Day 279までのあらすじのまとめリンク

 

 

Day280-ここまでのあらすじ

 コオはメンタルとともに体調を崩し、さらに激しい物忘れに悩まされつつ、年を越した。そして、父が倒れて1年がたった頃、再び高齢者住宅の紹介業者・藤堂から、”施設に空きが出る”という連絡をうける。空くのは確定であり、コオはすぐに動き出す。

まずコオは現在の老人保健施設に『すぐにキーパーソンである妹と話し合いを持ってほしい』と連絡をする。施設のケースワーカーは電話はしているが、例によって、莉子とは繋がらず、コオは”要望文書”という形で莉子を話し合いに呼び出すよう、要求する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「響子、ごめん、相談があるの」
 
 コオの相談相手はやはり響子だった。
 
 「いいよー!」
 
 離婚して家を出ていることを言えないでいるコオは、チクリと胸が痛んだ。響子は興味本位でプライベートに立ち入らないのをわかっていて、コオは黙っている。
 
 「父の希望してた施設なんだけど、空いて、はいれそうなの。」
 「おお―!やったじゃん」
 「それがさ、未だに父の年金額もわからないし、妹と連絡も取れないんだよ。今いる北寿老健(老人保健施設)からも電話してもらったんだけど。」
 「ありゃまぁ。いつまで待ってもらえるの?」
 
 コオは言った。連絡はしたが、折り返すといったきりであること。明日に折り返してくる可能性がゼロではないが、今までのパターンだとこのままかもしれないこと。この際、父も希望している、ということで手続きを進めてしまった方がいいのではないか、と考えてる。…けれど、その際、キーパーソンを無視したことで、どんな問題が起きるだろうか、というのが不安なのだ、と。
 
 (自分はいつもこうだ)
 
 話しながらコオは自嘲した。ブルドーザーみたいに進み、進みながら迷って、何も起こらないうちに少し後悔してる。
 
 「もちろん…それに加えて、年金額が完全にはわかってないって言うのも不安ではあるよ?
 でも、一応職場の人とか、響子にきいたから、それなりに近い額を算出できてると思う。
 足りない分は、仕方ない、私と莉子で、少しずつ負担すれば、いいかなって、思ってる。万が一、…万が一、だよ。ちょっと長期は無理かな~って感じになっちゃったら、そこにいる間に別の施設を探す、って言うのでも、今と状況はあまり変わらないし。」
「前金はどうすんの?」
「それは、今の貯金から出せる。母が残したお金があるからそれに少し足せば、大丈夫。」
「ふーん、じゃあさ。」
 
響子はきっぱり言った。
 
 
 

Day 279までのあらすじのまとめリンク

 

 

Day280-ここまでのあらすじ

 コオはメンタルとともに体調を崩し、さらに激しい物忘れに悩まされつつ、年を越した。そして、父が倒れて1年がたった頃、再び高齢者住宅の紹介業者・藤堂から、”施設に空きが出る”という連絡をうける。空くのは確定であり、コオはすぐに動き出す。

まずコオは現在の老人保健施設に『すぐにキーパーソンである妹と話し合いを持ってほしい』と連絡をする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ええ、ご連絡いただいてすぐ、莉子さんにお電話したんですが、お電話は繋がったんですよ。」

 ケースワーカーの浅見は言った。

「でも、今話せないので、折り返す、とおっしゃって。でも、今もまだ来てないですねぇ」

まただ。
病院の時と同じ。それ以外と同じ。莉子は折り返すといったきり、決して折り返すことはない。

「明日になったら、いらっしゃるかもしれませんけどねぇ。」
「わかりました。」

コオは強い口調で言った。

「それ、ハッキリ言って、今までのパターンだと、折り返しないです。…でも、明日の夕方まで待ちます。それでも、連絡がなかったら、こちらとしては北寿老健さんから妹の莉子宛てに、要望文書、という形で、連絡を取っていただきたいです。」

これは、父が自宅にいた時のケアマネージャー立石に進められたことだ。

コオは、それらすべてのやり取りを、藤堂にメールで送り、心ひそかに
(莉子と連絡が取れるようになるまで、部屋が空きませんように)
と願った。
 
 

Day 279までのあらすじのまとめリンク

 

 

Day280-ここまでのあらすじ

 コオはメンタルとともに体調を崩し、さらに激しい物忘れに悩まされつつ、年を越した。そして、父が倒れて1年がたった頃、再び高齢者住宅の紹介業者・藤堂から、”施設に空きが出る”という連絡をうける。空くのは確定であり、コオはすぐに動き出す。

まずコオは現在の老人保健施設に『すぐにキーパーソンである妹と話し合いを持ってほしい』と連絡をする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 
  何度も繰り返すようだが、コオの記憶はこの時期はひどく断片的になっている。
   
   頼りの記録は携帯に残されたメッセージやe-mailのみ。
   
  この長い8050戦争の中で、ささやかな穏やかな時期と、嵐のように降りかかる困難に対処し続けなければならない時期が、まるで波のように繰り返されていくが、この時期はその中で、かなり悪い一時期であったといえる。
 前向きに事が進むときは、たとえそれが嵐の様であっても、コオはその荒波を正確に記録し、対処しようとしていた。
  離婚して一人暮らしになってからも、父の施設探しを進めているうちはまだ良かったのだ。

 莉子が絡み始めたとたんに、すべての事は進まなくなる。そこはコオがコントロール不能な部分だからだ。
 父の介護認定、通帳手続き。年金額のチェック。そして施設の決定。
 これらは、莉子がキーパーソンである限り、莉子を絡めないわけにはいかない。そのストレスに加え、毎週面会に行く父の言葉。莉子だけを案じ、コオを”便利屋”と言ってのける、父の言葉の数々はボディブローのようにコオの精神を削った。
 
 それでも、この時、コオは心を躍らせていた。
 
 ”父をあの施設に入れる。
 父は、気持ちよくあの施設で過ごせるだろう。
 そして、その時こそ、きっと遼吾は迎えに来てくれる。私は、子供たちと夫のいるあの家に戻れる。
 そして、1年前までのように、幸せな日々を取り戻せる。”

そんな風に。
 
 
 

Day 279までのあらすじのまとめリンク

 

 

Day280-ここまでのあらすじ

 コオはメンタルとともに体調を崩し、さらに激しい物忘れに悩まされつつ、年を越した。そして、父が倒れて1年がたった頃、再び高齢者住宅の紹介業者・藤堂から、”施設に空きが出る”という連絡をうける

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「空きが出ます。あの、お父様が希望してらした施設です…!正確な日付はまだですが・・・今月中旬に出るのは間違いないです」

藤堂からの電話に、コオは軽く息をのんだ。なかなか空きのでない、高齢者住宅。しかも、空きが出るのは普通は予測できない。今回は父の希望している民間の施設から、特老と呼ばれる、公的施設に移る人が出たため、事前に分かったのだという。

 「本当に…!それで結論はもちろん早く、なんでしょうが…いつまでに決定すれば?」

 今度こそ、父を入れるのだ。父の入りたい、と言っていたあの施設に。

 「2月中に入居していただければ。」

 藤堂はいった。もちろん、コオは動いた。
 
 まず父のいる北寿老健の担当ケースワーカー浅見に連絡。
  異動希望先の施設に空きが出るらしい。妹と早急に話し合いをしてほしい。
何故なら、移動に関しては異動前と移動先の施設が情報のやり取りをしなければならず、そのためには、当然キーパーソンの許可が必要なのだ。
 
 
 

Day 279までのあらすじのまとめリンク

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 『嶋崎さん、実は・・・また、施設に空きが出ます。』

 コオに藤堂 (高齢者住宅紹介業者 Day200-Day221-(7) 老人ホームの紹介業者からの電話 参照 )から
 電話が来たのは、年が明けてしばらくした頃だったように思う。
 
 父が倒れてから1年がたっていた。
 
 いったいコオはこの年末年始をどう過ごしていたのか、全く記憶にない。
 幼馴染と初詣がてらお酒を飲みに出かけたような気もするし、ただ、アパートで泣き暮らしていたような気もする。
 確か年末あたりに中学時代の同級生たち3人と出かけたような記憶がうっすらある。
 
 コオは離婚したことは、職場では上司も含めて全く話をしなかったし、余りにも面倒な実家の事情は親しい邑木響子(サイドバー参照)にさえ、この時点では断片的にしか語らなかった。
 
『空きが出ます、あの、お父様が希望してらした施設です…!』
 
 

以下あらすじです。整理したいけど整理できてません💦

 

1. 父の入院ER搬送ー転院ー退院まで

2. 父の自宅介護ー再入院まで

3. 父の再入院ー再退院まで

『BattleDay136-Day169 あらすじ』Battle Day0-Day135 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、登場人物は右サイドに紹介があります、1. あらすじ BattleDay0-Da…リンクameblo.jp

4. 老人保健施設(1)高齢者住宅を探せ

5. 老人保健施設(2)コオの事情

『BattleDay232-Day246 あらすじ』Battle Day232-Day246までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)  ある日、夜中に電話が鳴る。遼吾を待つコオだったが…リンクameblo.jp

6. 老人保健施設(3)8050問題かも?

『BattleDay233~279 あらすじ』BattleDay233~279までのあらすじ(登場人物はサイドバーを参照してください)結局、妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかく…リンクameblo.jp

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 身体の痛みに加え、コオの奇妙な物忘れはひどくなる一方だった。『鍵、かけたっけ?』『ごみ捨てるの忘れた』『荷物忘れた』『帽子忘れた』こうして、職場に朝出かけるまでに、3度、多い時は5回も、自転車置き場から部屋に戻った。 
 (若年性アルツハイマーとか、だったりして…)
 いっそ何もわからなくなって、事故にあうとか、死んでしまえればいいのに。そんな事を思った。 1月末に父が倒れてから始まった、妹・莉子との激しい確執。そんななか子供たちの入試、卒業、入学。そして、父の退院と再入院、6月には離婚・別居。
 子供たちの事が、一息つけるようになったところだったのに、コオの幸せは根こそぎ、この1年で崩れていってしまった。
 この年。コオは年末の事も、次の年の年始の事を、ほとんど、まったくというほど覚えてはいない。
 

 

以下あらすじのまとめリンクです。

 

1. 父の入院ER搬送ー転院ー退院まで

2. 父の自宅介護ー再入院まで

3. 父の再入院ー再退院まで

『BattleDay136-Day169 あらすじ』Battle Day0-Day135 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、登場人物は右サイドに紹介があります、1. あらすじ BattleDay0-Da…リンクameblo.jp

4. 老人保健施設(1)高齢者住宅を探せ

5. 老人保健施設(2)コオの事情

『BattleDay232-Day246 あらすじ』Battle Day232-Day246までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)  ある日、夜中に電話が鳴る。遼吾を待つコオだったが…リンクameblo.jp

6. 老人保健施設(3)8050問題かも?

『BattleDay233~279 あらすじ』BattleDay233~279までのあらすじ(登場人物はサイドバーを参照してください)結局、妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかく…リンクameblo.jp

7. 永住型老人ホームの空きと父の気持ち

 

 8. 永住型老人ホームに移りたいなか移りたくないのか


 

以下あらすじです。整理したいけど整理できてません💦

 

1. 父の入院ER搬送ー転院ー退院まで

2. 父の自宅介護ー再入院まで

3. 父の再入院ー再退院まで

『BattleDay136-Day169 あらすじ』Battle Day0-Day135 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、登場人物は右サイドに紹介があります、1. あらすじ BattleDay0-Da…リンクameblo.jp

4. 老人保健施設(1)高齢者住宅を探せ

5. 老人保健施設(2)コオの事情

『BattleDay232-Day246 あらすじ』Battle Day232-Day246までのあらすじ (登場人物についてはサイドバーを参照してください)  ある日、夜中に電話が鳴る。遼吾を待つコオだったが…リンクameblo.jp

6. 老人保健施設(3)8050問題かも?

『BattleDay233~279 あらすじ』BattleDay233~279までのあらすじ(登場人物はサイドバーを参照してください)結局、妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかく…リンクameblo.jp

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

母の一回忌が果たして行われたかわからないままに、時は過ぎた。

 コオは自分の体に異変が起きているのに気が付いていた。
もともと…無理はできる。無理をすることに慣れている、といってもいい。
でも、アパートで独り暮らしを始めてから、体にも、メンタルにも異変は散発的に起きていた。
  

 それは突然に起きた。

 朝、目が覚めた時に骨盤に激痛があった。腰の両側に突き出した骨が痛い。起きれないわけではないし動けないわけでもない。ただ、横になっているとき寝返りが打てないほどの痛みが走る。コオは4年ほど前に骨盤内部に会ったトラブルで手術を受けている。

 それが関係するのだろうか?そして、うまく眠れず、元々早起きではあったけれど、寝た姿勢が辛く、ときおり目が覚めるようになった。そこそこ柔軟だったはずのコオの体は、まるで別人のようにコチコチに固まっていた。

 心配してくれる人は誰もいない。コオはまたそのことに一人で泣いた。
 

 

 こんにちは、Greerです。ご無沙汰しております

 このブログは友人Kの身に実際起こったことをもとにしており、二人のGreerは共同アカウント名です。

私がKの話を文章にし、Kが修正を入れて投稿するという形になっています。

Breakだけは例外で、一気にKではなく私が投稿してます。たいがいKが一緒です。

 

 ・ 人物名・地名・などの固有名詞は基本、仮名です

 ・ 起こったことはほぼすべて現実ベースです

 ・ 登場人物の仕事・人間関係は身バレを防ぐための脚色あり

他の皆さんのブログと同じく現実ベースのフィクション小説形態で書かせてもらっています。

方針としてしては

 ・ 情報的な部分はできる限り正確に(老人ホームの料金プランとか)

 ・ コオのサイドから書いているので、小説の形態はとっているが、コオ以外の人物の感情は極力描写しない

・・・です

 

7月から放置になってしまいました。

私が出張で他国にいたせいが大きいのですが、その後少々体調を崩して寝込んでました。

Realも書いておきたいことがあったりするのですが

その暇もなく。

のせいもあって、いや~笑うほどアクセスされてません。記録なので、それでもこれから書いていこうと思います。

しかし、他のブログを見ていると、自分の書き方が恐ろしく読みにくいことに反省。

少し短めに切って、頻度の高い投稿を目指してみようかと思います

 

またどうぞよろしくお願いします

BattleDay233~279までのあらすじ

(登場人物はサイドバーを参照してください)

結局、妹・莉子からは連絡がなく、父の希望していた老人ホームは、せっかくの空き部屋に入ることができず次の機会を待つことになった。コオはいら立ちを募らせる。莉子ばかり心配する父、同僚のソフィの事故のケア、などはコオを疲弊させる。その中で重症のアレルギー事故をを起こしたコオは、体調とともに心のバランスも大きく崩していた。そして父の誕生日がやってきて、父はケーキを持ってきたコオに、莉子は母と同じ、料理学校に通ったことがあること、それも続かず、アロマテラピーの資格を取ろうとしていたことを話す。コオは、莉子が《自分で働いて、食べていく》ということを考えてないのではないかと恐怖し、父の永住型老人ホーム入居のための資金プランを考え直さねば、と考える。思ったよりも、実家の財政は深刻なのかもしれない、これは8050問題、7040問題とよばれるもなのでは?とコオは思い始めた。
 膨大なストレスにコオは体調だけでなく、メンタルの調子も崩しつつあった。
そんな頃に母の一回忌がやってくる。コオは父から、莉子に法要に出席するかどうか連絡をするように言われるが、日にちの設定が謎であり、莉子に日付の確認をしてくれるように、父に頼む。同時に自分でも調べるが莉子が法要を頼んだ形跡はなく、結局母の命日は過ぎていった。