第7回仙台国際音楽コンクール(ピアノ部門) セミファイナル 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

宮城県の仙台市で開催されている、第7回仙台国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。

6月1日は、セミファイナルの第2日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、第7回仙台国際音楽コンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

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予選 第1日 (実演)

予選 第2日

予選 第3日

セミファイナル 第1日

 

 

なお、以下はいずれも広上淳一指揮、仙台フィルハーモニー管弦楽団との共演である。

 

 

1.

08 バロン・フェンウィク Baron FENWICK 1994- アメリカ

 

ベートーヴェン/ ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 op.37

 

ピアノはスタインウェイ。

彼は、この曲にあまり向いていない気がする。

急速なパッセージは見事なのだが、全体的にはややしっくりこない。

第1楽章や終楽章の主要主題、ともに何のことはない平易な主題なのだが、力んでいて大仰で、何だかいまいち。

ところどころでテンポをタメるのも、ベートーヴェンらしいどっしりした安定感を損なっている(例えば終楽章の第2エピソード主題)。

一言でいうと、様式感に欠ける。

 

 

2.

12 平間 今日志郎 HIRAMA Kyoshiro 1998- 日本

 

ベートーヴェン/ ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 op.37

 

ピアノはスタインウェイ。

こちらは、前の人と対照的に、様式感がしっかりしている。

テンポが安定していて揺るぎない。

無駄な力が抜けているのか、音も力むことなく引き締まっている。

また、アーティキュレーションやアクセントがしっかりとコントロールされ、明瞭に聴き取れる(ベートーヴェンではこういう要素は大事だと思う)。

さらに、速い走句の処理も鮮やか。

 

 

3.

04 チェ・ホンロク CHOI Hyounglok 1993- 韓国

 

ベートーヴェン/ ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58

 

ピアノはスタインウェイ。

まったりした落ち着いたテンポを採っているということもあってか完成度はまずまず高く、こうしたやり方も悪くない。

ただ、ところどころリズムが後ろ向きというか、テンポが遅れがちになる箇所があり、推進力に欠ける。

特に終楽章は重たく、もっと羽のような軽やかさが欲しい。

また、音色や歌わせ方にも特記するほどの魅力は聴かれない。

 

 

4.

10 ハン・キュホ HAN Kyuho 1993- 韓国

 

ベートーヴェン/ ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58

 

ピアノはスタインウェイ。

素直な感じのする美しい音が聴かれる。

また、前の人と違って、終楽章は軽やかに奏されている。

ただ、コントロールは万全とは言えず、速いパッセージで音の粒があまり揃っていない場合がある。

第1楽章第2主題直前のパッセージのように、弾きにくい箇所で一時的にテンポが落ちてしまうこともある。

終楽章のエピソード主題直前やコーダでのミスも痛い。

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私がファイナルに進んでほしいと思うのは

 

12 平間 今日志郎 HIRAMA Kyoshiro 1998- 日本

 

あたりである。

次点で、

 

08 バロン・フェンウィク Baron FENWICK 1994- アメリカ

 

あたりか。

平間今日志郎は、完成度の高さ、および曲への親和性において、第1日と第2日を併せても頭一つ抜けている印象。

ファイナルへは、まず間違いなく進出するものと思われる。

フェンウィクは、ロマン派以降の曲は得意そうであり、ファイナルでのチャイコフスキーに期待したいところだが、ファイナルへ進めるかどうかは心もとない。

 

 


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