脚本家/小説家・太田愛のブログ -15ページ目

本日より『相棒 劇場版Ⅳ』が全国公開されます。

 

一昨年の暮れに脚本を担当させていただくことが決まった時から決定稿があがるまでの約4ヶ月、ずっと考えていたことが2つありました。ひとつは、右京さん、亘さん、ゲストの方々をはじめ、相棒ファミリーの皆さん全員が生き生きと活躍する『相棒』らしい物語にしたいということ。もうひとつは、映画館の大きなスクリーンで観て楽しんでいただくのに値するスリルと迫力のある、そして魂の入った物語を作りたいということでした。

 

スタッフ、キャストの方々に脚本をお渡ししてからの10ヶ月あまり、私もこの日を心待ちにしていた者の一人です。映画館でご覧くださる皆様の胸に、制作に関わった全員の思いが届きますことを、スタッフの一人として心より願っています。風の冷たい季節ではありますが、ぜひ映画館へ足をお運びいただき、『相棒 劇場版Ⅳ』をご覧いただければと思います。本編に続くエンド・クレジットには、シナリオにはなかった素敵なラスト・カットを橋本一監督が付け加えてくださっています。どうぞクレジットの最後まで、お楽しみください。

 

また、現在、書店では先月文庫化された拙著『犯罪者』が発売されています。取材と執筆に7年をかけた本格長編クライムサスペンス小説です。映画をご覧になって太田愛の書く物語にご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、お手にとっていただければ幸甚です。

 

二月吉日

相棒season15 第14話『声なき者~突入』、お楽しみいただけましたでしょうか。

先週、放映後にメールをくださった皆様、ありがとうございました。

『声なき者~籠城』『声なき者~突入』のシナリオは月刊ドラマ3月号(2月18日発売)に掲載されます。シナリオから映像になる際には常にそうなのですが、若干カットされている部分や変更箇所もございますので、映像とシナリオを比べて二度お楽しみいただけるのではないかと思います。

では今回は先週、触れられなかったゲストの方々について。CARSの代表・水野を演じてくださった迫田孝也さん、IT関連社長から元ヤクザまで豹変する見事な快演で見入ってしまいました。ゲストと言うより、相棒ファミリーの尊さん、喫茶店の場面はもちろん、菊の御紋を背負って電話する姿もいつもながら端正かつ凛々しいのが嬉しい。清々しくお茶を飲んでいた米沢さん、右京さんと亘さんが現れての二度見がチャーミングでした。そして、初登場の山崎警視監を演じる菅原大吉さん、さすがの迫力と抜群の存在感で右京さんとの次なる対決を期待させてくれます。そして――

今週の土曜日にはいよいよ『相棒劇場版Ⅳ』が公開となります。

橋本一監督のもと、劇場ならではのスケール感のある作品となっております。是非、劇場に足をお運び頂いてご覧になってください。

 

2月18日発売の『天上の葦』のカバーができました。

 

カバーはジョルジュ・ラ・トゥールの『聖ヨセフの夢』です。右が聖ヨセフ、左が天使です。ラ・トゥールは17世紀前半に活躍したフランスの画家ですが、没後は忘れられ、20世紀初頭になって再発見されました。現存する真作は40点ほどで、ほかは全て失われてしまったそうです。

2005年に上野の国立西洋美術館で開かれた展覧会でこの絵を観て、強い印象を受けました。ちょうど第一作目の小説『犯罪者』の執筆を始めたばかりで、鑓水も相馬も修司もまだおぼろげな輪郭しかなく、物語の骨格を打ち立てることに腐心していた頃でした。

彼らの登場するシリーズ第三作『天上の葦』を書き上げた時、不思議と十年あまり前に観たこの絵のことが思い出されました。

老いと記憶は『天上の葦』のモチーフのひとつでもあります。物語の旅を終えて本を閉じた時、この書影に何かを感じて頂ければ幸甚です。

 

13 話『声なき者~籠城』、お楽しみいただけましたでしょうか。

車中での右京さんの「よろしく、どうぞ~」は絶妙のアドリブだったのでした。

 

さて、来週の14話『声なき者~突入』は怒涛の解決編となります。

今回はアクションもございます。殺陣の二家本さん、所さんには、これまでもたびたびお世話になっているのですが、相変わらず冴えわたっています。

では、来週の個人的なツボを少し。

 

「Oh なるほど」

「航空機……!」

角田課長の秀逸なメガネ使い。

「私!?」

即座に決断する伊丹さん。

全編にわたる芹沢さんの鮮やかなリアクション(ご注目ください)

あうんの呼吸で現れる大木さん。

ビニールカーテンを開けて入ってくる亘さん。

公衆電話の外の雪。

山崎警視監がある部屋へ入室してくる時の、ちょっとスローのかかったカット。

 

などなど見どころ満載です。さて、来週までの一週間をあっというまにお過ごしになりたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ先週、文庫となった最初の小説『犯罪者』をお手にとってくださいませ。こちらは、白昼の駅前で四人が刺殺される、衝撃の通り魔事件に端を発して怒涛の展開が続くクライムサスペンスです。こちらに感想がたくさん掲載されております。

犯罪者(上) 犯罪者(下)

この一週間が、心楽しい一週間となりますように。

 

 

『犯罪者』、『幻夏』に続くクライム・サスペンスシリーズの第3弾『天上の葦』(KADOKAWA刊)が2月18日(土)に発売されることが決まりました。アマゾン、楽天ブックスなどネット書店での予約も始まっています。

 

『天上の葦』では、先日、文庫化された『犯罪者』を既読の方にはすでにお馴染みの、鑓水七雄(やりみず ななお)、相馬亮介(そうま りょうすけ)、繁藤修司(しげとう しゅうじ)の3人組が新たな事件に挑みます。まずはアマゾンさんからあらすじなど。

 

*上巻

生放送に映った不審死と公安警察官失踪の真相とは?感動のサスペンス巨編!

白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。死の間際、正光はあの空に何を見ていたのか。それを突き止めれば一千万円の報酬を支払う。興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。そして老人が死んだ同じ日、ひとりの公安警察官が忽然と姿を消した。その捜索を極秘裏に命じられる停職中の刑事・相馬。廃屋に残された夥しい血痕、老人のポケットから見つかった大手テレビ局社長の名刺、遠い過去から届いた一枚の葉書、そして闇の中の孔雀……。二つの事件がひとつに結ばれた先には、社会を一変させる犯罪が仕組まれていた!? 鑓水、修司、相馬の三人が最大の謎に挑む。感動のクライムサスペンス巨編!

 

*下巻

日常を静かに破壊する犯罪。 気づいたのは たった二人だけだった。

失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の三人が辿り着いたのは瀬戸内海の離島だった。山頂に高射砲台跡の残る因習の島。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、誰もが思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。

――君は君で、僕は僕で、最善を尽くさなければならない。
すべての思いを引き受け、鑓水たちは力を尽くして巨大な敵に立ち向かう。「犯罪者」「幻夏」(日本推理作家協会賞候補作)に続く待望の1800枚巨編!

 

太田 愛:香川県生まれ。大学在学中よりはじめた演劇活動を経て、1997年テレビシリーズ「ウルトラマンティガ」で脚本家デビュー。「TRICK2」「相棒」など、刑事ドラマやサスペンスドラマで高い評価を得ている。2012年、本作『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補となる。

 

約2年を費やして書き上げた『天上の葦』。執筆にあたって膨大な資料を読み込む必要があり、思いのほか時間がかかってしまいました。「第三弾はまだですか」というお問い合わせ、「待っています」という励ましのメールをくださった皆様、ありがとうございました。お待たせしてしまいましたが、それに値する密度の濃い作品に仕上がったと思っています。

近々にカバー画もアップする予定です。

鑓水、相馬、修司との再会を楽しみにしていてください。

 

 

 

 

先週の中ごろ、『少し早いですが1月25日、デビュー20周年おめでとうございます』というエールを拝見しました。ウルトラマンティガで脚本家としてデビューしたのは97年の1月と記憶していたのですが日付までは正確に覚えておらず、確かめてみるとまさにその通りでした。エールを下さった皆さん、ありがとうございました。

その20周年の明日、長編小説第一作目の『犯罪者』の文庫版が店頭に並ぶことになりました。まったくの偶然なのですが、長かったようなあっという間だったような感慨深い思いです。

小説には言葉を磨きこんで一人ですべてを織り上げる自由があり、脚本にはスタッフやキャスト等の各分野のプロフェッショナルの方々に物語とセリフだけを手渡して映像作品として完成していただく期待感があります。それぞれにまったく異なる面白さがあり、いずれも私にはかけがえのないものです。

文庫になりました機会に、小説中のひとくせもふたくせもある登場人物たちにお会いいただければ幸いです。

 

criminal

 

さて、来週の相棒です。2月11日公開の劇場版Ⅳに繋がる二話連続スペシャルの前編。

中心となるのは右京さん、亘さん、尊さんの三人が関わった一年前の籠城事件です。

一昨日、ひと足先に拝見したのですが、個人的なツボを少し。

「ナッポーリターン」

「みかんをいっぱいもらったので、今から持っていっていいかしら」

いつもながら息がぴったりの右京さんと亘さん。

髪をかきむしる米沢さん。

背中で決断する内村部長。

良心的な中園参事官。

人質を案じる伊丹さん、芹沢さん、吉岡班長。

右京さんを見て立ち上がる尊さん。

なぜか妙に息の荒いカメラの男性。

ゲストの方々についてはネタバレにならないようここでは触れませんが、特命係の部屋から続く最後の連続シーンは見事な演出に息をのみました。池先生の音楽がズバリとはまっていて高揚しました。

どうぞお楽しみに。

相棒season15の13話と14話の脚本を担当しました。

来週25日はお休みですので、放映は2月1日と8日です。

ストーリーは前編後編の作りになっています。

右京さん亘さんレギュラーの皆さんに加えて、尊さん米沢さんも2週続けて参加されて、賑やかに2月11日公開の劇場版へと続きます。

 

13話と14話は私もまだ完成作品を観ていないので、待ち遠しいかぎりなのですが、脚本では、亘さんと尊さんがお互いをどう思っていて、今、どんな関係なのかさりげなく解る感じになっています。

また、右京さん亘さんと、伊丹さん芹沢さんのちょっとコミカルな絡みもございます。

米沢さんは以前にも増して右京さんと亘さんに翻弄されております。

内村部長、中園参事官、大河内監察官、組対五課の面々も健在。

そして今回、劇場版に登場する山崎警視監が初登場となります。

 

どうぞお楽しみにお待ちください。    

 「相棒」の画像検索結果

『犯罪者』文庫版のカバー・デザインです。

もうあちこちのサイトに出ているので、お見かけになった方もいらっしゃるかもしれませんが、上下巻合わせて並べると、こんな感じになります。(ちょっと隙間が空いていますが…)

                                   

装丁は、坂詰佳苗さんが手がけてくださいました。

書店に置かれるのは今月25日です。

 

文庫化にあたって、物語はまったく変わっていませんが、読みやすくなるよう文章に細かく手を入れていきました。何年か前に自分の書いた文章を直していく作業は、当時の自分自身の勢いと動機を削がないよう注意を払う難しさもありながら、一方で、懐かしい登場人物との再会をはじめとして様々な楽しさもあるものでした。

 

本作は鑓水・相馬・修司のクライム・サスペンスシリーズの第1弾で、2月には第3弾にあたる『天上の葦』が刊行されます。『犯罪者』『幻夏』『天上の葦』とそれぞれに独立した物語ですが、新作『天上の葦』では、第1作の登場人物が意外なかたちで再登場します。もちろん『天上の葦』から読み始めてくださっても、物語を読んでいく上で何の支障もございませんが、もし『犯罪者』を読まれた後に『天上の葦』を読んでいただければ、いっそう楽しんでいただけるのではないかと思います。よろしければ、ぜひご一読ください。

 

 

新年あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

今年の上半期は1月、2月に集中して、小説の刊行、脚本を担当した映像作品の公開があります。

 

まず、1月25日に小説『犯罪者』の文庫が発売されます。第一作目の小説『犯罪者クリミナル』の文庫化です。内容には変わりありませんが、読みやすくなるように文章に細かく手を入れて全体をブラッシュアップしました。アマゾンなどでは予約も始まっているようです。近々に、表紙の画像をアップできると思います。

 

2月11日には、脚本を担当した『相棒 劇場版Ⅳ』が全国公開されます。こちらは昨年、ブログでもお知らせしたとおりで、現在、公式サイトで予告編をご覧いただくことができます。あちこちでストーリー等が紹介されていますのでここでは控えますが、スタッフの一人として、ぜひ一人でも多くの方にご覧いただけることを願っています。

 

また、TVシリーズ『相棒15』の脚本も担当いたしました。放映日程等が発表できる時期が参りましたらブログでお知らせいたしますので、しばらくお待ちくださいませ。

 

それから、2月中旬頃に、新作の長編小説『天上の葦』刊行される予定です。『犯罪者』『幻夏』に次ぐ、鑓水、相馬、修司たちのクライム・サスペンス・シリーズ第3弾です。

ある秋の午後、大勢の人々で賑わう渋谷スクランブル交差点で起きた、老人の奇妙な死。そして時を同じくして起きた一人の公安警察官の失踪。この二つを発端として展開する事件に、鑓水たちが挑みます。おなじみの脇役、新しい脇役、そして意外な人物の再登場もあります。また、事件を通じて鑓水の生い立ちが初めて明らかにされます。

約2年を費やして書き上げた『天上の葦』。ようやく皆さんに読んでいただけるところまで漕ぎつけました。詳しい発売日などが決まりましたら、こちらもブログにてお知らせいたしますので、お手にとっていただければ幸甚です。

 

本年が皆様に幸多き年になりますようお祈り申し上げます。

                                  2017年元日

 

『相棒 劇場版Ⅳ』の脚本を担当しました。

 

公開は、2017年2月11日(土)。

劇場版のホームページで特報第1弾がご覧になれます。

                        (HPはこちら