2018年リーズ国際ピアノコンクール セミファイナル 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イギリスのリーズで開催されている、2018年リーズ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

9月10日は、セミファイナルの第2日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、2018年リーズコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

2018年リーズ国際ピアノコンクール 1次予選 まもなく開始

2018年リーズ国際ピアノコンクール 1次予選通過者発表

リーズコンクールの課題曲

2018年リーズ国際ピアノコンクール 1次予選動画公開

2018年リーズ国際ピアノコンクール 2次予選の曲目発表

2次予選 第1日

2次予選 第2日

2次予選 第3日

セミファイナル 第1日

 

 

Mario Häring (age: 28  Germany)

 

Debussy – Préludes Book 1

H. Lachenmann – Five Variations on a theme of Franz Schubert

Beethoven – Cello Sonata in A major Op.69

 

素晴らしい演奏。

ドビュッシーは、詩的というよりは理知的な面が前に出た演奏で、ややかっちりしているが、こういうドビュッシーも悪くない。

ラッヘンマンとベートーヴェンは、これらの曲にぴったり合った、独墺系の正統的な解釈による文句ない演奏。

まるでティル・フェルナーのよう。

 

 

Aljoša Jurinić (age: 29  Croatia)

 

H. Lachenmann – Five Variations on a theme of Franz Schubert

Chopin – Twelve Études Op.25

Dvořák – Piano Quintet in A major Op.81

 

ラッヘンマン、ショパンともに、彼らしい爽やかでみずみずしい情感の感じられる演奏。

ただ、テクニック的には最高にスムーズというよりは、やはり少しぎこちなさがあり、エチュードともなると不利かもしれない。

ショパンのop.25-11では、痛い暗譜飛びもあった。

室内楽では、美しい演奏なのだが、ときに音楽の流れが遅ればせになる(先ほどの暗譜飛びが精神的に影響している?)。

 

 

Anna Geniushene (age: 27  Russia)

 

Shostakovich – Piano Quintet in G minor Op.57

H. Lachenmann – Five Variations on a theme of Franz Schubert

Busoni – Elegies BV249: No.7 Berceuse, No.4 Intermezzo Turandots Frauengemach

Schumann – Humoresque Op.20

 

最初の室内楽からして、かなりの表現力、存在感。

情熱的かつ雄弁で、それでいて完成度も高く、やりすぎたり踏み外したりすることがない。

ソロのほうも素晴らしい。

シューマン、個性的な演奏だが独りよがりでは決してなく、音楽の自然な高まりの中で幻想と情熱とが展開されていく。

テクニック的にもかなりのもの。

 

 

Siqian Li (age: 25  China)

 

Debussy – Estampes

Mussorgsky – Pictures from an Exhibition

Kurtág – Selection from Játékok

Ravel – Violin Sonata No.2 in G major

 

ドビュッシー、ロマン派寄りの解釈だが、これはこれで大変美しい。

「塔」の最後の右手の細かなアルペッジョ音型など繊細きわまりないし、「雨の庭」もかなりのテンポなのに余裕があって音楽的。

力技で演奏されやすいムソルグスキーも、彼女が弾くとしっとりとした豊かな音楽となる。

クルターク、グリッサンドだらけで大変そうな曲だが、これも美しい。

室内楽も、無機質でひんやりとしたラヴェルのイメージとは少し違って、より抒情的な解釈だが、こういうラヴェルもとても良い。

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私がファイナルに進んでほしいと思うのは

 

Mario Häring (age: 28  Germany)

Anna Geniushene (age: 27  Russia)

Siqian Li (age: 25  China)

 

あたりである。

 

 

次回(9月11日)は、セミファイナルの最終日。

ファイナリストが決まることとなる。

今度こそ、納得のいく結果になると良いのだが。

 

 


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