カール・ベームの「ピーターと狼」
曲目/
1.プロコフィエフ/ピーターと狼
2.サン=サーンス/動物の謝肉祭*
ナレーター/カールハインツ・ベーム
ピアノアロイス・コンタルスキー、
アルフォンス・コンタルスキー*
チェロ/ヴォルフガング・ヘルツァー*
指揮/カール・ベーム
演奏/ウィン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1974/10 ムジーク・フェライン・ザール、ウィーン
P:ウェルナー・マイアー
E:クラウス・シャイベ
レコードで入手したものです。この録音は、指揮者ベームとその息子、俳優カールハインツ・ベームのドイツ語のナレーションによる「親子共演」という企画で実現した録音でした。しかし、日本では売れなかったんでしょうなぁ。ベームの死後、ナレーションは息子から別人の英語版に差し替えられてしまったようです。最近発売されているCDは、ナレーションが女優のハーマイオニー・ギンゴールドの英語版に差し替えられています。イギリスやアメリカではこの差替え盤が発売されているようですから、オリジナルのドイツ語盤で聞けるのはドイツ語圏だけなんでしょうなぁ。ただ、日本盤はレコード時代はこの息子がナレーションを務めたドイツ語盤で発売されていました。
ということは、ナレーション抜きの録音が存在するということなんでしょう。純粋に曲を楽しむならそちらで十分です。
で、これは2000円で再発されたレコードです。それまでは現在のオリジナルのデザインで発売、再発されていましたから、こういうデザインは日本盤だけしかないはずです。ちなみにレーベルはmade in japanとなっています。
このレコードはミッドプライスですが、解説書はレコートーサイズで4ページのものがついています。解説は三浦敦史氏で、レコーデイングの背景までしっかりと記述されています。
事の始まりは、1973年5月のバイエルン放送響の定期で「ピーターと狼」をプログラムに組んでいました。その定期の曲目は、
・ウェーバー/魔弾の射手
1974年はベーム80歳の記念年で、その年の新年を祝うウィーンフィルの舞踏会はベームに捧げられています。そして、8月28日のバースデイパーティの後、ウィーンフィルのシーズン初頭に息子のカールハインツをナレーターとして「ピーターと狼」を演奏しました。それを捉えて、DGはその直後にこの録音を行なっています。そして、1975年のクリスマスシーズンに間に合うように発売されました。で、もうこの段階で、ドイツ語圏はドイツ語盤、イギリス及びアメリカ向けの英語盤は先のギンゴールがナレーションをつけたということです。そして、日本盤はカール・ハインツが英語版のテキストを使って得意な英語でナレーションしているものが発売されました。ということで、このレコードはカール・ハインツの英語版によるナレーションが聴けるという仕様になっているのです。で、大役もその英語版テキストの対訳になっています。
複雑ですが、2022/04にSACDでこの録音が再発されていますが、そこで発売されたのはなんとキンゴールドのナレーションのもので、カールハインツのものではなかったんですなぁ。此の期に及んで、どうしてカールハインツの英語版を採用しなかったんでしょうかねぇ。
で、下はドイツ語版の「ピーターと狼」です。
サン=サーンスの「動物の謝肉祭」も同じことが言えます。下はドイツ語版の冒頭です。
さて、YouTubeを検索するとナレーションなしのバージョンが引っかかりました。どうもレコードからの盤起こしのようですが、オケがベルリンフィルとなっていて、ちょっと怪しいのですが貼り付けておきます。
下のCDは全てキンゴールドのナレーションです。