過去記事の修正 77
クラシック編
「春の祭典」はフィラデルフィア管弦楽団にとっては久々の「ハルサイ」です。なにせ、前シェフのオーマンディはモノラルでは1955年の録音がありますが、ステレオでは遂に録音を残しませんでした。どうもあまり好みのレパートリーではなかったらしく、膨大な録音を残しているオーマンディにしてはストラヴィンスキーは三大バレエ音楽をかろうじて録音しているだけです。そういう意味ではムーティは張り切ってこの曲を録音したのではないでしょうか。当コンビも三大バレエ全てを録音しています。
テンシュテットはリピートをすべて繰り返していますから、すこぶる快調なテンポながら上記の演奏時間になっています。市販のCDでは8番とのカップリングで発売されていますが、ここでは序曲集のCDからの3曲をセレクトして収録しています。ある意味まとまっています。デジタル録音もこのころになると熟(こな)れたものになってきていてまっとうにバランスの良い録音です。
初めてヨッフムの「田園」を聴いた時は衝撃的でした。忘れもしません、コンセルトヘボウ管弦楽団と1968年に来日した時NHKのテレビで放映された演奏を聴きました。このヨッフムの放送と前後してカラヤン/ベルリンフィルも丁度来日していてこちらも同じく「田園」がNHKから放映されました。当時は中学生でしたが、たまたま音楽の授業でこの二つの「田園」が話題になり、教師はカラヤンの演奏はベタホメでしたがヨッフムの方はこのテンポにはついていけないとけなしていたのを覚えています。
しかし、当時の小生の感覚ではヨッフムの「田園」にいたく感動したものでした。
1960年代にこの曲をコンセルトヘボウと録音したのはモントゥーとヨッフムだけで、これは1967年から1969年にかけてコンセルトヘボウ管弦楽団を指揮してステレオ録音された初のベートーヴェンの交響曲全集となったものです。このコンセルトヘボウ盤は、録音技術、オーケストラの技術、ホールの音響という重要な条件が、バランス良く整った全集で後のEMIから発売されたロンドン交響楽団との全集よりも気に入っています。
この演奏は忘れられた存在なのでしょうか、と言うよりはアバド/ロンドン交響楽団の演奏自体がグラモフォンにとっては不要の長物になってしまっているのかも知れません。何しろ後年ベルリンフィルの常任になっているのでこのブラームスをはじめ主だったレパートリーは再録音をしているからです。
このCDも一般市販では実現しそうもない組み合わせに寄る一枚です。書店でしか扱わなかったのでこういうトリッキーな組み合わせは見逃していたのかも知れません。ギレリスによる「皇帝」は1960年代末に録音された録音なのですが今ひとつ録音がクリアでないと思っていました。ネットで検索しているとこの録音に関わる詳細な記述がありました。これでくだんの疑問も消えました。今回修正にあたり、リハーサル音源もアップしました。
イギリスの指揮者はけっこう体質に合っているのか好きです。古くはアンソニー・コリンズをはじめトマス・ビーチャム、エドリアン・ボールト、ジョン・バルビローリ、そしてこのマルコム・サージェントなどなど。みな際立った個性は感じられませんが、イギリス・ジェントルマンらしく落ち着いた安定感のある音楽作りが気に入っています。なかでも、このサージェントは一番オーソドックスな音楽を聴かせてくれたのでないでしょうか。
ピリスは好きなピアニストです。といっても、そのすべてのCD所有するほど熱狂的なファではありません。たまたま、ショップで見つけると手に入れる程度です。ピリスのCDは以前ピアノ協奏曲を紹介していますが、今回はソナタです。此所では4曲のピアノソナタが収録されているThe Classics 1300 というシリーズの中の一枚として1990年に発売されたCDです。ピリスはモーツァルトのピアノ・ソナタ全集を2度にわたり録音していますが、これはその1回目の、彼女が29歳の時のものです。
カルミニョーラは現在までにこの演奏も含めて三度「四季」を録音しています。近年は来日もして、マルコン指揮するベニス・バロック合奏団と共演しています。そちらの演奏はテレビでも放映されましたからご覧になった人も多いと思いますが、やはり衝撃的な演奏でした。それでも、この原点ともいえる演奏はやはりマイルストーンとして記憶に残るものでしょう。
コンロンの新世界は正直言ってあまり特色がありません。随分軽い新世界です。いつものエラート録音らしく低域不足であまり褒められたものではありません。コンロンとロンドンフィルの録音はエラートにはこれ一枚だと思われます。コンロンは70年代後半から注目されだし、80年代にはロッテルダム・フィルを振ったものがエラートに少なからずあるはずですがすべて廃盤になっているようです。手元にも、FMで放送されたライブのテープがいくつか残っています。