読んだり観たり聴いたりしたもの -49ページ目

臨機応答・変問自在 森助教授VS理系大学生/森博嗣

期待しすぎた。

もっと、こう、真剣同士がぶつかって火花が散るような丁々発止を期待してしまっていた。
しかし、いくら20年のストックがあるとは言え、そうそう面白い質問があるわけ無いのだ。
特に、森さんという強烈な存在に渡り合えるような鋭く興味深い質問が、その辺の大学生連中に思いつけるはずも無いだろう。と言うより、むしろ、本当に理系の大学生かという、レベルの低い質問の多さに強烈に驚いた。まあ、読み物として楽しむために、わざわざそうした物をチョイスしたのだろうけど。

結果、まあそこそこ読んで面白くないことも無いかな、程度の内容だ。低レベルの質問に対する森さんの返しとその行間をじっくり味わえる森ファンなら、そこそこは楽しめるだろうか。

臨機応答・変問自在の過去エントリ

森博嗣
臨機応答・変問自在 森助教授VS理系大学生

先週読んだ漫画 14/10/12-10/18

●テニスの王子様 19巻/許斐剛

関東大会続き。手塚は療養のため単身九州へ。発奮する部員達。まあ、面白くないことは無いんだけど、正直飽きてきた感が強い。次巻読んで継続かどうか決めよう。


●ケロロ軍曹 15-16巻/吉崎観音

相変わらず面白い。が、前巻末に結束設立したオカルト研の話はどーなったんだ。折角、冬樹に猛アタックする桃華が見られると楽しみにしていたのに残念。巻末の、一点シリアスなモアイ編もよいアクセント。だが、これこそオカルト研のターゲットな訳で桃華も連れてこなきゃ嘘でしょ。まあ、次巻に期待。

GC/巨人のドシン/任天堂

これも旧機種ローテで、Wiiの稼働用に候補から選択。さくっと出来そうだったので。
9月の終わりに開始して、2週間ほどに渡り、1日1,2時間ほどちょこちょこ遊ぶ。遊ばない日もあったので、累計では15時間程度か。
とりあえずゲーム内に示されたモニュメントのリストをコンプするという目標があるのだが、飽きてきたのでほどよいところで終了とした。リスト16個のうち、残4個。

南の島を舞台としたシミュレーション&アクションだろうか。人間達が原初の素朴な生活を細々と営む島。そこへ巨人のドシンが現れた。身長数十メートルのドシンは、怪力で重い物でも持ち上げられ、土地の高さを上げ下げする不思議な能力も持っていた。普段はニコニコ顔の(パッケージに描いてあるような)優しい巨人だが、ジャシンと呼ばれる破壊の権化と化して暴れ回る事も可能である。ドシンは、人間達が吹き出しマークで頭上に示す、彼らの願いや悩みをかなえてあげた。ここに木を植えて欲しいと言われれば遠くから引っこ抜いてきた木を植え、土地がデコボコだと言われれば、アゲサゲ能力で整地するのだ。また、時折発生する火事や竜巻、大雨などの災害には、それぞれ対応するアクションで被害を抑える事も可能である。
人間達の村落は徐々に発展し、建造物や人数が増え、集落が成長MAXに達すると、最後にモニュメントと呼ばれる建造物を作り出す。このとき、木々が生まれ変わる際に生成される[花」のアイテムを投じる事で、モニュメントリストに載せる事が出来る立派なモニュメントを作らせる事が可能だ。このモニュメントは、集落に暮らしている人間達の種類の組み合わせの影響を受けて変化する。人間は、赤青黄緑の4色の部族に分かれており、それらの組み合わせてで集落のカラーが決まる。単色、二色組、三色組、四色組の組合せ計15種類と、最後の謎モニュメントの全部で16種類のモニュメントが作成可能である。
人間達は個々にドシンの印象を抱いており、ラブからヘイトまでの印象パラメータが存在する。望みを叶えてやればラブが高まり、怖がらせればヘイトが募る。ジャシンに変身して村落を壊滅させ人間を虐殺しまくれば、あっという間にヘイトの極みに達するだろう。
これら個々の印象はハートマークとドクロマークとなって、ドシンへと漂い、どちらかのマークを21個集めると、ドシンは一回り大きく成長する。何度も成長すれば、どんどん大きくなってゆく。大きくなれば力も増え、持ち上げられる物も増えるし、移動速度や整地力も上がる。その一方で、うっかり人間を踏みつぶしたり建物を破壊してしまったりするリスクも増大する。
ゲームは日の出と共に始まり、日没と共に終了する。次の日に現れるドシンは、別の、次代のドシンであり、大きさはまた元に戻ってしまっている。
こうして何世代ものドシンをプレイし、人間達が暮らす島の発展を見守るゲーム、と言うのが巨人のドシンの概要だろうか。

しかし、このゲームには、一部を除いてゲームオーバーという物が無いので、特に何かをすることを強制されるわけでは無い。
人間達の欲求に答える必要は無いし、せっせとモニュメントを開発する必要も無い。何もせず、ぼーっと人間や鳥や動物が動き回るのを眺めているだけもよい。人間などほっぽり出して、アゲサゲ能力で巨大な構造物を一生懸命作るのも一興だろう。ムスカの台詞を吐きながら、全ての集落を完全に破壊し焼き払って回っても良い。一言で言えば、まさに箱庭で自由に遊ぶゲームである。
人間達や動物などのリアクションも結構細かくいろいろ動くので、結構ハマって、数時間は没頭していろいろ遊べて楽しいゲームである。
しかし、モニュメントリストを埋めよう、と思うなら、することと言ったら、整地して集落を誘致して、人間の要求に応じて木を運んだりアゲサゲして、枯れ木を集めて花を生成する、という繰り返しになる。それでもまあ楽しくないことは無いのだが、これを十数回やるとなると、だんだん飽きてくる。おまけに、集落の色管理が結構大変で、たった一人でも色の影響を与えてしまう、というのはキツイ仕様だ。黄色の単色村に一人でも赤がやってくると、もはやそこは赤黄村となってしまうのだ。これを元に戻そうと思うと赤人をすくい上げて遠くへ捨ててくるか、殺害するしか無く、結構手間が掛かってしかも後味良くないし、そうしてうかうかしているうちに赤族が増殖してしまうともはや実行はうんざりとなってしまう。
これが面倒でコンプをあきらめた。
しかし、ここまで駄文を書いている内に、やっぱりリストコンプをしたいな、と思えてきた。どうしよう。悩むなあ。

ともかく、箱庭ゲーが好きな人は、そこそこ遊べると思う。あれをしたらどうなるか、これはできるのか、と自分で目標を作って遊べる人ね。逆に、提示された目標を撃破していくのが好きなタイプの人は、することが無くて即飽きるだろう。

このゲームのデザイナは、アクアノートの休日や太陽のしっぽを作った、バーラム(当時)の飯田和敏である。明確な目標が無く、ゲーム世界をスキに探索しろ、というデザイン傾向はやはり似ているな。ちなみに、現在プレイ中の風のリグレットには、彼が斎藤由多加と共に友情出演している。

もし続きをプレイしたら報告しよう。

任天堂
巨人のドシン

先週読んだ漫画 14/10/05-10/11

●ナルト 55巻/岸本斉史

忍界大戦勃発。戦端が開き、両陣営入り乱れての激戦が始まる。が、その戦いの中心が、カブトの禁術、穢土転生で蘇ったかつての強者ども、ってのはどうなんだ。一人二人ならまだしも、倒れた敵味方ほとんどが揃ってるじゃんか。つまり、ここまでのお話のバトルを、もう一回やれって事ですかい?それはちょいと水増し感が酷いのでは…。それとも何か考えがあっての事か?ファンとしてもかつての勇者が汚されるのを見たいとは思えないし、微妙では。


●パタリロ! 39巻/魔夜峰央

巻頭、バイ菌とパタリロの話を読んで、ああ、もやしもんの原点か、と面白かった。スーパーキャットと人間の恋のお話もよい。エンドがぐっと来る。


●もやしもん 7巻/石川雅之

フランス編が終わり日常へ。及川主役の巻。収穫の秋を迎え、研究室は、大醸造祭りへと突入。米から日本酒と酢、豆と麦から醤油味噌と、チーム分けして連日連夜の大奮闘。多忙な肉体労働の合間を縫って和気藹々と親しむ若人達。しかし、及川は、何か自分にだけ知らされていない秘密があるのでは…と勘ぐり、謎の多い樹教授と醸造施設、そして戦時中の秘密の研究などを解明しようと一人で動き始める。やがて仲間達も集い、ついに地下施設の存在を明るみに出すが、一枚上手の教授により、それは唯の通路であると納得させられてしまう。一方、禁が見えるという秘密を打ち明けた沢木は、冗談としてあっさりスルーされてしまう。展開があるようで無いようで。次巻どうなる。


●しろくまカフェいちご味!/ヒガアロハ

しろくまが経営するカフェに入り浸る動物園パートのパンダなど、動物たちと人間が織りなすほんわかギャグで日常を描いた、シュールかつのんびりといった動物漫画。職場に落ちていたのでざっと読んでみた。悪くは無いが、そんなに刺さるものもない。好きな人は好きだろうなあ、という漫画。


DC/リアルサウンド風のリグレット/ワープ

昨日からプレイ開始。
いつかプレイしたいなと思っていた積みゲーストックからDC用ゲームとして本作をチョイス。
これは、あまり遊ばなくなった旧機種もたまには稼働させないとイカン、という旧機種ローテーション作戦の一環である。詳細はまた別途エントリを書こうと思っている。
ちなみにこのゲームは元祖のSS版も持っているので、本来ならそちらをプレイすべきかも知れないが、何となくDC版を選択。しかし、こと「音」を最重視するこのゲームにおいては、DCのファンとシーク音の爆音レベルに選択を誤ったかも知れないとやや後悔。
そうそう、ゲーム選択のファクターとして飯野賢治追悼という思いも、なきにしもあらずかな。

さて、ゲームファンに有名なこの作品は、大変な異色作である。それは、画面表示が一切無く、「音」だけを使って遊ぶゲームであるからだ。なお、SS版など、本来は真っ暗な画面でプレイするゲームなのだが、DC版には画面に延々と風景写真をスライドショーしてくれるビジュアルモードが搭載されている。ところが、この写真がゲーム内容と全く何も関係なく、そこは大変残念であった。ただし、真っ暗な画面だとグレアなTVではプレイヤーの姿が映り込んで大変興を殺ぐので、使用するのも手だろう。しかし、DCでは、このスライド写真の読み込み時に、例の爆音のシーク音が発生するので、使用しない方が音環境としては向上するだろう。
メニュー等での十字キーでの選択操作でも、キチンと選択しようとしている項目を読み上げるので、本当に画面は不要である。視覚障害があってもプレイできるゲーム、ということで話題になっていた事もあった。シート状になったマニュアルの最初のページには点字が書いてある程だ(が、なんて書いてあるかは分からない)。

ゲーム内容はルート選択式アドベンチャーである。シーンの要所で、主人公の台詞を2~3種類からチョイスし、選択によって変わる展開を楽しむゲームであろう。
テーマ的には、小学生の夏、実らなかった初恋、大人になった今、忘れ物を探しに、というようなイメージか。
既に一回プレイしてバッドエンドで終了した。1回のプレイが約4時間程度。スキップその他の便利機能は何も無いので、周回プレイは非常に厳しいだろう。
音にこだわって作ったゲームなので、ちゃんと音を聞け、しっかり聞け、という意思(というか押しつけ)をガンガンに感じる作りである。確かに、よーく聞く事で、音の違いで、ストーリー理解の一助になる、という要素もいくつかあるようである。それでも、音声だけの操作系統ではスキップ機能を実装するのは難しかったのかも知れないが、Rトリガーで次の選択肢までスキップ(初聴の場合を除く)、という機能があれば便利だと思う。
また、再生される音自体も、結構冗長である。リアルサウンド、とタイトルにもこだわっているようだが、ふつうのADVなら、ボイス+SE+グラフィックスで表現すべきシーンのディティールを、音だけで、つまり、ボイスと環境音とSEを重ねて1発録り、という感じで表現しており、また、台詞の無い場面では延々と無言でゴソゴソ音がしているだけ、というような表現が多く、リアルではあるかも知れないが、間延びした印象で結構ダレる。同様に挿入歌やBGMも尺が長すぎる印象。
また、音のレベル調整がイマイチというか、途中で大きく変わってしまう。音のゲームとしては、はっきり言ってこれはバグと等しいだろう。※これは勘違いでした。DCの起動は久しぶりだったので、本体裏のケーブルが緩んでいました。刺し直したら適正にそしてクリアになりました。

とまあ、アイデアは買うものの、その表現とプレイアビリティはお世辞にもほめられたものではない。傑作と呼ぶにはほど遠いゲームだろう。
しかし、それでもプレイするのは、実際の所、プレイしたくなる魅力が本作にはあるからだ。
それが何かはまだ完全に掴んでは無いが、脚本とキャストの魅力が大半を負うだろうと思う。特にメインのヒロインを張る菅野美穂の、語尾が少し上がるような、あっけらかんとした幼げな台詞の表現はヒロインを実に上手く捉えている。

もう何周かプレイしてルートを探ってみようと思う。コンプリートを目指す気は毛頭無いが、トゥルーエンドは見たい、じゃなくて聴きたいものだ。トゥルーエンドには矢野顕子のエンディング曲が流れるそうなのでそれを楽しみに頑張ろうと思う。

ストーリーや脚本の感想はその後に書こう。

ワープ
リアルサウンド風のリグレット

ポポロクロイス物語

昨日出掛けた際に立ち寄ったブックオフで見かけて衝動買いした。
先日クリアしたばかりの素晴らしいRPGのサントラである。
早速聴いているが、シーンを思い出しつつ、やはり音楽としても良いなーと思って、ふとジャケットを開いて驚いた。
エンドロールでは気付かなかったが、なんと、ほとんどの曲は佐橋佳幸の作編曲だったのだ。
そりゃ良い曲な訳だよ。
こんなところで名前を見るとは思ってなかったのでビックリ。

実は、20年ほど前に、ライブで佐橋佳幸を見た事がある。鈴木祥子のライブだった。しかも日清パワステの最前だったので、目と鼻の先、3mほど前でギターを弾いていた。MCでは確か、じっと目を見つめて話をするようなヤツは信用できない、というような事を、照れながらポツポツとしゃべっていて、シャイな人なんだな、と思ったのを覚えている。
wikipediaを見る限りでは、佐橋佳幸はゲーム音楽への関与はこの1作のみのようだ。貴重な再会である。

とまあ、閑話休題。
エンディングに流れるタイトル曲をじっくり聞けるのは良いね。しばらく掛けてみよう。
でも、クラニンのゼルダ神トラ2のサントラも届いたんだよね。ネタバレになりそうで、聴こうかどうしようかちょっと迷っていたり。

SME
ポポロクロイス物語

臨機応答・変問自在2/森博嗣

図書館の書架で目に付いたので手にしてみた。いきなりの2だが、一般からの短い質問に森さんがさらに短く答えるというQ&A集という体裁なので問題ないだろう。
内容は、可も不可も無く、面白くないわけでも無い、程度か。
「Q. 森さんは○○をどう思いますか?」「A. どうも思いません」みたいな、表面的に見ると非常に無益な文章が続くので、森博嗣を全く知らない人間が読んだら面食らうだけだろう(そんな人はあまりいないと思うが)。著作をいくつか読んで、作家森博嗣のイメージを構築した後、上記のような問答の行間を読むという、実にファンアイテムだろう。
実際、この2を作成するに当たり、質問はサイトでファンから募集したものらしいので、そうした色合いが濃いのも道理である。
その点、第1巻は、森さんが大学の授業で学生に書かせた質問の20年のストックからのチョイスらしい。本書でもばっさりと書かれているが、これはどうしたって1巻の方が面白いに決まっている。
と言う事で早速1巻を予約してみた。

森博嗣
臨機応答・変問自在2

先週読んだ漫画 14/09/28-10/04

●花のズボラ飯/久住昌之/水沢悦子

良い書評を多数見て、いつか読みたいと思っていた。職場に転がっていたので拾って読む。
はっきりと読者を選ぶ漫画だろう。この作品はタイトルから連想させるイメージとかなり違う。すごく手抜きな食材やズボラな調理法でも、あっと驚くおいしい料理が出来ちゃう!といったグルメ漫画では「決して」無い。料理だけでは無く、主人公のハナ自体がズボラなのである。ハナは夫が単身赴任の留守宅を預かるパート主婦であるが、独り身の気楽さから、部屋中ゴミが転がり、洗濯物は脱ぎ散らかされ、本や雑誌は積み上がり、食卓は仮置きの雑物が占拠する状態だ。面倒だと風呂に入らずソファーでうたた寝。真夏の休日にはクーラーの効いた室内で昼まで寝た後、お菓子を食べてさらに昼寝。ブラをハズしたTシャツにパンツ一丁の姿でゴロゴロするのがお気に入りだ。そんな、ズボラなハナがズボラに飯を食う、というそれだけの漫画なのである。その飯にしても、ジャーに残った昨日のご飯で卵かけご飯と出来合いの柴漬けとか、3日目のカレーとか、鮭フレークのせトーストとか、ふりかけご飯とか、実にズボラ感満載だ。
この漫画のポイントは、いくつかあると思うが、ひとつは、欲求と代償だろう。メニューの内実とは裏腹に実に官能的に描かれたその食餌シーンの描写は、一人きりの寂しい生活で昂じた欲求が、三大欲求のもう1辺である食欲に奔流したと思えるほどだ(もちろん睡眠にも注がれている)。そして、その食餌の際の、繰り返されるダジャレやギャグや一人実況、一人ボケ突っ込みなどの、堰を切ったかのような独白台詞の数々も、そうしたハナの心境を切々と物語っているようで涙を誘う。日本人の中底辺層をモデルとしたハナには、夢も希望も無く、自らの暮らしを律する意思もなく、かといって不幸でも無く、夫のゴロを待ちながら、張りの無い暮らしが埃のように積もってゆく中ただただ膝を抱えているだけである。しかし、そんな生活の中でも、自らエサと表現するような侘びしい食餌に、自身の存在をその一点に賭けたかのような喜悦を見いだす人間の動物性はどうだ。幸せを見つけてしまえる人間の強さ。そして、そうした強さを持ってしまった故の弱さが余す事無く表現されているだろう。
しかし、そうしたメタな視点を持たなければ、ハナの心情に非常に共感できるという人を除けば、単に幼児的でだらしない女が不衛生で屑のような食餌を下品に食べる、というだけの漫画に過ぎないだろう。ネットでもそうした観点からの酷評が多い。下手に書評等で持ち上げられたため読まなくても良い人が大挙して読んだ結果だろう。
ちなみに、仕事で個人宅を数多く訪問した経験からいうと、ハナの家の汚れ具合乱雑具合は中の下程度であろう。散らかっている事を本人が意識しているだけましである。下には下がある。上がる際に靴を脱ぐのを躊躇するような家を何軒も見てきたものだ。まあ、この漫画ではそうした細部は省略されているだけかも知れないが。
私は、ハナには全く共感できないし、魅力も感じないが、眺めている分には実に味があると思う。2巻もあるようなので機会があれば。

ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる/山田昭男

書評で見かけて読んでみた。
ベースはワンマン社長の、成功している我が社はこんな社風なんやで、別に大したことない当たり前の事をしているだけやのに(謙遜)、なんで他の企業にはできひんかなあ?とどや顔で語る良くあるタイプの成功体験記かな。
そのベースとなる方策とは、会社を儲けさせてくれる社員を徹底的に優遇し、人間として信頼し、やる気を持って仕事に当たってもらう事により、業績を上げるという手法。
管理をせず、全社員が自分で考えて責任を持って行動する(全社員が正社員)。ノルマも無い、計画の押しつけも無い。やりたい事は何でもやってみろ、という方針である。アメとムチでは無く、アメ・アメ・アメ作戦。職能は単に会社での役割分担に過ぎず、人間的な偉さでも何でも無い。なのに、人間とはえてして地位を得ると勘違いして部下を管理し始める。社長を退いた現相談役の著者の仕事は、そうした放っておくとつい管理したがる人間に目を光らせる事だ。

書いてある事の本質は簡単だ。
働いているのは人間である。人間としてどう感じるかを、その人の身になって感じる事。それが出来れば経営は出来る。
例えば、業績が振るわないからと、お盆休みを3日減らしたらどうなのか。3日分の売り上げ増より、やる気を無くして他の営業日の売り上げがむしろ下がるだろう。
正社員の半分の給料で派遣を雇ったらどうなのか。表面的には人件費は半額になる。が、同じ仕事で半分しか給料をもらえない人が、やる気を持って働くわけが無いだろう。そして、そんな気分の人が居る職場の雰囲気は、良いものになるはずが無い。

この、人間が働く事、という本質は重要であり、かつ、全く重視されていないという著者の主張には首肯するばかりだ。
もし、どこかの企業で働けと言われたなら、この未来工業に勤める事は良い選択肢の一つになるだろう。

現状では。

そう、惜しむらくは、こうしたユニークな社風というのいうのは、主に属人性がもたらすものであるのだ。著者が誇る社内に広がった「未来工業イズム」は、著者の目の黒いうちは安泰だろう。
しかし、本当の意味で彼の意思を受け継いだ、しかも権力のある後継がいなければ、いくら50年近く続いた社風でも、あっという間に風化するだろう。庭と同じで、誰かが汗水垂らして手を入れ続けないと、あっという間に雑草が跋扈するのだ。

私が以前勤めていた会社がそうだった。
同じように社員尊重を掲げたユニークな中小企業だった。アクの強い、カリスマ社長が、自分のそうした企業理念を実現するために経営しているかのようだった。そんな社長に惹かれて社員が集まっていた。私のその一人だ。しかし、カリスマ社長が体調を崩してバトンを腹心の専務に渡したとたん、その新社長は独走し始める。元社長と新社長は対立しケンカしたが、体力が弱っていた元社長はケンカを続けられず、とうとう新社長に株を全部売って身を引いてしまった。私は騒動が起きる前に泥舟から逃げ出したネズミのクチだったが、残った同僚の中には苦汁をなめた人も多かったようだ。企業自体は成長している(業界自体が復興需要もあり拡大)が、その原動力となっているのは体質のブラック化の様子だ。

中小企業はワンマン社長で無いと回らない。が、ワンマン故に、回している者の人間性がもろに出る。天国にするのも、ブラックにするのも、いとも容易い事である。
未来工業の素晴らしい環境も、この著者があって、目が届くこの規模であるから、なしえているものではないかな、と思う。素晴らしい就業環境が続く事を祈るばかりである。

山田昭男
ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる

先週読んだ漫画 14/09/14-09/27

書き忘れた先々週と合わせて。

●大奥 8巻/よしながふみ

御代は吉宗から家重へ。この国をむしばみ続ける疱瘡の国難にも光明か?女子にも蘭学を学ばせ、対策を重点化する田沼意次の策は当たるのか。平賀源内(女子)も登場し賑やかに。次巻も期待。

●ナルト 54巻/岸本斉史

九尾のチャクラコントロールをマスターしたナルトは、スパイとして入り込んでいた鬼鮫を見抜く。ガイの活躍で鬼鮫を仕留めるも、情報は漏れてしまう。その頃、長門を隠し、自らの命と引き替えにマダラを倒そうと秘策を仕掛ける小南。辛うじてかわすマダラ。鬼鮫の情報と長門の目を手に入れたマダラは、いよいよ八尾九尾の捕獲に入る。送り込まれたのはカブト。そして傀儡となったデイダラ。対するは急遽護衛に飛んだ土影一行。因縁の対決のスキに、カブトはヤマトをさらって帰還。急展開、次巻どうなる。

●パタリロ! 38巻/魔夜峰央

ヒューイットのロリコン、バンコランの浮気と性癖ネタ多し。マリネラテンの話は珍しくほっこり独語感か。

●テニスの王子様 18巻/許斐剛

関東大会1回戦、氷帝戦。手塚vs跡部のトップ対決に幕。負傷リタイアの部長に代わり、ようやく登場の補欠リョーマに全てが掛かる、という展開。が、あっさり下して勝利。

●カードキャプターさくら 12巻/CLAMP

12巻完結。クロウカードの物語は幕を下ろし、平穏な生活が訪れる。しかし、それはこの物語の本当のテーマでは無い。自分にとって一番の「好き」は誰か?その気持ちをどれだけ大切にできるか、と言う点こそがこの作品から問われているのだろう。小狼を想って待ち続けるさくらも、もちろんそのテーマの大きな柱ではあるが、それだけでは無く、全編通して、様々な愛の形を丁寧に描いているからこそ、一層その主題が光り輝くのであろう。好きと言う気持ちに理由があってはいけない。ならば、そこには様々な可能性があってしかるべきだ。性別にとらわれず、r年齢にとらわれず、立場にとらわれず、自分の思いに忠実に振る舞う事。考えてみると、なかよし掲載の小学生向けの漫画としてはかなり奔放だと思うが、よくぞ掲載されたと思う。


●ケロロ軍曹 14巻/吉崎観音

やりたい事をできているか?というテーマかな。オカルト部を立ち上げる決意をした冬樹。冬樹に果敢にアタックする桃華。掃除機をバリバリチューンするケロロ。抑圧した惑星破壊衝動に悩むモア。嫌なヤツを演じつつきめ細やかに周囲に気を配るクルル。個人的には桃華のがんばりに期待したい。オカルト部での進展に期待大かな。