こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで

 

大いなる眠り(1978)

(原題:THE BIG SLEEP)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

 
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

今月のラインナップはコチラ↑

 

 

 

フィリップ・マーロウ英国に飛ぶ!

 

本作は1978年に公開された私立探偵フィリップ・マーロが活躍するミステリー作品。

 

前回ご紹介させて頂いた「さらば愛しき女よ」が1975年であり、どちらの作品のフィリップ・マーロウもロバート・ミッチャム氏が演じられていますので、実質的に続編だと言って良いと思います😊

 

1930年代のロスの闇を描いた

フィルム・ノワールの70年版のような

「さらば愛しき女よ」

 

 

 

ですが、陰惨な殺人が次々と発生する「さらば愛しき女よ」が夜のロスを舞台なのに対して、本日の「大いなる眠り」は、緑豊かなイギリス郊外が舞台!!

 

ただし、本作で発生する殺人事件は、1930年代ではなく1970年代ならではのサイケデリックでアヴァンギャルドな展開なのです!

 

緑豊かなイギリス郊外の豪邸で

マーロウを待っていた事件とは!?

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

作家レイモンド・チャンドラー原作の私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第1作目。

ハンフリー・ボガート主演で描かれた「三つ数えろ」の舞台をイギリスに移したリメイク映画で、日本劇場未公開作品。
 

 

 

 

…これは、読んでも分かりにくい解説ですね😟

 
 
解説にある長編シリーズの第1作目というのは1939年に出版された原作小説「大いなる眠り(The Big Sleep)」の事!
 
「The Big Sleep」ですので「大いなる眠り」という訳が適当だと思われますが、1964年版の邦題が「三つ数えろ」であるために、同じ原作である事が分かりにくくなってしまっているのです…
 
1946年に公開された「三つ数えろ」も
海外では「The Big Sleep」ですので
観客は、本作がリメイク作品でると
誰でも理解できるのですが
日本では配給会社が原題を無視した
タイトルで映画を公開する事が
少なくないのです…

 
 
ですが、この解説では内容がさっぱり分からないと思いますので、もう少しだけ詳しく解説させて頂くと、本作でフィリップ・マーロウに仕事を依頼したのは、イギリス郊外の豪邸で暮らしている退役軍人のスターンウッド将軍。
 
高齢のスターンウッド将軍には、シャーロットとカミラという二人の娘がいますが、素行の悪い娘たちの存在は将軍の悩みの種!
 
初対面のマーロウに
いきなりキスを迫って来る次女のカミラ。
なんだか目つきも怪しいですね…
 
 
そんなスターンウッド将軍が唯一心を許しているのはシャーロットの夫のリーガンでしたが、リーガンは1か月前に蒸発してしまったのです!
 
 
 
という事は、マーロウの任務は蒸発したリーガンの捜索?
 
 
 
いいえ。
 
スターンウッド将軍は何故かリーガン蒸発については事件視しておらず、マーロウに依頼したのは、カミラが署名した借用書に書かれている1000ポンドを支払えという脅迫状の送ってきたガイガーという古本屋の店主をこらしめて欲しいというもの。
 
借用書にはカジノでの借金だと書いてありますが、1年前にもブロディという男に脅され5000ポンド支払っているスターンウッド将軍は、脅迫状が来る度に何度も金を払うとクセになると言う理由で、マーロウに実態調査を依頼したのです!
 
ガイガーをこらしめれば、これ以降
脅迫状を出す人間もいなくなるだろう。
なるほど、お仕事お受けします。
 
 
 
義理の息子の蒸発ではなく、素行の悪い娘の尻ぬぐいのような仕事を依頼したの!?
 
 
はい。
 
差出人も分かっている以上、難しい仕事ではないと判断したマーロウはこの依頼を引き受け、ガイガーの住居を突き止めますが、マーロウが張り込みを始めた晩に、カミラがガイガーの家へと入って行くのを目撃してしまいます。
 
名前も仕事場も分かっているので
ガイガーを発見すのは簡単!
 
後は人々が寝静まった深夜に
ガイガーの家を訪れるだけだと思っていた
マーロウでしたが、その晩
何故かカミラがガイガーの家を訪れます。
 
 
不審に思ったマーロウが、しばらくしてガイガーの家の中を覗こうとすると、中で銃声が鳴り響きます!
 
驚いたマーロウが窓を破って家に侵入すると、そこには眉間を撃ち抜かれたガイガーの死体と、フィルムの抜かれたカメラと三脚、麻薬の注射器、そして椅子に座ってモウロウとしていた全裸のカミラがいたのです!
 
麻薬、カメラ、死体、そして全裸のカミラ。
 
 
………😨😨😨
 
脅迫状を出したガイガーの方が、殺されちゃったの!?
 
 
 
 
さて、「さらば愛しき女よ」に続き、難解な事件に巻き込まれてしまったフィリップ・マーロウには、果たして事件を解決する事ができるのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
念のため家の中を捜索したマーロウが
カミラのところへ戻ってみると
ラリッたカミラはトリップしていました😅
 
脅迫状の件はこれで解決だけど
これじゃ仕事を終らせられないな…
やれやれだぜ!
 
 
 
【私の感想】70年代の事件とした描かれた作品!

 

本作はミステリー作品ですので、皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、前回の「さらば愛しき女よ」が30年代のテイストで描かれているのに対して、本作の舞台はどう考えても1970年代!

 

色んな家電が揃っているマーロウの家。

これは1930年代じゃないですね…

 

 

 

そう。

 

 

本作は、60年代生まれのポップカルチャーが席巻していたイギリスに、もしフィリップ・マーロウがいたとしたら、一体どんな行動をしたのかを描いたような、1939年のロサンゼルスを1975年のイギリスに置き換えた、新機軸の「三つ数えろ」!!

 

 

私見ですがそんな本作は、ハンフリー・ボガードという世紀の名優が演じた「三つ数えろ」をリメイクするにあたり、30年代の空気感で作れば、前作と比較されてしまうであろう事を予想したマイケル・ウィナー監督が、あえて舞台を70年代にする事によって、当時流行していたショッキングなシーンが続出するエクストリームなフィリップ・マーロウを撮ろうと考えたのではないかと推察されるのです。

 

40年代の映画にはなかった

エロティック&グロテスクシーン満載の本作は

70年代らしいエクストリームな作品です。

 

 

そしてその結果、現代に生きる私たちは「三つ数えろ」で原作に忠実なフィリップ・マーロウ、「さらば愛しき女よ」で70年代のアメリカの世相を反映したフィリップ・マーロウ、本作でエログロ、サイケデリックな70年代イギリスのフィリップ・マーロウ、そして「ロング・グッドバイ」で80年代になって居場所を失いつつあったフィリップ・マーロウという4つのフィリップ・マーロウ像を見比べる事ができるのです😊

 

 

そして、もし2020年代にフィリップ・マーロウがいたとしたらどんな探偵として描かれるのでしょう?

 

そんな事を想像しながら過去の作品を楽しむのも面白いのではないかと思います😘

 

70年代と言えば派手なカーアクション!

70年の世界でのマーロウの活躍を

どうぞご堪能下さい😄

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

これぞ私的映画

というテーマで

 

タンゴ・レッスン

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品!
「12人の怒れる男/評決の行方」

 

過去名作と言われている作品のリメイクは、敷居が高いもの!

 

本作はシドニー・ルメット監督の不朽の名作「十二人の怒れる男」のリメイクですが、話術中心の一幕劇だからこそ演じる役者さんの見せ方によって以前の作とは異なった味わいを演出しています!

 

前作ではヘンリー・フォンダが演じていた最初の一人の陪審員を、本作では、ベテランのジャック・レモンが演じているのです!