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司法試験情報局(LAW-WAVE)

司法試験・予備試験・ロースクール入試の情報サイトです。司法試験関係の情報がメインですが、広く勉強方法(方法論)一般についても書いています。※ブログは完全に終了しました。コメントなどは受け付けておりません。ご了承ください。

改訂版〈学問〉の取扱説明書/作品社
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著者の仲正昌樹氏は、思想系から社会科学系分野にわたる広い見識に基づいて分かりやすい入門書を多数執筆している、業界では有名な人です。イデオロギー的には、右でも左でもない中道の人です。

 

本書は、思想・政治哲学・経済学・社会学などの文科系主要学問について、各分野ごとの現代的トピックを一冊で分かりやすく網羅的に解説した本です。思想・社会科学系の分野に関心がある方には面白い本だと思います。

 

司法試験受験生向けにおすすめなのは、第五講の「法学・法哲学」です。

 

普段、法学者が書いた法律書ばかり読んでいる人には気づきにくいかもしれませんが、社会科学という括りの中で、いえ、それ以上に広く学問全体の中で、法学は極めて特殊な学問分野です。

 

本書は、その法学に固有の特殊性を、外野の視点から分かりやすく解説してくれます。

法学という学問が外からどう見えているのかを知るために最適の教材だと思います。

 

たとえば、法学の勉強をしていると頻繁に目にする用語に、「多数説」「有力説」「少数説」があります。

我々受験生は、日頃から何の疑問も抱かずこういった用語を使用していると思います。

 

著者は、これら「多数」とか「有力」とか「少数」とかがどうやって分かるのか?という質問に対して、

 

「勘で言っているのだと思います。その意味では、全然学問的ではない」

 

と正当に断じています。

 

たしかに、外野からみると、↑こういうのは異様で滑稽なものに映るに違いありません。

 

法学という学問分野を、別の視点から相対化(客観視)しておきたい方におすすめです。

 

勉強の息抜きにどうぞ。

 

 

 

新基本法コンメンタール憲法―平成22年までの法改正に対応 (別冊法学セミナー no. 210)/日本評論社
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法学セミナーの別冊として、司法試験に必要なほぼ全ての科目・分野が出版されています。

全部揃えることを考えると値段がかなり高いのが難点です。

 

ちなみに、コンメンタールとは、逐条式に知識を整理したテキストのことです。

 

このブログでは、辞書の有用性を強調し、多くの基本書を辞書として紹介していますが、このコンメンタールシリーズを辞書に加えている受験生は意外に少ないはずです。

 

しかし、法学の勉強は最後は条文です。

 

どれだけ条文に則して考えてきたか(処理してきたか)が、その人の最終的な“法学力”を決めます

 

本書は、基本書のような加工品が出来上がる前の、個別の条文の形で知識が整理されているので、何よりも条文を使いこなすことを目的とするべき法律家(とその予備軍である司法試験受験生)が参照するテキストとして、本来もっと注目されて良いものだと思います。

 

知識的な網羅性も並の基本書を凌駕するくらいはありますし、辞書としての機能は十分です。

また、全条文の趣旨が記載されている点も、基本書や予備校本にない特色です。

 

最後は短答六法に行き着く受験生が多いと思いますが、そういった逐条式教材の補助(辞書)として、基本書以上の働きをすることもあるはずです。

 

おすすめ度⇒B

 

 

 

LEC の若手エース講師です。

 

入門講座をはじめ、答練解説など応用系の講座も多数担当しています。

3倍速インプット講座などのオプション講座も人気のようです。

 

いたずらに本格的な勉強を好む傾向が強いロー経由新司合格者の中では、さすが同じLECの柴田講師 のお弟子さんだけあって、試験重視の姿勢が際立っています。

 

この試験合格を第一に考える姿勢が、工藤講師の一番の売りだと思います。

 

特に絶賛したいのは、入門講座で使用されるテキストです。

 

近年の司法試験受験業界で使われている入門講座のテキストは、受験生の許容量を大きく超えて無用に巨大化しています。本当はあんなに分厚い必要はないのに、受験生の不安心理に合わせて、ひたすら知識の漏れのなさを追及するだけの芸のないテキストが増えています。

 

これでは網羅性は実現されるかもしれませんが、受験で一番大事なメリハリが犠牲になってしまいます。

 

工藤講師のテキストは、肥大化し切った業界のテキストを、本来あるべき入門テキストの形に回帰させようとする姿勢が感じられます。この点は非常に素晴らしいところです。

 

もっとも、柴田講師のテキストと似た、論点重視の構成になってしまっているところはイマイチです。

 

難点を言うと、私は入門講座のガイダンスと「3倍速」の試聴しか聴いたことがないのですが、しゃべり方が結構暗くて、たぶん次に話す内容を考えているのでしょう、話の「間」が長いため、伊藤塾系の講師と比べると、講義のテンポがはっきりワンランク悪いと感じました。

 

友人によると、アウトプット系の講義はなかなか良いとのことですし、インプット系の講義についても、受験界全体の中では良いほうだと思うので、総体的にはおすすめの先生です。
 

 

 

今日はペンの話をしたいと思います。

司法試験が他の資格試験と大きく違う点はいくつかあります。

中でも、論文試験における大量筆記は、司法試験に独特の強烈な負担といっていいでしょう。


受験生には、書くこと自体の訓練とともに、その際の道具(ペン)の選定についても、一定の労力を払うことが求められています。


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私は、最初は、PILOTの「G6」という太くてグリップ感抜群のゲルインキペンを使っていました。

ただ、パイロット製のインクは掠れやすく気に入らなかったので、書き味の面で気に入っていたSARASAクリップ(0.5)のリフィルを「G6」の中に入れてしまうという裏技を使っていました。

 

入れる際の注意事項として、SARASAのリフィルでは少し隙間ができて芯がぶれてしまうので、リフィルの先端部分にセロハンテープを2巻き半すると、ちょうどキッチリ芯がぶれないようになります。

 

こんな風にマニアックな「研究」をいろいろしてきました。

 

ここまで拘りに拘りぬいたペン選びでしたが、結局、最後は万年筆に落ち着きました(普通・・)。

 

最初は、持ちやすさの点でLAMYサファリ(orアルスター)をずっと愛用していました。

ただ、最終的には、プラチナの3776ギャザードが私にとっての最高の一本となりました。

ペン先が躍るような書き味が心地よいです。

 

やはり万年筆が「書きやすさ」「疲れにくさ」の点では一番です。

ちょっと値段が高いのが難点ではありますが、ペン選びに妥協は禁物です。

自分にとって「最高の一本」だと思えば、値段にかかわらず採用すべきでしょう。


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こうして私の数年にわたる「ペン遍歴」は終わりを告げました。

 

それはともかく、今回は、どんなペンを使っている人にも役に立つ(かもしれない)裏技をお教えします。

 

それは、ペンと指をゴムで固定してしまう という裏技です。

 

※指=人差し指のこと

 

ゴムといっても輪ゴムではなくて、幅が2cm程度の柔らか目の素材で作られたゴムです。

固くてキツイものではなく、柔らかいものであることが必須です。

お裁縫道具の売り場などに行けば色々なものが売られたいますから、良さそうなものを買ってきて、まずは10cmくらいの長さに切断します。

 

次に、6cm周囲くらいが適当かなと思うのですが、人差し指とペンが無理なくホールドされるくらいの長さになるよう輪を作り、手縫いでもミシンでもいいので、ゴムの両端を縫い付けて円状にします。

 

縫い付け終わったら、ゴムの余分な部分をハサミで切断します。

このとき、くれぐれも縫い付けた部分ギリギリのところを切らないようにしてください。

そうすると、普通は切断面に綻びができてしまうかと思います。

そこで、ライターなどを使って綻びの部分をさっと溶かします。

 

これで完了です。

 

6cm周囲くらいが適当、と書きましたが、各人の指の太さや使っているペンの太さによってこの辺はかなり変わってきます。理想のサイズになるまで思考錯誤してください。

 

ゴムがきつすぎると指の血流が悪くなりますし、緩すぎると「裏技」の意味がなくなります。

それぞれにとってのちょうどいい按配を見つけ出してもらえたら幸いです。

 

そうやって、ちょうどいい按配にゴムが固定されたときの感触は素晴らしいものです。

 

まさに、ペンが指に張り付いている感触です。

 

意識してペンを持つ必要がなくなり、そっと指を添えるだけで筆記ができるようになります。

 

はっきり言って、めちゃくちゃ疲れなくなります

 

興味を持たれた方は、騙されたと思って一度お試しください。

 

 

 

 

合格(ウカ)る技術/すばる舎
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昨日のエントリー で紹介した「スピードぐるぐる勉強法」(←適当にネーミング)ですが、その方法論を徹底的に突き詰めた本です。

 

頑張って分かろうとしない、理解しようとしない、記憶しようとしない。

そうやって、力を抜いて回数をかけていくうちに、理解・記憶が徐々にブラッシュアップされていく。

最後には、テキスト全体が手中に収まる・・・。

 

このメカニズムを、様々な角度から、これでもかというくらいしつこく説明しています。

著者は、教材を1冊に絞り、塾にも予備校にも行けなかったからこそ東大に入れた、と言います。

まるで、教材を何冊も買える人や、塾や予備校に通える人は不利だと言わんばかりの、常識とは逆を行く発想こそが本書の魅力です。

 

まさに、このブログが提唱する、手を広げないで⇒徹底的に潰す方法そのままという感じです。

潰すべき1冊の教材を、インプット教材ではなく、過去問にすべきと主張している点も素晴らしいです。

 

①手を広げない

②1冊の教材を徹底的に潰す

③過去問主義

 

以上の3点全てが揃っています。

 

当ブログの趣旨に賛同いただいている方には、自信をもっておすすめしたい一冊です。


一部、速読のすすめなどもありますが、(私が速読法に否定的だということもあるのですが)その点は全く気にしないでいいと思います。1冊の教材を呆れるほどぐるぐると回していけば、結果として、速読していると言わざるを得ないほどに早く回せるようになってしまうからです。

あくまでも速読は結果の問題と考えればいいでしょう。

 

おすすめ度⇒A