各ガラス製作所とデザイナー
職人との信頼関係のなかで
数々の名品が生み出されてきたフィンランドの
グラスアート
グローバル化を果たし、
ダイバーシティがキーワードとなった現代社会において、
フィンランド・グラスアートの現状は
どのように変化しているのだろう。
イッタラはデザイナーを
外部から招聘するスタイルに切り替えている。
芸術大学の学生も、
将来デザイナーやアーティストとして
独立することを希望しており、
各ガラス製作所が
独自にデザイナーを擁していたかってとは、
状況は大幅に異なっている。
本章では、いま現在精力的に活躍する
二人の個人作家を紹介しよう。
一部略、加筆
それでは、
好みのデザイン写真と解説をご覧あれ
マルック・サロ
サロは、
「デザインもアートも共に不可欠だが、
素材へのアプローチが異なる。
デザインする場合は
ユーザーのことを考え、
アートに従事する場合は
自分自身のことを考える」と語り、
どちらに携わるかによって、
明確に視点を変えてもの作りに取り組んでいます。
1991年 からは、
フリーランスのデザイナーとして活動しています。
〈アンフォラ〉シリーズ 1989年
当時サロは「アンフォラ」という名の
デ ンマーク製のパイプ煙草を吸っており、
そのパッケージ・デザインにヒントを得たとも考えられている。
エジプトの水がめにも見える、
アートグラス、ユニークピース 1994年
自作の金属製のメッシュにガラスを吹き込んだ
〈メッシュ〉シリーズの制作を開始した。
多彩で洗練された色彩感覚と、
ガラスの表面の繊細なテクス チャーとの調和は、
サロの作品の魅力のひとつである。
タワー、ユニークピース 1988年
《アイスタワー》は、
1989年に札幌芸術の森美術館で開催された
「北の暮らしのガラス:つめたさの美しさ」 展に
出品された一点。
缶詰のフラワーパワー 2009年
1991年に自作の金属製メッシュに
ガラスを吹き込んだ作品を制作して以来
サロの〈メッシュ〉シリーズは、
様々に展開しながら制作され続けている。
本作品は中でも最大級の大きさ、
ヨーナス・ラークソ
確固たる技術力と造形性に裏付けられ、
独創的なガラス制作に取り組むアーティスト。(略)
リーヒマキに工房を構える吹きガラスの巨匠
ヤーッコ・リーカネンの下でインターンとして働きながら、
グラスアートに関わる技術習得と研鑽を積みました。
特にヴェネチアン・テクニックに長け、
それらを独自に組み合わせるなどして、
新たなアプローチを発展させています。
造形のコンセプトは、
自身の実生活や若者カルチャーなど、
身近で何気ないものにインスピレーションを得て、
時にスタイリッシュに
時にユーモラスな作品を生み出しています。
リコリスみたい 2012年
2012年に
ヘルシンキのデザインフォーラムで開催された
吹きガラス工房「ラシスミ」の展覧会で発表された。
当時8歲だったラークソの息子はこれを見て、
「リコリスみたい」と言ったという。
はちみつ 2014年
カルロ・スカルパの
作品を見せてもらったのをきっかけに
ラークソ独自のバットゥート技法
(同一方向に無数の彫りを刻む手法)を開発した。
本作品は、その成果として、
2014年に同美術館で開催された
リーカネンとの二人展で初公開された。
作品の名前つけるのも難しいと思うけど
「リコリスみたい」「はちみつ」まんま感がエエな、
時々、無題1とか2とかあるけど
そうつけたくなるのも分からんでもない・・
題名ない方が先入観がなくていいかもしれんしな、
ココナッツ 2016年
インカルモ
( 別々のガラスパーツの大きさを合わせて
熱いうちに溶着する技法 ) を用いて、
同心円状の2枚のガラスを緻密に溶着させた皿。
ヴェネチアン・グラスに由来する技法をはじめ、
さまざまな伝統技法から
独自の手法を編み出して制作する。
フィリ、ヴェネチアン・ゴブレット2016年
創作の出発点は、
技術的な課題と
それを解決するための洞察に始まり、
そうして引き出されたアイディアが
身近な技法に
改めて向き合うための新しい視点を
与えてくれると語る。
ウーバー、ヴェネチアン・ゴブレット2017年
彼の独創的な造形は、
ガラスへの研鑽を続ける
真摯な姿勢に裏付けられている。
グラスアート展
目が心がスッキリする時間やったわ~
【フィンランド・グラスアート展/兵庫陶芸美術館】
⇒第3章フィンランド・グラスアートの今
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