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geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

バーンスタイン

「惑 星」

曲目/

ホルスト/「惑星」Op.32 H125

1.第1曲:火星(Mars) 戦争をもたらす者 Mars, the Bringer of War   6:37

第2曲:金星(Venus) 平和をもたらす者 Venus, the Bringer of Peace    9:36

第3曲:水星(Mercury) 翼のある使者 Mercury, the Winged Messenger   3:57

第4曲:木星(Jupiter) 快楽をもたらす者 Jupiter, the Bringer of Jollity    8:17

第5曲:土星(Saturn) 老年をもたらす者 Saturn, the Bringer of Old Age   8:53

第6曲:天王星(Uranus) 魔術師 Uranus, the Magician    5:25

第7曲:海王星(Neptune) 神秘主義者 Neptune, the Mystic   8:21

 

指揮/レナード・バーンスタイン

演奏/ニューヨーク・フィルハーモニック、カメラータ・シンガーズ

合唱指揮/エイブラハム・キャプラン

 

録音/1971/11/30,12/07 フィルハーモニックホール

 

P:ジョン・マックルーア、リチャード・キロウ

E:エドワード・グラハム、ラリー・キース

 

米CBS WMYK37226

 

 

 

  最近レコードが増えてきているのでCDラックを整理してレコード用に作り替えているのですが、そんな中でこんなCDが出てきました。購入の記憶が全くなく、つい最近もソースを持っていないのでレコードを購入したばかりでした。という事で、レコードとCDの2枚持ちになってしまいました。ところがこの録音色々不思議です。

 

 この録音は1971年になされています、ただ、発売されたのは1973年になってからです。どうも理由は録音会場にオルガンがなかったことでオルガンの音をオーバーダビングする必要があったためのようです。データをひっくり返して調べていたら1973年6月7日に30番街スタジオでなされています。多分二人記載されているラリー・キースが担当したのではないでしょうか。この曲の演奏会記録をチェックすると、1971年の11月24、26、27、29日の4日間公演がありその翌日に録音されています。ホールを確認してもオルガンはありません。多分電子オルガンを使っての演奏会だったのでしょう。でも、セッション録音では本物の録音を被せないといけないのでこういう措置になったと思われます。また、初出のCDはレコードも合唱団については何の記載もありません。これも不思議なところでバーンスタインの演奏会記録からの推測です。国内盤のレコードが発売されたのが974年ですが、その時は「惑星」1曲だけで発売されています。そして、CD化され、1983年にこのCDが発売されています。マスタリングはAADです。

 

現在はデイヴィッド・ゲフィン・ホールという名称になっています。オルガンはありませんね

 

 このバーンスタインの惑星は実際には1971年の録音です。で、1971年といえば、「4チャンネル」の黎明期ですからこの録音のオリジナルは4チャンネル録音です。ことさらそんな「周りから聴こえて来る」という感じを強調した録音とミキシングが行われていますから、もう圧倒されます。一番うれしいのは、ここではハープが2台使われているのですが、それがしっかり右奥と左奥に定位しているのですよ。そうすると、ホルストがこの2台の間でしっかりやり取りを設定していたことが手に取るようにわかります。演奏の特徴は各曲ごとのテンポの自在性です。演奏技術はニューヨークフィルなのでそれなりです。この1971年はすでにバーンスタインはニューヨークフィルを辞任していました。ただ、TV番組の「ヤングピープルズ・コンサートは続けていました。バーンスタインは1972年のそのTV番組「ヤングピープルズ・コンサート」の最終回に「惑星」を取り上げています(時間の都合で「土星」「海王星」は省略)。子供たちに馴染みやすいこの曲を1958年から続いたこの番組で取り上げていなかったのが不思議なくらいですが、本心ではそもそもそれほど共感した曲ではなかったのかもしれないですなぁ。その映像が残っています。

 

 

 

・火星は速すぎ。もう少し遅めだと好みでした。
・金星は彩り豊かな静けさで癒やされます。
・水星も鮮やかで彫りが深い。
・木星もたっぷり歌っています。
・土星は巨大な威容と豊かな歌が。
・天王星も個性的。凄い重低音です。
・海王星は細部までくっきり聞こえます。
全体的に絶妙な音の強弱とテンポ変化があり、歌に溢れた惑星でした。1971年11月30日&12月7日、ニューヨーク、フィルハーモニックでのステレオ録音。英国風の『惑星』とはまったく異なる濃厚で強烈な演奏。
 「火星」は冒頭から推進力に富む凶暴な雰囲気が印象的で、軍神にふさわしい荒々しい演奏が展開されてゆきます。しかし何といってもバーンスタインらしいのは「木星」の中間部でしょう。バーンスタインは有名なこの旋律をまるでマーラーのアダージョのように扱い、深い情念を描き出します。英国音楽としてはヘヴィーに過ぎるアプローチです。


バーンスタイン唯一の「惑星」。 今回の演奏は若き日のバーンスタイン&ニューヨーク・フィルハーモニックという名コンビによる演奏で、「火星」を聴いていただくとよくわかるがマーラーを聴いているかのような怒涛の連続からなる圧倒的な音圧と破壊的なサウンド、加速するテンポなど度肝を抜かされる要素が非常に多く存在している。それは各曲ごとによって明確なテンポの緩急が分かれており、ダイナミクス変化に関しても強烈かつパワフルな演奏を聴くことができるようになっているのがよくわかる。しかし、勢いのある曲だけではなく「急→緩」になった「金星」や「木星」の中間部などダイナミック・レンジの幅広さが生かされた伸びやかなスケールと濃厚な音色と響きが功を奏する形となっている面もあるので、これに関しては普段とは違う「惑星」を楽しむことができたのは間違いないだろう。
「アレグロは誰よりも速く、アダージョは誰よりも遅く」を目指したような演奏。
そして歌わせるところははっきり『』で括ってさあ行きますよ、と分かり易く説明する。
バーンスタインの音楽づくりがなぜ大衆の心をとらえたのかが理解できる。

 

 

 

 

 

 

カール・リヒター

「音楽の捧げ物」

 

曲目/J.Sバッハ

音楽の捧げ物BWV1079

1.3声のリチェルカーレ(Ricercare a 3)
2.王の主題による無限カノン(Cannons diversi super Thema Regium)
3.2声の蟹形カノン(Canon a 2 [crab canon])
4.2つのヴァイオリンによる2声の同度のカノン(Canon a 2 Violin[:/i] in Unisono)
5.2声の反行カノン(Canon a 2 per motum contrairum)
6.2声の反行の拡大によるカノン(Canon a 2 per augmentationem, contrario motu)
7.2声の螺旋カノン(Canon a 2 [circularis] per tonos)
8.5度のカノン風フーガ(Fuga canonica in Epidiapante)
9.6声のリチェルカーレ(Ricercare a 6)
10.2声の「求めよ、さらば与えられん」による謎カノン(Canon a 2 “Quaerendo invenietis”)
11.4声の謎カノン(Canon a 4
 “Quaerendo invenietis”
フルート、ヴァイオリン、通奏低音のためのトリオ・ソナタ(A Sonata sopr’il Soggetto Reale)
12.ラルゴ(Largo)
13.アレグロ(Allegro)
14.アンダンテ(Andante)

15.アレグロ(Allegro)

16.無限カノン(Canon perpetuus)

 

指揮、チェンバロ/カール・リヒター

 

フルート/ オーレル・ニコレ 

ヴァイオリン/オットー・ビュヒナー、クルト・グントナー  

ヴィオラ/ジークフリート・マイネッケ  

チェロ/フリッツ・キスカルト

チェンバロ/ヘトヴィヒ・ビルグラム

 

録音/1963/01/17-21  ミュンヘン

P:ハンス・ヒックマン

E:ハラルド・パウディス

 

アルヒーフ 20MA 0051(410781-1)

 

image

 

 手元にあるのは「アルヒーフ2000」と題されたシリーズで1983年に再発されたアルバムです。バッハ最晩年の作品であり、「フーガの技法」と並んで特別な地位を占める作品なのがこの「音楽の捧げもの」です。よく知られているように、この作品はプロイセンの国王であったフリードリヒ2世が示した主題(王の主題)をもとにした作品集です。王の主題は、「3声のリチェルカーレ」の冒頭に提示されています。

 聴けば分かるように、非常に「現代的」な感じが漂う主題であり、バッハの時代においてはかなり異様な感じのする旋律だったはずです。あのウェーベルンがこの主題を使って曲を書いているほどですから。当然の事ながら、これを主題として処理していくのは不可能とまでは言わなくても、かなりの困難さがあることは容易に想像がつくような代物です。ですから、本当にフリードリヒ2世自身がこの主題を示したのかは疑問です。

 当時、プロイセンの宮廷には息子であるフィリップ・エマヌエル(C.P.bach)が勤めていたのですが、そこへ親父であるバッハが尋ねてきたのです。おそらくは、この宮廷楽団の中でバッハ一族の力が伸びていくのを快く思わなかった一部の音楽家達が、その鼻っ柱をへし折ってやろうという「悪意」に基づいて作り出したものではないかと想像されます。(真実は分かりませんが・・・)


 何故ならば、フルート奏者としても名高かったフリードリヒ2世は作曲も行っていて幾つかの作品が残されているのですが、その作風はこの主題とは似てもにつかないギャランとな性格を持っていたからです。ただ、バッハの高名はプロイセンにも届いていましたから、その実力の程を試してやろうという「悪戯心」は王も共有していたかもしれません。


 しかし、王にとっては一場の座興であったとしても、バッハにしてみれば真剣勝負であったはずです。そして、「どう頑張ってもこの主題をもとにフーガに展開などできるはずがない!!」とほくそ笑んでいる反対派の音楽家を前にしてみれば、絶対に失敗などできる場面ではなかったのです。それ故に、ここではバッハという人類が持ち得た最高の音楽的才能が爆発します。バッハは王の求めに応じて、即興でこの主題をもとにした3声のフーガを演奏して見せたのです。おそらく、この時の即興演奏が「音楽の捧げもの」の中の「3声のリチェルカーレ」として収録されているはずです。

 

 リヒターのチェンバロで始まる3声のリチェルカーレは厳粛でおごそかです。昔から名盤の誉れ高いレコードで、今回その世評を確認することができました。冒頭のリチェルカーレからバッハの世界に引き込まれてしまいます。

 

このアルバムにはフルートで、オーレル・ニコレ1959年にベルリンフィルを退団してフリーになっていましたし、ヴァイオリンにはミュンヘン・バッハ管弦楽団のコンマスを務めていたオットー・ビュヒナーが配されています。クルト・グントナーは当時はバイエルン国立管弦楽団のコンサートマスターの職にありました。当時のドイツの音楽界は活気がありました。

 

 この当時ですからリヒターは現代楽器のノイペルトあたりを引いているような気がします。ピリオド楽器の繊細な音とは、ほど遠いキンキンした音色ですが、凄まじいほどの凝縮力で一気呵成に弾ききっています。こういう演奏を聴くと現代楽器とか古楽器という違いはなんぞやという感覚になります。まあ、バッハの音楽は現代でもジャズやポップスの世界で盛んに演奏されていますから、バッハの音楽は時代を超越しているということなんでしょうなぁ。

 

 こういう曰く付きの音楽、我が家では大晦日の年越しの音楽でした。ベートーヴェンの第九ではなかったんですなぁ。そして下はウェーベルンの編曲による6声のリチェルカーレです。

 

 

 

 今年の年末は先に取り上げた古楽器によるクイケンの演奏か、このリヒターの現代楽器による演奏かで大晦日は悩みそうです。

 

 

 

 

The Kingsize Sound of

 Phase 4 Stereo 

 

曲目/

 

 

℗ 1964, A-5 ℗ 1965, A-1 to 4,6
℗ 1964, B-1,2, 5 & 6 ℗ 1965, B-4 ℗ 1966, B-3
Voice [Baritone] – Robert Merrill Voice [Tenor] – Kenneth McKellar-A5

Decca PFS 4086

 

 

 デッカのコンピュレーションされたフェイズ4のレコードです。こういうものはCD化されていませんからレコードは貴重です。テッド・ヒース楽団の第1曲目の「フィーバー」からしてご機嫌なナンバーになっています。ベースのリズムはペギーメリーの歌でヒットしたオリジナルからの流れですが、変なアレンジを加えていないのでストレートに楽しめます。まずはそのペギー・リーの歌声です。

 

 

 それがテッド・ヒースの手にかかるとこうなります。かっこいいでしょ!!

 

 

 2曲目のフランク・チャックスフィールドの「引き潮」も名演です。効果音を使ったこの演奏はロバート・マックスウェルの自作自演より遥かに情緒があります。3曲目はスタンリー・ブラックの「ブロード・ウェイ・スペクタキュラー」に収録されているナンバーですが、その3曲目に収録されていました。ミュージカルナンバーということでロンドン・フェスティバル・コーラスも動員したゴージャスなアルバムに仕上がっていました。4曲目はヨーロッパではインターナショナル発売されたアルバムということで、ウィル・グラーヒェの「リヒテンシュタイン・ポルカ」が収録されています。彼のヒット曲では「ビア樽ポルカ」も忘れられません。5曲目はマントヴァーニ・オーケストラの「And This Is My Beloved」です。ミュージカル「キスメット」のナンバーで曲はポロディンの「イーゴリ公」のナンバーが使われています。このミュージカルでは「夜のストレンジャー」が一番ヒットしたナンバーですが、この曲もデュエット曲としてよく歌われています。ここでもマントヴァーには伴奏に回って歌がメインになっています。そしてレコードのA面の最後は英国近衛歩兵グレナディア連隊軍楽隊の演奏で映画「ベンハー」から「戦車の行進」です。サントラよりも録音が新しくフェイズ4の特徴を以下した録音ですから無茶苦茶かっこいい音楽に仕上がっています。

 

 さて、B面はジャズのスタンダードナンバーでもある「縁は異なもの」です。デッカのもう一つの雄であるエドムンド・ロス楽団が演奏しています。2曲目はフォスターの名曲「掻き鳴らせバンジョー」です。男声合唱の力強い歌声が魅力です。3曲目はレコード時代によく集めたロニー・アルドリッチのピアノによる「マイ・フェバリット・シングス」です。ロニー・アルドリッチはステレオ時代の申し子で1大のピアノを左右の音源に振り分けて録音していました。アメリカのフェランテとタイシャーを一人二役で演じているようなものでした。4曲目はジョニー・ケーティングと27名からなるバンドの演奏でビートルズの「涙の乗車券」を演奏しています。ケーティング自身がトロンボーン奏者ということもあり、英国のブラスバンドにリズムセクションをプラスしたスタイルでなかなかご機嫌なサウンドを披露していました。次は一転してフォーク調のロス・マチュカンボスは1959年にパリで結成された音楽バンドです。ギターはラファエル・ガヨソとミルトン・サパタ、ボーカルはジュリア・コルテスでした。1960年にサパタに代わり、イタリア出身のロマーノ・ザノッティが加入しました。演奏されているのは「おやすみアイリーン」という曲で数々のアーティストがカバーしています。最後はローランド・ショーの愉快なナンバーで欧米では童謡として知られている「彼女が山にやってくる」というナンバーです。まあ、コンピュレーションといっても日本の感覚とはかなりイメージが異なるものになっていますが、これはこれで欧米のシチュエーションを知る上ではもってこいのレコードです。全曲は下でお楽しみくださいな。

 

 

 

名古屋ブルックナー管弦楽団

第30回演奏会


 セントラル愛知交響楽団はここでリハーサルを行なっていて後悔していますのでよく聴きに出かけましたが、それ以外ではあまり馴染みのないコンサートホールです。まあ、我が家からは車で30分程の距離ですから出かけるには不便はしません。今年も下記のようなスケジュールで後悔リハーサルが組まれています。

 

 

稲沢市民会館大ホール

 

 さて、今回も式には新田ゆりさんが登場です。日本シベリウス協会の会長も務めるシベリウスのスペシャリストです。その新田さんの指揮でシベリウスの最後の交響曲の第7番が演奏されました。もう曲は頭の中に入っているので暗譜での指揮です。シベリウスの交響曲はだんだん形式的要素は崩れて、この曲はもはや単一楽章として作曲されています。まあ、言ってみれシベリウスの特徴と言える交響詩の拡大版と言ってもいいでしょう。ただ、標題がないので交響曲として分類されているような気がします。

 

 演奏する名古屋ブルックナー管弦楽団は名古屋大学の学生らのOBを中心としたオーケストラで構成されています。

 

 交響曲第7番は単一楽章の交響曲です。曲はAdagio(序奏) - Vivacissimo - Adagio - Allegro molto moderato - Allegro moderato - Presto - Adagio - Largamente molto - Affettuosoで構成されています。

 

  この曲は、単一楽章の中に伝統的な交響曲の各楽章の要素(緩徐楽章、スケルツォ、フィナーレ等)が巧みに内包されていて、曲の前半、中盤、終盤に現れる、神の啓示を想わせるトロンボーンソロの「提示」「展開」「再現」を柱としながら曲が進行していきます。

序奏部はアダージョで、ティンパニの響きの後、弦楽器によるゆったりとした上昇音階で音楽が始まり、木管楽器が静かにモチーフを提示します。その後弦楽器セクションが聖歌風に演奏します。最大 9 声部に分かれた弦楽器による、清廉な響きが織りなすこの部分はこの曲の最大の聴きどころの一つです。この後 1 回目のトロンボーンソロがハ長調で演奏され、管楽器が嘆くように演奏した後、木管楽器と弦楽器により冬眠から目覚めた小動物が動き出すような音楽が演奏され、徐々にテンポがあがり、ヴィヴァーチッシモとなります。

 

 この部分はスケルツォに相当する部分で弦楽器と木管楽器がリズミカルかつ規則正しく動き、その動きを引き継いだ弦楽器が北欧の暗い海の波がうねるように演奏し始め、2 回目のトロンボーンソロがハ短調で演奏されます。他の金管楽器を伴い徐々に盛り上がりながらテンポを上げ、岩礁に最大の波が打ち寄せたようなクライマックスの後、波が散る中、海辺の生き物が逃げるよう

にテンポを上げ、アレグロの部分に入ります。アレグロではロンド風な主題が演奏されますが、この主題は先述しましたカルペラン宛の手紙

にあった「ヘレニック・ロンド」に相当する部分です。弦楽器の刻みに乗り、小動物や村人が踊るようなロンドもこの曲の聴き所といえます。

 

 ロンドが急終止し、ヴィヴァーチェに移り木管楽器と弦楽器が掛け合い、曲冒頭の上昇音型がホルン等管楽器により演奏され盛り上がると、 3 回目のトロンボーンソロが今度は情熱的な弦楽器を伴い奏されます。低音楽器群の溶岩がなだれ込むような音型を伴い音楽が高揚し、管楽器が激しく吠えると、音楽は徐々に浄化されるように終結部に向かいます。静寂の空気の中でフルートとファゴットが冒頭の木管楽器のモチーフを繰り返し歌い、最後は全管弦楽により、曲は無限の世界に帰結するような余韻を残して終わります。

 

 このオケはネットを最大限活用し、プログラムは配布されていません。全てQRコードを読み込んでのスマホ表示です。上の曲解説はそのネットにアップされていたシベリウスの交響曲第7番の解説です。

 

 新田氏は得意なシベリウスですからオケに的確な指示を送りながらインテンポでぐいぐい曲を進めていきます。今回は2006年の前回の演奏よりオケの編成が大きく厚みのある響きでありながらシベリウスの透明感のある響きは感じることができました。

 

 

 休憩後はメインプログラムのブルックナーの交響曲第7番です。個人的にはすっきりとした造形美で仕上げたシューリヒトの演奏が好きですが、今回の演奏もエッジを効かせたメリハリのある演奏となっていました。ただ、稲沢市民会館はステージと客席がほぼ水平のすり鉢状の構造のホールで、ブルックナーの上に広がる音の響きを感じることができず、音に包まれるという感覚を感じることができなかったのが残念です。下は2015年の愛知芸術センターのコンサートホールでの演奏の模様ですが、こちらの方が音の広がりを感じることができます。

 

 

 

 

 

コンマスとグータッチする新田氏

 

今回の演奏もYouTubeでアップされるのが楽しみです。
 
 また、次回の演奏会は2026年7月26日ということです。曲目は発表されていませんが、楽しみです。

 

 

 

 

 

Non Stop West

Al Caiola & Leroy Holmes Orchestra

 

曲目/

1.The Good, The Bad And The Ugly-続・夕日のガンマン  2:53

2.A Professional Gun-ジャガー   2:12

3.True Grit  -トゥルー・グリット  3:53

4.A Fistful Of Dollars-荒野の用心棒   2:00

5.Ole Turkey Buzzard-マッケンナの黄金   3:26

6.Hang 'Em High-奴らを高く吊るせ   2:25

7.The Big Gundown-復讐のガンマン   2:45

8.The Magnificent Seven-荒野の七人   2:00

9.For A Few Dollars More-夕日のガンマン   2:20

10.Bonanza-ボナンザ   2:16

11.The Big Country-大西部   2:23

12.Wagons Ho! -ワゴン・トレイン  3:44

13.Return Of The Seven-続荒野の七人   2:15

14.High Chaparral- シャパラル高原  2:13

 

演奏/ルロイ・ホルム・オーケストラ 1-6

  アル・カイオラ楽団 7-14

発売/1972

 

英SUNSET SLS 50312

 

 

 英SLSはユナイテッド・アーティスト系の再発専門の廉価版レーベルでした。サントラ版はこのレーベルで結構集めました。これまでには下記のアルバムを取り上げています。

 

 

 

 

 

 前半を担当しているのはルロイ・ホームズです。このルロイ・ホームズ(1913年9月22日 - 1986年7月27日)は、アメリカの作詞家、作曲家、編曲家、オーケストラ指揮者、そしてレコードプロデューサーでした。そして、ホームズはハリウッド高校を卒業後、イリノイ州エバンストンのノースウェスタン大学とニューヨークのジュリアード音楽院で音楽を学び、1930年代から1940年代初頭にかけて、エルンスト・トック、ヴィンセント・ロペス、そしてハリー・ジェイムズといった多くのバンドリーダーと共演しました。

 第二次世界大戦中はアメリカ海軍でパイロットと飛行教官、そして中尉を務めた後、ハリウッドに移り、MGMミュージック・スタジオに専属編曲家兼指揮者として採用されました。1950年にニューヨークに移り、MGMでレコードプロデューサーとして活動を続け、後にユナイテッド・アーティスツに移籍しました。1960年代初頭にユナイテッド・アーティスツ・レコードに移籍し、数多くの映画テーマ曲のコンピレーション・アルバムに楽曲を提供し、自身の名義でアルバムをリリースするとともに、コニー・フランシス、グロリア・リン、シャーリー・バッシー、そしてプエルトリコ出身のティト・ロドリゲスやチューチョ・アヴェジャネットといっ​​た歌手のバックオーケストラを務めています。

 

 今回このアルバムを取り上げたのは今月までNHK-FMで放送中の「✖️クラシック」で特集中のエンリオ・モリコーネがらみということで考えました。まあ、アル・カイオラにしてもウェスタンをテーマにしたアルバムを服末発売していましたからねぇ。必然的にエンリオ・モリコーネもたくさん含まれています。このアルバムでいうと1.2.4.7.9とモリコーネの作品が並びます。

 

 冒頭は「続・夕日のガンマン」です。ユナイテッド・アーティストで活躍していましたから、映画音楽は得意なものです。いいアレンジで原曲の雰囲気を掴んでいます。日本とはヒットの基準が違いますから2曲目の「ジャガー」はあまり知られていません。3曲目はジェフ・ブリッジェス主演の西部劇で音楽はエルマー・バーンスタインが書いています。

 

 後半のアル・カイオラはギター奏者でしたが自らのオーケストラを率いて勢力的に1960-70年第二活躍しました。彼の演奏した「荒野の七人」はベストセラーになりましたし、テレビドラマの主題歌としての「ボナンザ」も大ヒットしました。あまり知られていない「ワゴン・トレイン」の主題歌、「ワゴン・ホー」も彼がヒットさせました。まあ、楽しいアルバムですが、日本ではこういうアルバムはリリースされていません。