こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで

 

さらば愛しき女よ(1975)

(原題:FAREWELL, MY LOVELY)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

 
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

今月のラインナップはコチラ↑

 

 

 

上司に背いて免職となった私立探偵

 

本作は1975年に公開されたミステリー作品ですが、原作は1940年に出版された私立探偵フィリップ・マーロウが主人公ハードボイルド小説。

 

 

フィリップ・マーロウって誰?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、フィリップ・マーロウは1940年代以降大人気だったダンディな私立探偵!!

 

1946年の「三つ数えろ」で

ハンフリー・ボガードも演じている

フィリップ・マーロウ。

 

 

難事件に巻き込まれてピンチになるも、最後には事件を解決して去ってゆくフィリップ・マーロウは、上司に背いて検事局の捜査官を免職となった私立探偵。

 

発掘良品第82弾では、これまで様々な俳優によって演じられて来たフィリップ・マーロウを見比べられるようなラインナップとなっているのです😆

 

ちなみにフィリップ・マーロウは

発掘良品第16弾の「ロング・グッドバイ」にも

登場しています!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

謎の女を追って、気だるく澱んだロスの街を徘徊する私立探偵フィリップ・マーロウの行動を描く。

製作総指揮はエリオット・カストナーとジェリー・ビック、製作はジョージ・パパスとジェリー・ブラックハイマー、監督は「ブルージーンズ ジャーニー」のディック・リチャーズ。

レイモンド・チャンドラーの原作をデイビッド・Z・グッドマンが脚本化。

撮影はジョン・A・アロンゾ、音楽はデイビッド・シャイアが各々担当。

出演はロバート・ミッチャム、シャーロット・ランプリング、ジョン・アイアランド、シルビア・マイルズ、アンソニー・ザーブ、ハリー・ディーン・スタントン、ジャック・オハローラン、ジョー・スピネルなど。
 

 

 

 

 

…謎の女を追って、気だるく澱んだロスの街を徘徊する私立探偵フィリップ・マーロウの行動を描く!?
 
なんだかグダグダっぽい雰囲気ですね!
 
 
尚この解説はかなり正鵠を射たもので、本作をはじめて観た方はきっと、キネマ旬報さんと同じ感想を持たれるのではないかと思います😅
 
 
ですが、これでは内容がさっぱり分からないと思いますので、もう少しだけ詳しく解説させて頂くと、本作の冒頭のフィリップ・マーロウは警察に追われる身!!
 
7人もの殺人事件に関与した疑いをかけられ行方不明となっていたフィリップ・マーロウは、安宿からロス市警のナルティ警部補に電話をかけ、事情を説明したいから宿屋へと来て欲しいと申し出ます。
 
安宿から警察に電話するマーロウ。
 
 
ナルティ警部補がマーロウに会いに行くと、彼は7つの殺人事件の発端であるムース・マロイという男との出会いを語り始めました。
 
ナルティは警察でマーロウを理解している
数少ない友人です。
 
 
マロイはマーロウに、ベルマという恋人を探し欲しいと依頼して来た巨漢の男。
 
マロイの説明では、銀行強盗で捕えられ服役していたマロイが出所すると、愛するベルマの姿が町から消えていたという事ですが、その説明をしている最中に、マロイは車に乗っていた謎の男から銃弾を浴びせられてしまったのです!!
 
突然、見知らぬ大男のマロイに
声をかけられるマーロウ。
「なぁ、あんた探偵なんだろ。
 俺の愛するベルマを探してくれよ」
 
そんな話をしている最中に
突然銃撃されるマロイとマーロウあせるあせる
いきなりの展開ですね😅
 
 
 
普通こんな怪しい男の依頼は引き受けませんよね…
 
ですが、事件が謎めいていればいるほど、好奇心がうずくタイプのマーロウは、マロイの依頼を受けて街から失踪してしまったベルマの行方を探す事にしたのです!!
 
 
ちなみに第一の殺人は、マーロウと一緒に歌手のベルマが働いていた黒人のクラブを訪れたマロイが、バーテンを尋問している間に絞め殺してしまった件!
 
黒人のクラブで暴れていたマロイを
撃ち殺そうとしたバーテンを
カッコよく阻止したマーロウでしたが
ふと見ると、マロイが別のバーテンを
絞殺してしまっていました!
 
 
 
 
さて、果たしてフィリップ・マーロウは、見事ベルマを見つけ出す事が出来たのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
仕事の依頼人があっという間に殺人犯。
…やれやれだぜ汗
 
 
 
【私の感想】フィルノワールの香り漂う70年代

 

本作はミステリー作品ですので、皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、前述しました通り本作は1940年代に出版された探偵小説を35年後に映画化したもの!

 

 

ミステリーの舞台や殺し方も35年もちがえば、かなり異なるのではないかと思いますが、一体どうして1975年に本作は製作されたのでしょうか?

 

 

 

恐らくですがそれは、1970年代のアメリカの都会が、今では想像できないくらい荒廃していたから!

 

大都市の空洞化現象や、高い失業率によるスラム街の拡大、犯罪率の上昇とその反動による銃撃事件の多発、ヒッピームーブメントによる麻薬の蔓延や、麻薬マフィアの台頭など、70年代のアメリカの都市部は、深刻な社会問題に瀕していたのです…

 

 

発掘良品でも「狼よさらば」「グロリア」「ウォリアーズ」「ザ・ドライバー」「セルピコ」などの作品では、治安が崩壊していた70年代アメリカの大都市が描かれており、無法地帯と化していた70年代は、ギャングたちによる暴力事件が多発していた1930年代のアメリカと重なる部分が多かったのではないかと推測されます。

 

ギャングに始末されそあな子供を

成り行きで助ける事になったグロリアの

NY地獄巡りを描いた「グロリア」

70年代のNYは1930~40年代!!

 

 

 

そう。

 

時代は巡り、世相も巡るもの。

 

 

 

歴史を知ると、アメリカの治安は、安定期と不安定期をくりかえし続けているのです…

 

治安の悪化したロスで姿を消した

マロイの想い人ベルマの身に

一体何が起こってしまったのでしょう?

 

 

 

私見ですがそんな本作は、30年代の頃を感じさせる70年代のアメリカで作られた映画であると同時に、2020年代のアメリカは、果たしてどちらに向かっているのかに想いを馳せるキッカケとなるような作品ではないかと思います。

 

尚、2019年に公開された「ジョーカー」に描かれているのは、1974年に公開された「狼よさらば」に描かれている荒廃した70年代のニューヨークと酷似した地下鉄内での銃撃シーンが存在するのです…

 

「狼よさらば(1974)」の地下鉄内での銃撃

 

「ジョーカー(2019)」の地下鉄内銃撃!

あれ?時代は巡っている??

 

 

もしかすると2020年代のアメリカは、三度目のフィリップ・マーロウが活躍するような時代になってしまうのかもしれませんね…

 

ただの失踪した恋人の探しのハズが

関係者が次々と死てんゆく殺伐とした展開に!

マーロウがナルティに語った

事件の真相とは!?

 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

その頃イギリスでは…

というテーマで

 

大いなる眠り

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品!
「ロング・グッドバイ」

 

原作は1940年代に書かれた有名ハードボイルド小説「ロング・グッドバイ」の映画化作品なのですが、映画が作られたのは1979年。

 

1940年代の世界で颯爽と活躍していた探偵は、約40年後の世界では時代に取り残された冴えない男として描かれるているのは、時代がエンターテイメント全盛の80年代に近づき、40年代の空気が遠ざかりつつあったからではないかと思います…