に行き詰りを感じているサリーという女性監督がタンゴ・ダンサーの情熱的なステップに魅了されて個人レッスンを依頼するという現実と映画の世界が入れ子構造となっている作品なのです😄
サリー・ポッター監督自身が、サリーという
映画監督の役を演じ、ダンスを学んでゆく本作は
彼女自身の想いが具現化したような
ハイレベルな入れ子構造の作品です!!
⑰ルードヴィヒ 神々の黄昏(1972)
(原題:LUDWIG)
本作は1972年に公開されたイタリアと西ドイツとフランスの合作映画。
と言っても日本で公開されたのは8年後の1980年!
1980年に公開された本作は上映時間が180分の超大作ですが、実はこのバージョンは大幅にカットされた短縮版であり、発掘良品にセレクトされているのは2006年に公開された240分の完全版!!
…え?長くない
と仰る方もいらっしゃると思いますが、ヨーロッパ屈指の内向的な統治者であったルードヴィッヒ2世の奇矯な生涯を描いた本作は、4時間でも短いくらいの衝撃的な内容となっているのです😨
ルードヴィッヒ2世が没入したのは
幻想の国にあるような城の建造!
リーダーホーフ城の城内で
実際に撮影された映像は必見です!
⑱家族の肖像(1972)
(原題:GRUPPO DI FAMIGLIA IN UN INTERNO)
ルキノ・ヴィスコンティ監督の撮られた本作は、ユーモアにあふれた疑似家族を描きながらも、家族とはどういうものなのかを描いた哲学的な作品。
尚、本作の英題は邦題と同じ「CONVERSATION PIECE (団欒画)」ですが、イタリア語の原題は「GRUPPO DI FAMIGLIA IN UN INTERNO (家族の内面)」という真逆の意味!
ですので本作は、団欒画のような表面上の家族を描いた作品ではなく、団欒画に描かれている人々は、実際はどのような人たちだったものかに想いを馳せるような作品となっているのです。
団欒画に描かれている家族たちは
みんな幸せそうですよね!
ですが実際の家族とは、
絵に描かれたような和やかな関係では
ないのかもしれません…
⑲地獄のバスターズ(1976)
(原題:BASTARDI SENZA GLORIA)
本作は1976年に公開されたイタリア映画ですが英題は「THE INGLORIOUS BASTARDS(イングロリアス・バスターズ)」!
ん?
「イングロリアス・バスターズ」は2009年に公開されたクエンティン・タランティーノ監督の映画の名前では!?
いいえ。よく見てください!
タランティーノ監督の作品は「INGLOURIOUS BASTERDS」それに対して本作は「THE INGLORIOUS BASTARDS」ですので、1文字多いですね
この違いはクエンティン・タランティーノ監督が綴りをミスったという説が濃厚ですので、本作はやはり2009年のイングロリアス・バスターズの元ネタとなっていると思われます😊
ただしクエンティン・タランティーノ監督が本作で元ネタにしたのは、ナイス幹部を全滅させる主役のショシャナの活躍ではなく、ナチスを見つけ次第殺すならず者集団"イングロリアス・バスターズ"の面々だったのです!!
タランティーノ作品の主役はショシャナですが…
本作の主役は、ナチス領内で紛れ込んで
グダグタの戦闘を敢行する
連合軍から逃亡した囚人部隊なのです😨
⑳ゲート・トゥ・ヘヴン(2003)
(原題:TOR ZUM HIMMEL)
本作は2003年に公開されたフランクフルト空港を舞台にしたドイツ映画。
フランクフルト空港と言えば、ドイツ最大規模の国際空港!
新型コロナ・ウィルス蔓延前の2019年の旅客数は約7055万人という事ですから、いかに多くの航空機が発着しているか想像に難くないですね😊
本作は、そんなフランクフルト空港で働いている違法就労者たちの現実を描いたハートフルなコメディ映画なのです。
フランクフルト空港内では
他国から来た違法入国者たちを
労働者として空港内で働かせ
手数料として給料を巻き上げます!
本作はコメディタッチな作品ですが
描かれている就労者の現実は
今後の日本の問題でもあるのです!
労働者たちの真実とは!?
という訳で次回は、想像力と発掘良品の発掘⑯でご紹介させて頂いた21~29作品をご紹介したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
↑次回もよろしくお願いいたしま😄