国民年金を学び直そう | パート主婦による保険選びのポイント

パート主婦による保険選びのポイント

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2023/9/13

実際の受給額はいくらになるか

社労士の方によると、平成29年4月から「老齢基礎年金」を受け取る方は、年金額779,300円を受け取ることができます。

この年金額は20歳から60歳まで(480月)もれなく保険料を納付していた方が受け取る額です。

納付していなかった期間がある場合、その期間に応じて減額されることになりますが、この計算方法は簡単です。

納付期間が30年(360月)しかなかった場合、次の計算になります。

779,300円×360月/480月=584,475円

保険料免除を受けた場合は少し異なります。

納付猶予・免除制度について

60歳未満の元サラリーマンの方で再就職しない場合や、自営業者の方は国民年金保険料を納付しなければいけませんが、納付が経済的に厳しい場合、保険料納付の免除制度と猶予制度があります。

納付猶予について

猶予制度は次の条件にどちらも当てはまる方が申請できる制度です。
  • 20歳~50歳未満の方
  • 本人か配偶者の前年所得(1~6月に申請する場合は前々年所得)が一定額以下の方
平成28年6月までは30歳未満の方のみに適用される制度でしたが、それ以降はこの条件に変更されました。

条件にある一定額以下の所得ですが、次の式の範囲内が条件となります。

前年(前々年)の所得=57万円+扶養親族の人数×35万円

例えば年齢30歳、扶養親族0人の方は、

前年(前々年)の所得=57万円+0×35万円=57万円

前年(前々年)の所得が57万円以下であれば、納付猶予の対象となります。

納付免除について

生活保護受給者や障害年金1・2級の方は法律上、免除となっておりこれを「法定免除」といいます。

所得が少ない方や学生で本人の所得が一定以下であれば「申請免除」というものがあります。

「申請免除」は本人か家族の誰かが経済的、あるいは災害による理由から保険料の納付が困難になった場合に申請を行い、承認を受けることができれば、保険料の全額かあるいは一部が納付免除されます。

この場合、申請を行うものが学生や30歳未満の者であると、納付猶予が適用されます。

申請免除には4段階の免除があります。

段階とは免除額の割合になるのですが、その決まり方は「所得額」と「扶養者の人数」によって決まります。

本人、配偶者、世帯主の中で、最も所得が高い人の前年の所得が、次の表の式で算出した額以下である必要があります。

所得とは、(所得=収入-必要経費[控除額の合計])で計算されます。

まずは自身の前年の所得を調べましょう。
前年の所得が以下の計算結果の範囲内であること
全額免除57万円扶養親族の人数×35万円
4分の3免除(4分の1納付)78万円扶養親族等の控除額社会保険料控除額等
半額免除(半額納付)118万円扶養親族等の控除額社会保険料控除額等
4分の1免除(4分の3納付)158万円扶養親族等の控除額社会保険料控除額等
この計算式を表下の条件で計算したものが次のようになります。

目安として参考にしてみてください。
世帯構成別の前年所得(かっこ内は収入)の目安
世帯構成4人世帯

(夫婦と子2人)
2人世帯

(夫婦のみ)
単身世帯

単身世帯
全額免除162万円

(257万円)
92万円

(157万円)
57万円

(122万円)
3/4免除

(1/4納付)
230万円

(354万円)
142万円

(229万円)
93万円

(158万円)
半額免除

(半額納付)
282万円

(420万円)
195万円

(304万円)
141万円

(227万円)
1/4免除

(3/4納付)
335万円

(486万円)
247万円

(376万円)
189万円

(296万円)
※上記の目安は、次の条件によるものです。
  • ( )内の収入は、収入の全てが給与所得であった場合としています。
  • 一部免除(一部納付)の目安は、社会保険料(国民年金、国民健康保険及び介護保険)について、一定の金額を納付していると仮定しています。
  • 「4人世帯」及び「2人世帯」の夫婦は、夫または妻のどちらかのみに所得がある世帯と仮定しています。
  • 「4人世帯」の子は16歳未満の場合と仮定しています。

免除後の受け取り年金額の変化、追納について

保険料の免除を受けた月は、その分だけ年金額が減額されます。

年金額の算出方法は下の式で求めることができます。

老齢基礎年金の算出式

保険料納付済月数
全額免除月数×4/8 (※×2/6)
3/4免除(1/4納付)月数×5/8 (※×3/6)
半額免除(半額納付)月数×6/8 (※×4/6)
1/4免除(3/4納付)月数×7/8 (※×5/6)
780,100円×
12か月×40年
(※平成21年3月分までの比率)免除されてもその後支払いが可能になれば、10年以内という期限が延長されて納付が可能になります。腹パン

通常の支払期限は2年ですが、免除の承認を受けていれば10年ぎりぎりに納付してもペナルティや貰える年金額の減額などありません。

免除申請を行わず保険料を納めないことを滞納といいます。

滞納の場合、納付期限は2年ですので、以前の免除分がある場合、そちらの古い方が期限が長くなってしまうということが起こります。

これについては納付期限の近い分、つまり新しい方の保険料を納付していきましょう。

なお、滞納の2年を過ぎるとさかのぼって納付することはもうできませんので、注意しましょう。

繰上げ、繰下げ受給も可能

早く受け取りたい方、余裕があり受け取りを遅らせたい方にも対応できます。

ひと月単位で受給を設定することができます。

しかし、繰上げ受給は基準である65歳時の年金額からひと月早くするごとに0.5%ずつ減額されます。

繰下げ受給は基準の65歳時の年金額からひと月遅くするごとに0.7%ずつ増額されます。

下の表は65歳受け取りを100としたときの各年齢での受け取り額の比率です。

65歳から66歳0か月が100→108.4になっていますが、これは厳密には65歳”0か月”から66歳0か月まで繰り上げた(0.7%×12)ためです。
請求時の年齢0か月3か月6か月9か月11か月
繰上げ60歳7071.57374.575.5
61歳7677.57980.581.5
62歳8283.58586.587.5
63歳8889.59192.593.5
64歳9495.59798.599.5
65歳100
繰下げ66歳108.4110.5112.6114.7116.1
67歳116.8118.9121123.1124.5
68歳125.2127.3129.4131.5132.9
69歳133.6135.7137.8139.9141.3
70歳142

年金は早く受け取るべきか

ほとんどの方が65歳で受給を始めるわけですが、年金をもらい始めてすぐや、年金をもらう直前に不幸にも亡くなってしまうこともあります。

このような方が知り合いなどにいると、前倒しで受給を開始した方が良いのではないかと考える方もいます。

しかし実際に65歳から受給開始した年金から見ると、60歳から受給開始した年金は、年金額が70%になります。

早く受給を開始すべきか、という疑問に関しては自身の寿命がわからない限り答えはありません。

一番早い受給(60歳0か月)と一番遅い受給(70歳)を比べてみますと、倍以上受給額が違います(70%と142%)。

80歳時点で総受給額はほぼ並び、そこから先は、70歳から受け取り始めた方は毎年ほぼ倍額を受給できることになります。


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