宮城県の仙台市で開催されている、第7回仙台国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
6月7日は、ファイナルの第2日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、第7回仙台国際音楽コンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(第7回仙台国際音楽コンクール(ピアノ部門) 出場者一覧発表)
(第7回仙台国際音楽コンクール(ヴァイオリン部門) 出場者一覧)
(edy classic 【第7回仙台国際音楽コンクール】新進気鋭のピアニストたち)
(アルベルト・カーノ・スミットが第7回仙台国際音楽コンクール(ピアノ部門)への出場を辞退)
なお、以下はいずれも広上淳一指揮、仙台フィルハーモニー管弦楽団との共演である。
1.
32 ダリア・パルホーメンコ Daria PARKHOMENKO 1991- ロシア
モーツァルト/ ピアノ協奏曲 ト長調 K453
ピアノはスタインウェイ。
彼女の持ち味であるロシア的な美音による、情感豊かな演奏。
例えば、第1楽章展開部の短調に翳る個所で、指揮者の広上淳一はオーケストラの音量をぐっと抑え、ひそやかな「転調感」を出すのだが、ピアノもそれに呼応して繊細な弱音にしているのが良い(昨日のフェンウィクやこの後のチェ・ホンロクは頓着せず同じ音量で弾いている)。
ただ、彼女のこれまでの演奏で聴かれた「重さ」が今回も出てしまっているきらいはあり、もう少し軽やかさや滑らかさがあると良かった。
それでも、抒情的なこの曲は、モーツァルトの中では彼女向きだろう。
2.
04 チェ・ホンロク CHOI Hyounglok 1993- 韓国
モーツァルト/ ピアノ協奏曲 ト長調 K453
ピアノはスタインウェイ。
こちらも、同じ曲を弾いた先ほどのパルホーメンコに劣らず、歌に満ちた演奏。
彼らしい明るくまったりした味わいが、この曲に合っている。
パルホーメンコのように深い情感を感じさすところまでは行っていないが、その分からっとした晴れやかさがある。
また、タッチコントロールの確かさにおいては、こちらのほうが若干上の印象。
総合的には、ほぼ互角か。
3.
18 キム・ジュンヒョン KIM Junhyung 1997- 韓国
チャイコフスキー/ ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 op.23
ピアノはスタインウェイ。
とてもよく弾けているのだが、整然としすぎてあまり面白くない。
チャイコフスキーでは、やっぱりもっと雄大なロマンが欲しくなってしまう。
オーケストラを置いて突っ走ってしまうことも、ときどきみられる。
彼のこれまでの演奏はどの曲も最高に近い出来だったのだが、この曲だけはいただけない。
私は、選曲ミスだと思う。
彼には、他にもっと合う曲があったのではないか。
4.
08 バロン・フェンウィク Baron FENWICK 1994- アメリカ
チャイコフスキー/ ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 op.23
ピアノはスタインウェイ。
輝かしい音、ロマン的な味、広々としたテンポ感。
チャイコフスキーは、こうでなくては。
細かいところで難はあるし(例えば第1楽章の第1主題があまり軽快でなくごつごつしている)、先ほどのキム・ジュンヒョンのほうが技巧的にスムーズだが、曲の雰囲気によりふさわしい演奏はこちらのほうだろう。
どのフレーズにもロマン派音楽らしい華麗さがあり、飽きさせない。
オーケストラとの息もぴったり。
そんなわけで、今回の4人の演奏を気に入った順に並べると
1. 08 バロン・フェンウィク Baron FENWICK 1994- アメリカ
2. 32 ダリア・パルホーメンコ Daria PARKHOMENKO 1991- ロシア
3. 04 チェ・ホンロク CHOI Hyounglok 1993- 韓国
4. 18 キム・ジュンヒョン KIM Junhyung 1997- 韓国
といったところか。
私の中での1位と4位が、昨日(第1日)と本日(第2日)とで全く入れ替わってしまった。
こうなると、もうまったく分からない。
大混戦である。
もし、明日(第3日)の佐藤元洋のモーツァルトが最高の演奏なら、彼が優勝するかもしれない。
あるいは、パルホーメンコのチャイコフスキーが最高の演奏なら、彼女が優勝するかもしれない。
ともにそうでなかった場合には、もう全員ほとんど横並びのように思われる。
明日はファイナルの第3日、ついに最終日。
いったいどうなるだろうか。
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