荒野の七人/続荒野の七人
曲目/
1. The magnificent seven/荒野の七人 (02:04)
2. Bandidos/馬賊たち (02:16)
3. Return of the seven/荒野の七人帰る(続・荒野の七人) (02:28)
4. Defeat/失敗 (03:18)
5. Mariachis De Mexico/メキシコのマリアッチ (01:55)
6. El toro/闘牛 (03:22)
7. The journey/旅だち (03:30)
8. Council/協議 (03:17)
9. Petra's declaration/ペトラの願い (01:44)
10. In the trap/罠(02:54)
11. Battle/戦い (02:25)
12. Finale/フィナーレ (03:34)
音楽・指揮/エルマー・バーンスタイン
録音/1966
英SUNSET SLS50171

今週は集中的にサントラ盤のLPをとりあげていますが、今回はエルマー・バーンスタインの「荒野の七人」です。元々のこの映画は1960年に製作されています。いわずと知れた黒澤明監督の「七人の侍」のリメーク版です。小生は小学生でしたから、リアルタイムで観てはいません。それでも、記憶に焼き付いているということは何回もテレビで放送されたこともあるし、主題歌が大ヒットしてスタンダードナンバーとなりイージーリスニングオーケストラがこぞって取り上げたからでしょう。実際、個人的には多分アル・カイオラ楽団の演奏を聴いたのが最初だと思います。
LP時代には多分サントラ盤は発売されていなかったのではないでしょうか。このLPも録音は1966年となっています。そして、ジャケットには「ORIGINAL MOTION PICTURE SCORES」と大書きされています。ですからこれはサントラ盤ではないのですね。ですが、LP時代はこれが多分唯一の音源だったと記憶しています。「SUNSET」というレーベルはLIBERTY/UAレコードの廉価盤レーベルです。小生の所有するのはイギリス盤ですが、アメリカ盤も同じレーベルで発売されていたはずです。で、元々のオリジナルはSULP1156という番号で発売されています。これはステレオ盤の番号でモノラルはULP1156でした。1960年代はまだまだモノラルが欧米では優勢だったんですね。
さてこのLP、そのSULP1156と同じマスター原盤を使って作られています。わざわざSULP1156の番号を消して新しくSLS50171の番号を刻印しているからです。ですから、サウンド的にはオリジナルなんですね。CDではこういうことは確認出来ません。何しろ一度、デジタルマスタリングしているのでオリジナルとは絶対言えないんです。そういう意味でもレコードは素性が分かって貴重です。日本盤はどうなっていたのでしょうか?ジャケットデザインもまったく違っていました。

ということで、この録音です。「荒野の七人」と「続荒野の七人」から12曲がセレクトされています。まあ、LP時代は標準の曲数です。でも、収録時間は都合32分強でCDではもったいない収録時間ですね。ところで、1998年に本来のオリジナルサントラ盤が発売されました。本来のサントラは1960年ということもあってモノラル録音です。

ですから作曲者自身によるステレオ録音はこれが唯一ということなんでしょうね。このレコード音源はオリジナルスコアを使った録音です。作曲者自身が指揮しているというのも良いですね。レコード時代には演奏はエルマー・バースタイン楽団という表示で発売されていたこともありますが「ベンハー」でもそうでしたが、一般にはこの録音の方が長くサントラとして通用していた時期もありました。シングル盤はサントラという表示だったと記憶しています。
サントラではないので基本的にバーンスタインが自作のお気に入りのメロディだけをチョイスして録音しています。1966年の録音というと続編が公開されたのがその年ですから、バーンスタインは区切りがついたということでこの録音をO.K.したんでしょう。3曲目なんかは「続荒野の七人」からのテーマ曲ですが、基本的なメロディは「荒野の七人」の主題をそのまま流用しています。しかし、アレンジはこちらの方が手が込んでいてバーンスタインがコープランドの弟子だったんだなぁということを改めて確認させる旋律が聴こえてきます。コープランドの作品に「ロデオ」という作品がありますがまさに相違ツタものを彷彿とさせるメロディが織り込まれています。
後はバンジョーやアメリアッチ風のコルネットが使用されたメロディがふんだんに聴かれ、この作品が西部劇でありながら舞台がメキシコ国境付近の物語であることを色濃く感じさせます。6曲目の「El toro/闘牛」なんかはメロディアスな部分と近代管弦楽のオーケストラ作品としての雰囲気さえも漂っています。「荒野の七人」のテーマのバラエティといえば7曲目もそのメロディを使いながら旅立ちの雰囲気を盛り上げています。ここら辺は「駅馬車」の雰囲気ですね。曲は映画のストーリー順に並んではいませんし。また、曲目から推測すると3、5、8、10、11曲目が「続荒野の七人」で使用された曲のようですが、残念ながら続編はまともに見た記憶が無いので定かではありません。世間的にも続編はユル・ブリンナー以外はメンバーも入れ替わってしまっているし、ほとんど評判にはならなかったですからね。