こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで

 

タンゴ・レッスン(1999)

(原題:THE TANGO LESSON)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

 
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

今月のラインナップはコチラ↑

 

 

 

主役はサリー。監督もサリー。

 

本作は1995年に公開されたイギリスとフランスの合作映画。

 

タイトルからもお分かり頂けるように本作はタンゴ・レッスンの映画ですが、若い男女がダンス大会に向けてタンゴの猛練習をするような青春映画ではありません!

 

 

本作は、サリー・ポッターという映画監督が撮った、映画の仕事に行き詰りを感じているサリーという女性監督が、タンゴ・ダンサーの情熱的なステップに魅了されて個人レッスンを依頼するという、現実と映画の世界が入れ子構造となっている作品なのです😄

 

ダンスに魅了されるサリーを演じるのは

本作を撮られたサリー・ポッター監督ご自身!

 

本作は、映画監督サリーを

映画監督サリーが描いた入れ子構造作品です。

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

タンゴの魅力にとりつかれた女性映画監督と著名なタンゴ・ダンサーの愛の物語。

「オルランド」の監督サリー・ポッターが監督・脚本を手掛けて、自身の体験を映画化したもので、彼女は自分自身を演じて主演している。

情熱的なラブ・ストーリーであると同時に、タンゴへの熱い思い、そして映画作りについてをも描いた重層的な構造が魅力。

製作は「オルランド」のクリストファー・シェパード、モノクローム(パートカラー)の美しい撮影は「奇跡の海」のロビー・ミューラー、音楽はポッターの選曲によりピアソラやガルデルなどタンゴの名曲、名演奏が選ばれている。また、彼女は現代最高のチェリスト、ヨーヨー・マの演奏をバックに主題歌も披露。

美術は「私の好きな季節」のカルロス・コンティ、編集のエルベ・シュネー、衣裳のポール・ミンターは「オルランド」に続いての参加。共演・振り付けはタンゴ・ダンサーの若き巨匠パブロ・ヴェロン。
 

 

 

 

はい。

 
解説にある通り本作は、タンゴの魅力にとりつかれた女性映画監督と著名なタンゴ・ダンサーの愛の物語!
 
 
 
主人公のサリーはパリ在住の映画監督。
 
彼女は新しいサスペンス映画の脚本を執筆中ですが、なかなかストーリーがまとまらず、気分転換に街に出てタンゴのダンスを披露している劇場に入りました。
 
本作はモノクロ作品ですが
サリーの脳内で想像している作品の映像は
フルカラーで描かれています。
 
 
サリーが見たタンゴを踊っていたパブロは、情熱の国スペインからパリにやって来ていたプロのダンサー!
 
パブロのダンスに魅了されてしまったサリーは、ダンスが終わったパブロに声をかけ、自分に個人レッスンをして欲しいと申し出ます。
 
パブロは情熱的な伊達男!
 
 
サリーが映画監督である事を知ったパブロは、喜んで彼女にダンス・レッスンをする事を引き受けますが、性格にムラがあるパブロの教え方は感覚的で、タンゴの素人であるサリーには伝わりにくいもの。
 
ですが、そんなパブロの教え方にも刺激を受け、サリーは執筆活動とタンゴの練習の生活を満喫するようになるのです😄
 
レッスン初日である事をすっかり忘れ
熟睡していたパブロ。
「あれ?今日だっけ??」
 
荷物が散らかるパブロの部屋での
最初のレッスンはタンゴのステップから。
 
 
 
 
さて、タンゴ・レッスンを始めたサリーの生活には、一体どのような変化が現れたのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
「なるほど。タンゴのヒールは高いのね!」
タンゴについて何も知らなかったサリーは
少しずつ何かを会得していくのです…
 
 
 
【私の感想】自由と束縛

 

皆様が作品をご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作は映画監督という束縛される世界に住んでいるサリーが、奔放なステップでタンゴを踊り、自由を謳歌しているパブロに近づいて行く物語。

 

 

自分の脚本に絶対の自信を持っているサリーでが、ヨーロッパ映画の玄人好みの彼女の演出はアメリカでは受け入れられず、配給会社からNGを出さてしまいますあせるあせる

 

次々と殺されるビビッドな色の服を着るモデルと

彼女たちをつけ狙う足の無い男。

これは、誰も観た事のないプロットよ!!

タイトルは「RAGE(憤怒)」に決定😘

 

自信の新作をアメリカの配給会社に

売り込みに出向いたサリーですが

アメリカで受ける映画は娯楽作品だと言われ

受け入れてもられませんでした…

 

 

一方、ラテン気質フルスロットルのパウロは、誰にも束縛されない自由な人生を謳歌していますが、その代償は、愛していた人と次々と破局してゆく根無し草のような日々!

 

エスカレーターさえダンスの舞台に出来る

天才パウロは生粋の自由人ですが

自由過ぎるが故に恋人とは次々と破局!

誰かと親しくなっても、結局傷つくんだよあせる

 

 

 

そう。

 

自由と束縛は二律背反の感情であり、人間はの感情は常に、タンゴのダンスをするように自由と束縛の間を交錯してゆくものなのです!

 

自由、束縛、自由、束縛、自由、束縛、、、

まるでサリーとパオロの人生のように

常に入れ替わるタンゴのステップ!

 

 

 

私見ですがそんな本作は、サリー・ポッター監督が、人生とは何かを自分自身に向かって問いかけているような禅問答のような作品。

 

お互いに惹かれるようなるサリーとパオロは、些細な事や感情のすれ違いによって言い争いをする事もありますが、それでも2人が出会えたことで生み出せるダンスがある以上、彼らの出会いは価値あるものを生み出す可能性を秘めているのです😊

 

パウロと仲違いしたサリーですが

気が付けばレベルの高いタンゴ・ダンスが

踊れるようになっていました。

 

自由と束縛は相反する感情ですが

それでも人と人と出会う事は

新しい何かを生み出していきます。

 

まるでその事を証明するように、

サリー・ポッター監督自身が

タンゴをマスターした事によって

本作のような素敵な作品が

生まれて来たのです😘

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

内側を向き続ける人生

というテーマで

 

ルードヴィヒ 神々の黄昏

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品!
「ウィズネイルと僕」

 

本作は1980年のイギリスを舞台にした一種のロードムービー!

ロードムービーとは、1970年代に多く作られた“今の日常を捨てて遠くへ行きたい”という思いを持って旅に出た人たちの体験を描いた道中記のような作品で、多くの場合、窮屈な世界から飛び出して新天地に向かって旅立ったはずの主人公が、旅先で厳しい現実に直面し、夢の理想郷など存在しない事を痛感していきます…

 

ですので本作のラスも観ていて辛い展開なのですが、1988年のイギリスで作られた本作は、本作を撮られたブルース・ロビンソン監督自身の体験を描いた内容となっており、人と人とが出会う事による何かの誕生が描かれた作品となっているのです😊