第7回仙台国際音楽コンクール(ピアノ部門) ファイナル 第1日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

宮城県の仙台市で開催されている、第7回仙台国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。

6月6日は、ファイナルの第1日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、第7回仙台国際音楽コンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

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予選 第1日 (実演)

予選 第2日

予選 第3日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3日

 

 

なお、以下はいずれも広上淳一指揮、仙台フィルハーモニー管弦楽団との共演である。

 

 

1.

18 キム・ジュンヒョン KIM Junhyung 1997- 韓国

 

モーツァルト/ ピアノ協奏曲 へ長調 K459

 

ピアノはスタインウェイ。

音の粒が大変よく揃っており、トリルなど実にきめ細やか。

終楽章も、かなり速いテンポにもかかわらず、右手・左手ともにタッチが非常によく安定していて危うさが少しもなく、躍動感や推進力にあふれ、歌心にも欠けない。

セミファイナルでのベートーヴェン同様、この曲における私のイメージよりもわずかにロマン派寄りの演奏ではあるが、そこまで言うのは贅沢というものだろう。

 

 

2.

08 バロン・フェンウィク Baron FENWICK 1994- アメリカ

 

モーツァルト/ ピアノ協奏曲 ト長調 K453

 

ピアノはスタインウェイ。

セミファイナルでのベートーヴェン同様、ロマン派的な演奏。

それが奏功してある種の味わいになっている箇所もあるが、テンポが走ったり遅れたりと、ぎこちなさを感じる箇所も少なくない。

古典派作品において重要と思われる安定感に欠ける。

やはり彼には、ロマン派以降の曲のほうが合っていそう。

 

 

3.

35 佐藤 元洋 SATO Motohiro 1993- 日本

 

リスト/ ピアノ協奏曲 第2番 イ長調 S125

 

ピアノはカワイ。

彼特有の硬質な音、やや無機質だが清潔感のある情感表現が、この曲によく合っている。

予選でのフランクも良かったし、彼はリストやフランクのようなやや硬派のロマン派作曲家の曲を得意としているのかもしれない。

目の覚めるような技巧的華やかさを持つわけではないが、技巧と表現とのバランスがとれており、丁寧で完成度が高く、オーケストラともよく合っている。

 

 

4.

12 平間 今日志郎 HIRAMA Kyoshiro 1998- 日本

 

ラフマニノフ/ ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18

 

ピアノはスタインウェイ。

彼らしい明瞭なタッチ、べたつかない快速テンポ、そして力強く充実した音が聴かれる。

ラフマニノフ的な重量級の演奏というよりは、プロコフィエフ的な推進力重視の演奏だが(第2楽章などかなり速め)、キレがあって聴いていてだれないし、また盛り上がるべき個所ではめいっぱい盛り上げてくれる。

ただ、ところどころテンポをアグレッシヴに上げるので、スリリングではあるのだが、オーケストラが少し引きずられるように聴こえる箇所もあった。

また、ミスタッチが若干多めか。

 

 

そんなわけで、今回の4人の演奏を気に入った順に並べると

 

1.  18 キム・ジュンヒョン KIM Junhyung 1997- 韓国

2.  35 佐藤 元洋 SATO Motohiro 1993- 日本

3.  12 平間 今日志郎 HIRAMA Kyoshiro 1998- 日本

4.  08 バロン・フェンウィク Baron FENWICK 1994- アメリカ

 

といったところか。

予選からセミファイナル、ファイナルへと進むにつれ、佐藤元洋の存在感が増してきた。

平間今日志郎とキム・ジュンヒョンの2人が優勝に近いと思っていたが、今回のリストを聴くと佐藤元洋の可能性もありそう。

結果はまだまだ読めない。

ファイナルの第2日、第3日も楽しみである。

 

 


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