幸せの象徴としてよく用いられる「青い鳥」。

これは、メーテルリンクの戯曲、「青い鳥」に由来します。

貧しい木こりの家の子であったチルチルとミチルの兄妹が、

隣に住む病気の娘のためにと幸せ青い鳥を求め、

いろいろな国に旅に出かけます。

しかし、結局どこにいっても青い鳥を捕まえることができす、

家に帰ってきます。

ところが、なんと家で飼っていた薄汚れた鳥が

青い鳥になったのです。

「青い鳥はここに居たんだ、僕たちが探してた青い鳥だ」

そして隣に住む病気の娘のところへ「青い鳥」をつれて行くと、

途端に娘は元気になるのでした。


ここで終わっていれば、

「幸せは、とこか遠いところにあるんじゃない。

 身近なところにあるんだよ」

と教えてくれている話のように思います。


しかし、作者のメーテルリンクは、

ここで終わりにはしていません。


チルチルとミチルが、ある日、青い鳥の取り合いになり、

その拍子に、鳥かごのフタが開いて、

青い鳥は逃げていって、話は終わるのです。


青い鳥を逃がしたメーテルリンクの本当の意図はわかりません。


しかし、幸福を追求しながら、幸福になりえない人類を

象徴しているかのように思えてなりません。


“幸せ”とは一体、何でしょうか?

お金? 家族? 健康?

これらに満たされれば、幸せだと言い切れるでしょうか?


もし、これらに満たされることが幸せだとするなら、

日本人の多くは“幸せ”ということになるでしょう。


家もあり、

三度の食事をとることが出来、

医療保険にも恵まれ、

家族と共に暮らしている。


いくら不景気とは言いながら、

日本は世界でも恵まれた国です。


私たちが、今から海外に出て、

日本以上の環境を求めようと思っても、

なかなか難しいと思います。


恵まれた環境の中にあって、

決して不幸なのではありません。


だけど、「幸せですか?」と聞かれると、

「幸せです!」

と断言できる人はどれだけあるでしょう。


「一応は幸せだけど…」

と何だか自信なさげな返事が返ってきそうです。


毎日、三度の食事をいただけることが幸せじゃないですか。

毎日、「いってきます」「いってらっしゃい」と

家族を送り、送り出されることが幸せじゃないですか。

仕事は大変だけど、働けるって、幸せじゃないですか。

帰る家があって、お風呂にも入れて、布団に休めるなんて

幸せじゃないですか。

たまに夫婦で喧嘩できるって、幸せじゃないですか。

本を読めたり、テレビを観たり、おやつを食べたり、

当たり前の日常が、幸せじゃないですか。


その日の食事さえままならない人、

住む家のない人、

毎日、お風呂に入るなんて夢のまた夢で、

学校に行くことも出来ず、

子供のころから働かされている人、

戦争で、いつもビクビクおびえている人……。

世界で多くの人が、まともな生活も出来ず、

明日の命をつなぐのに必死です。


私たち日本人のような生活を送っている人は、

68億の人類で、本当に少数です。


だから、もっと私たちは、幸せを感じていいはずなのに、

心に確固たる“幸せ”がない。


いや、相変わらずあるのは、

ただ“ぼんやりとした不安”だけなのかもしれません。


こう言えば、

「自分が幸せかどうかを決めるのは、自分の心だよ」

という人もあります。


幸せに生きるには、

自分で自分が「幸せだ」と思うことが大切だ、

ということなのでしょうか。


幸せを求める旅は続きます。


━ ぴょんたの ◆◆
◆◆ ひとりごと ━


「幸せ」をテーマに、話を進めています。

このように話を進めること自体、

“幸せ”から遠ざかる行為だ、と非難する人もあるでしょう。

思いつめるからダメなんだ、と。


過去、幾多の人が、この「幸せ」というテーマに

取り組んできました。


哲学は、まさに「幸せとは何か?」に

哲学的思考によって答えを出そうと試みたのですが、

未だ結論は出ていません。


すべての人は、幸福を求めて生きています。

例外はありません。


だから、

「幸せとは何か?」

というテーマは、一人一人に与えられた人生の宿題のようなもの

と言えるかも知れません。


夏休みの宿題のように、

やらなくても夏休みを過ごすことは出来ます。

でも、そんな人は、最後に後悔があるだけです。


「幸せとは何か?」

このテーマに向き合うことなしに、

人は生きていくことは出来ますが、

本当にそれでいいのでしょうか。


自分の人生、自分が責任を取ります。

これ以上、大切なことはありませんから、

一度は、よくよく考え、向き合うことが大切だと思うのです。


ここに記した内容を、皆さんがどのように読まれるか、

それは皆さん、それぞれの受け取り方があるでしょう。


まだまだ問題提起の段階ですが、

仏教では、この問題をどのように教えられているか、

お釈迦様、親鸞聖人の言葉を通じ、

紹介していきたいと思っています。





* 公共施設を使用して全国各地で仏教勉強会を開催しています。

仏教のこと、親鸞聖人のことがわかる勉強会です。

http://www.shinrankai.or.jp/koza/bukkyo.html


* mixi(森安のページです)
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=4172667

* facebook(森安のページです)
http://www.facebook.com/h.moriyasu