お礼は次の若い人に渡そうかと。
お礼になるかどうか分かりませんが、勉強歴約1年で受けた時の答案ですので、刑法でA取るには、知識は全然いらないという事が分かるという点と、実力者から見ると「え、これでA?」と思える点の2点において、多少なりとも価値はあると思います(自然的関連性あり)。
実際に読んでみても、知らない知識は無いと思います。
あと、試験委員が嫌っている、「この点」「思うに」も普通に使ってますし、かなり軽~くテロリロリンと書いている印象を持つと思います。
伊藤塾長が、「刑法は守りの答案で十分」と常々仰っているのですが、塾長の言う「守り」を、僕は、「軽~くテロリロリンと書く」と破天荒解釈をしました。
保存してあったやつ(EF答案もアップしようかと思ってるのですが、ちょっと探し中です。しばしお待ちを。)のコピペなので、再現率は高いです。あと論パのコピペですので、その意味でも再現率は高いと思います(法律的関連性あり)。
あと、これも正真正銘自分の答案ですので、似たような答案があれば、似たような評価(おそらくA)が付いている答案ってことになります(証拠禁止にあたらない)。
以下、平成24年予備 刑法 再現答案 A評価 構成10分くらい 手書きで3頁半くらい
コピペしたらフォントが変になりましたが、ご了承を。
第1 甲の罪責
1 運転する車をY車に衝突させて乙に傷害を負わせた行為は、傷害罪(204条)の構成要件に該当する。
もっとも、乙は甲に傷害を負わされることを承諾している。そこで、承諾のある傷害として違法性が阻却されないか。
この点、違法性の本質は、社会的相当性を逸脱した法益侵害に求められる。この本質から、当該承諾が、社会的相当性を有するものであれば、違法性阻却を認めるべきである。
本件では、乙は保険金詐取のために承諾しており、この承諾は違法な動機での承諾といえる。
よって、当該承諾は、社会的相当性を有せず、違法性阻却はされないと解する。
したがって、運転する車をY車に衝突させて乙に傷害を負わせた行為につき、傷害罪が成立する。
2 車を衝突させた際に、Aにも傷害を負わせている。そこで、Aに対する傷害罪は成立しないか。甲はAへ傷害を負わせることを認識していなかったため、故意(38条1項)が認められるか問題となる。
この点、故意責任の本質は、規範に直面し、反対動機が形成可能にも関わらず、あえてそれを乗り越えたことに対する強い同義的非難にある。そして、規範は構成要件の形で与えられている以上、具体的錯誤の事実は故意を阻却しないと考えるべきである。
本件では、甲は上述のとおり乙に対する傷害の故意を有していたから、Aに対する故意も有していたと言える。よって、Aに対する傷害罪も成立する。
3 医師に対して大げさに痛みを訴え、2カ月もの間通院した行為は、「財産上不法の利益を得」た行為であるので、詐欺利得罪(246条2項)が成立する。
4 事故は自ら起こしたものであるのに、保険金や慰謝料、休業損害についての支払いを保険会社の担当者に対して請求した行為につき、乙との共同正犯の詐欺罪(60条・246条1項)が成立しないか。
実行行為とは、法益侵害の現実的危険性を有する行為をいうところ、上記請求をすれば、特段の事情のない限り、保険金等は支払われるのが通常であることからすると、上記請求には法益侵害の現実的危険性を有する行為と評価できる。
もっとも、保険会社は事故の不審な点に気付いて結局支払いを行っていないから、詐欺罪としての結果は発生していない。
したがって、上記請求につき、共同正犯の詐欺未遂罪(60条・250条・246条1項)が成立する。
5 以上のとおり、①乙に対する傷害罪(204条)、②Aに対する傷害罪、③医師に対する詐欺利得罪(246条2項)、④保険会社に対する共同正犯による詐欺未遂罪(60条・250条・246条)が成立し、①と②は1つの行為から発生した結果であるので観念的競合(54条1項前段)、その他は併合罪(45条)となる。
第2 乙の罪責
1 甲と共謀の上、本件事故を起こしている。そこで、乙に対する傷害罪(204条)の共同正犯(60条)が成立しないか。乙は傷害結果についてあらかじめ承諾をしているため問題となる。
思うに、自傷侵害が刑法上不可罰であることから、乙自らに対する傷害罪は成立しないと考えるべきである。
なお、甲との関係では乙に対する傷害罪を肯定し、乙との関係では傷害罪を否定するのは論理的な矛盾のようにも思える。
しかし、前者は違法性阻却事由の問題であり、後者は構成要件該当性の問題であるから、論理的な矛盾は存しない。
2 Aに対する傷害罪については、そもそも乙には傷害罪の故意がなく、犯罪は成立しない。
3 乙は、甲と共同して保険金等の請求をしているので、詐欺未遂罪が成立する。
4 以上から、甲との共同正犯による詐欺未遂罪(60条・250条・246条1項)が成立する。
第3 丙の罪責
1 甲乙らと計画を立て、これを承諾している。そこで、甲らが負う罪について共謀共同正犯が成立しないか。丙は、犯行当日に、甲らに「俺は抜ける」と述べて実際に犯行に参加をしなかったため、この時点で共犯からの離脱が認められるか問題となる。
2 この点、一部実行全部責任の根拠は、相互に他人を利用・補充し合い、法益侵害の因果性を強める点に求められる。
この根拠から、共犯関係からの離脱が認められるためには、自ら設定した心理的・物理的因果性を除去した場合に認められると解すべきである。
3 本件では、丙は甲らに「抜ける」と述べて、甲らは丙が犯行に参加しないことを認識している。犯行の計画について、丙は首謀者ではないので、抜けると述べたことで丙の設定した心理的因果性は除去されていると評価できる。
また、事故に用いた車はいずれも丙の持ち物ではないから、物理的因果性も除去されている。
よって、丙には共犯からの離脱が認められる。
また、離脱した時点ではまだ何ら犯罪の実行には着手しておらず、予備罪規定にも該当しない。
4 以上から、丙には犯罪は成立しない。
以 上