イギリスのリーズで開催されている、2018年リーズ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。
9月10日は、セミファイナルの第2日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、2018年リーズコンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(2018年リーズ国際ピアノコンクール 1次予選 まもなく開始)
(2018年リーズ国際ピアノコンクール 1次予選通過者発表)
(2018年リーズ国際ピアノコンクール 2次予選の曲目発表)
Mario Häring (age: 28 Germany)
Debussy – Préludes Book 1
H. Lachenmann – Five Variations on a theme of Franz Schubert
Beethoven – Cello Sonata in A major Op.69
素晴らしい演奏。
ドビュッシーは、詩的というよりは理知的な面が前に出た演奏で、ややかっちりしているが、こういうドビュッシーも悪くない。
ラッヘンマンとベートーヴェンは、これらの曲にぴったり合った、独墺系の正統的な解釈による文句ない演奏。
まるでティル・フェルナーのよう。
Aljoša Jurinić (age: 29 Croatia)
H. Lachenmann – Five Variations on a theme of Franz Schubert
Chopin – Twelve Études Op.25
Dvořák – Piano Quintet in A major Op.81
ラッヘンマン、ショパンともに、彼らしい爽やかでみずみずしい情感の感じられる演奏。
ただ、テクニック的には最高にスムーズというよりは、やはり少しぎこちなさがあり、エチュードともなると不利かもしれない。
ショパンのop.25-11では、痛い暗譜飛びもあった。
室内楽では、美しい演奏なのだが、ときに音楽の流れが遅ればせになる(先ほどの暗譜飛びが精神的に影響している?)。
Anna Geniushene (age: 27 Russia)
Shostakovich – Piano Quintet in G minor Op.57
H. Lachenmann – Five Variations on a theme of Franz Schubert
Busoni – Elegies BV249: No.7 Berceuse, No.4 Intermezzo Turandots Frauengemach
Schumann – Humoresque Op.20
最初の室内楽からして、かなりの表現力、存在感。
情熱的かつ雄弁で、それでいて完成度も高く、やりすぎたり踏み外したりすることがない。
ソロのほうも素晴らしい。
シューマン、個性的な演奏だが独りよがりでは決してなく、音楽の自然な高まりの中で幻想と情熱とが展開されていく。
テクニック的にもかなりのもの。
Siqian Li (age: 25 China)
Debussy – Estampes
Mussorgsky – Pictures from an Exhibition
Kurtág – Selection from Játékok
Ravel – Violin Sonata No.2 in G major
ドビュッシー、ロマン派寄りの解釈だが、これはこれで大変美しい。
「塔」の最後の右手の細かなアルペッジョ音型など繊細きわまりないし、「雨の庭」もかなりのテンポなのに余裕があって音楽的。
力技で演奏されやすいムソルグスキーも、彼女が弾くとしっとりとした豊かな音楽となる。
クルターク、グリッサンドだらけで大変そうな曲だが、これも美しい。
室内楽も、無機質でひんやりとしたラヴェルのイメージとは少し違って、より抒情的な解釈だが、こういうラヴェルもとても良い。
そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私がファイナルに進んでほしいと思うのは
Mario Häring (age: 28 Germany)
Anna Geniushene (age: 27 Russia)
Siqian Li (age: 25 China)
あたりである。
次回(9月11日)は、セミファイナルの最終日。
ファイナリストが決まることとなる。
今度こそ、納得のいく結果になると良いのだが。
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