斜視と整体治療 | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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斜視と整体治療
患者Yさん=15才-男性 –中学生の症例
 
 
 
 
 
 
 
① Yさんの病歴・・・「斜視の原因が分かりません…」
患者Yさんは出生時から先天性白内障があり、3か月検診の時から両眼とも水平眼振がある事が指摘されていました。また、右眼の内斜視も生まれた時からあったそうです。その後、様々な医療機関を受診され(☚その間に右眼のみ白内障の手術をされています)、数件の大学病院での精密検査でも内斜視の原因はよく分からず、従って特段の治療法もなく、放置状態で今に至っているそうです。
 
 
 
② Yさんの診察
・両眼視をすると複視(☚物が二重に見える)が生じるので、普段は右眼だけで見ているそうです(左眼は見にくいそうです)。視野の欠損は無いそうです。-
・右眼の黒目の部分(☚瞳孔)は内方を向いていて、白眼(☚強膜)の左側部分は内眼角に隠れてほとんど見えませんでした。また、その白眼全般は血色が悪く、ややくすんで見えました。これについては、数年前より眼科医院から点眼薬(☚抗アレルギー剤だそうです)を処方されていますが、効果は全く無いそうです。
・眼球運動テストにおいて、両眼とも眼球の運動は8方向に動きました。但し、右眼は内転傾向がありました。
・左右の瞳孔の大きさは同じでした。眼瞼下垂もありませんでした。
・小学校と中学校での聴力検査で、右側の高音域の聴力がほとんど無いそうですが、日常生活に支障のない音域なので、問題は無いそうです。
・ウェーバーテストでは、右側=8、左側=2のバランスで聞こえるそうです。
・ロンベルクテストでは頚部前方閉眼で左方に振れ、頚部右回旋で後方に、頚部左回旋でも後方に振れて、転倒しそうになりました。
・立位や座位では右眼は内斜視で内方を向いていますが、仰臥位になると内斜視は幾分改善し、6割方中央方向に瞳孔が向いて、左側の白眼の部分が少し見えています。
・日常の生活でめまいなどの所見は無いそうですが、しかし立位時に「ふと気づくと、左右どちらかの足に体重をかけていて、左右均等に体重をかけにくい」そうです。また、お腹を前方に突き出して胸から首を張る動作をすると、フワッとするめまいを感じることがあるそうです(☚ 一種のバルサルバ動作?)。
・顔面の血色は普通でした。
 
 
 
➂ 治療目標と整体治療
⑴ (おそらく海綿静脈洞部での)外転神経の絞扼を解放し、外側直筋の機能を回復させる
⑵ 平衡器の機能を回復させ、水平眼振の改善と外眼筋への不要な前庭動眼反射(?)を解消させる(?)
 ⑴ ⑵のどちらが主因か分かりませんので、両方とも治療していく 
⑶ 眼動脈や上眼静脈の循環を改善し、眼窩内の圧力を軽減させて、外転神経や外眼筋の機能を回復させる

  ・海綿静脈洞解放テクニック
  ・翼突筋静脈叢解放テクニック
  ・静脈還流促進テクニック
  ・頬骨、上顎骨、側頭骨の解放テクニック
  ・頭蓋仙骨療法 (オステオパシー)
  ・迷路動静脈解放テクニック
 
 
 
 
④ 経過と結果・・・
・初診治療後、
患者本人(Yさん)は「ハッキリと見える様になりました」と、仰っていました。付き添いで来られていたお母さんは「少し右眼が引っ張られているのがマシと思います」と、仰っていました。

・4診目来院時、
初診時に陽性だったロンベルクテストが擬陽性レベルまで改善していました。お母さんが「以前より、眼が真ん中に近づいてきている感じがしています」と、仰っていました。治療後、私の人差し指を両眼視して頂くと、「指が二重に見えますが、指の間隔は以前より狭くなっている気がします」と、Yさんは仰っていました。

・5診目治療後、
「治療後に一瞬だけ像が1本になりました」とYさんが仰っていました。右眼も少し中央寄りになっていました。「白眼のくすみが無くなって、白眼が白くなってきている」と、お母さんが仰っていました。

・6診目来院時、
ロンベルクテストはほぼ陰性レベルに改善していました。その治療後、右眼の瞳孔は7割方中央方向に戻り、左側の白眼の部分が大幅に増えていました。お母さんは「こんなに良くなったのは生まれて初めてです」と、仰っていました。

・8診目来院時のウェーバーテストで、
初診時に右側=8、左側=2のバランスで聞こえていたものが、今回は右側=5、左側=5の正常なバランスで聞こえたそうです。右眼はほぼ前回と同様の位置で安定していましたが、普段の生活で「(右眼が)内側に向いている気がしないです」とYさんは仰っていました。

・9診目来院時、
Yさんは「指の間隔が大分狭くなってきています。以前は右眼でしか見ていませんでしたが、今週は両眼で見る事が少しずつ増えてきました。」と仰っていました。またお母さんは「前回の施術後の1~2日くらいは、右眼がほぼ中央によっていました。」と、少し驚きながら仰っていました。

・11診目来院時、
蝶形骨と前頭骨の右上方変位を重点的に施術すると、右眼球が75%程度まで中央に回復していました。

・12診目来院時、
「3日ほど、(両眼視で)像が重なりかけていました」とYさんは仰っていました。また治療後、左眼球が今までで一番中央に寄って回復していました(85%)。

・その後も順調に推移し16診目来院時には「ほぼ正中にあり、今までで一番良い状態でした」と仰っていました。

・17診目来院時、
ここのところほとんど正中状態で、よく見なければ斜視とは分からないレベルに維持できていましたので、今回で一応の治療終了としました。
 
 
 
⑤  今回の症例の概説、、、
◆ Yさんの斜視原因のヒント…仰臥位で斜視が改善する ?!
・斜視の原因も様々で(一般的に内斜視は外転神経の麻痺などが関係する事が多いようですが)、当然整体手技では不可能な症例もあります。しかし、今回のYさんの症例の様に、比較的簡単に治療可能な症例-原因もあります。ですから、実際に対応する場合は、診察をさせて頂かないとその点の所は分かりません。そこで、今回のYさんの症例を振り返ると、以下のポイントが重要だと思われます。
❶…腫瘍や動-静脈瘤などの危険な病態の可能性はゼロに近い
☚複数の大学病院での精密検査において発見されていない 進行性の脳神経性の症状が確認されない
❷…水平眼振がある
  ☚内耳性眼振か? 従って、内斜視にも内耳が関係しているのか?
➌…ロンベルクテスト、ウェーバーテスト(右側偏位)や、右耳に高音域の難聴がある
  ☚内耳性あるいは中耳性の病変があるのか? それはどの様な病態なのか? それは内斜視に関係しているのか?
❹…白眼のくすみが取れ、白く改善してきた
  ☚眼動脈系の循環障害があるのか? 内斜視に関係しているのか?
❺…右眼の外転運動が可能
  ☚外転神経(外側直筋)の完全麻痺ではなく、軽度の(絞扼性)伝導障害の可能性?
❻…立位、座位で内斜視は最大ですが、仰臥位になるだけで内斜視はかなり改善する
  「お腹を前方に突き出して胸から首を張る動作」の様なバルサルバ動作でフワッとした前失神症状が生じる
  ☚仰臥位で外転神経の絞扼が解放している(?) その理由は何か?
   頭顔面からの静脈還流に障壁がある(?)

・上記❶~❻からYさんの内斜視に外転神経(または外側直筋)か内耳の平衡器の関与が推定できます。しかし、この五つのポイントで特に一番の重要ポイントは❻の「仰臥位になるだけで内斜視はかなり改善する」だと思います。従って、立位や座位から仰臥位になる事で変化する解剖生理学的部位とその機序を考えていけば(当然それは内斜視に関係する部位、という条件がありますが)、内斜視の原因とその治療法が自ずと見えてくる、と考えます。
 
 
◆ 仰臥位で斜視が改善する理由・・・頭蓋内の静脈血の流れやすさが関係 ?!
・その解剖生理学的機序の第一として考えられるのは「上-下錐体静脈洞の角度」だと考えます。上-下錐体静脈洞は海綿静脈洞から起始してS字静脈洞に向かって静脈血を還流していますが、その角度は少し下降気味とはいえ、ほぼ水平方向に流れています(☚勢いが弱い)。しかし仰臥位になるとその角度はほぼ垂直方向になります(☚勢いが強い)。従って同静脈動内の静脈血は仰臥位の方が勢いよく流れていきます
 
・言い換えれば、上-下錐体静脈洞の根(上流)にあたる海綿静脈洞内の静脈血は、仰臥位の方が勢いよく流れて海綿静脈洞のうっ血は縮小します。つまり仰臥位になると、海綿静脈洞内を走行する神経(動眼神経、滑車神経、三叉神経、外転神経)への絞扼は減じます
 
 
 
 
◆ 海綿静脈洞内のうっ血の解消が整体治療目標となる !!
・もし、何らかの理由でYさんにその海綿静脈洞内のうっ血があったとしたら、立位や座位では海綿静脈洞のうっ血で外転神経が絞扼され伝導障害が起こり、外側直筋の筋力が低下し、内斜視になっている可能性が考えられます。
 
・逆に仰臥位になると上記機序により海綿静脈洞内のうっ血が減弱する事で外転神経の絞扼も一時的に解放され、内斜視が改善するのでは、と仮説が立てられます(他の神経が絞扼障害を起こさない理由は不明)。
 
 
◆ 海綿静脈洞うっ血の「何らかの理由」とは、、、導出静脈が関係している ?!
・そこで、次に考えなければならない事は、その「何らかの理由」です。つまり、立位や座位になると海綿静脈洞内のうっ血が亢進する理由です。それには大きく以下の二つが考えられます。

A…立位や座位になる事で上-下錐体静脈洞がほぼ水平になり、海綿静脈洞内の静脈血の流れが低下する
B…上記Aの場合の別還流ルートである導出静脈の流れに問題がある

・Aは健康な状態でもなりますから、この際関係がありません。ですから、問題は当然Bについて考えなければなりません。ところでこの導出静脈ですが、海綿静脈洞からは以下の三つが翼突筋静脈叢に還流しています。
  ⅰ…卵円孔静脈叢
  ⅱ…頸動脈管静脈叢
  ⅲ…破裂孔導出静脈
 
 
 
◆ 脳頭蓋から顔面頭蓋への抜け道「導出静脈」の還流を回復する整体治療 !!
・これら三対は翼突筋静脈叢を経由して下顎後静脈あるいは顔面静脈から内頸静脈に還流していきます。従って、これらの走行ルートでこれら導出静脈を絞扼している原因を考え、それを解放すれば、自ずと海綿静脈洞のうっ血は改善していくのが道理です。また、バルサルバ動作で前失神症状を疑わせる所見が生じるのも、頭顔面の静脈血の還流に何らかの障壁が存在する可能性を示唆します。
ですから、
 
 ‣海綿静脈洞解放テクニック
  ・破裂孔導出静脈解放テクニック
  ・翼突筋静脈叢解放テクニック
  ・静脈還流促進テクニック
  ・頭蓋仙骨療法 (オステオパシー)
  
・迷路動静脈解放テクニック
が、奏効したものと考えます。
 
 
 
◆ 頭蓋骨の偏位も斜視に関係している ?!
・さらにBについてもう一点の仮説を考えると、「蝶形骨を中心とした頭蓋底が右上方変位していて、それによって右海綿静脈洞が圧迫され、それにより右外転神経が絞扼されて内斜視を呈しているのでは」といったものです。それは11診目に「蝶形骨と前頭骨の右上方変位を重点的に施術」したところ、今までになく大きな回復傾向を示したからです。とにかく、考えられる限り、海綿静脈洞付近で右外転神経を絞扼しているであろう障害を取り除こうとしたことが、今回のケースで良かったのでは、と思います。
 
 
Ps ロンベルクテストで平衡感覚が改善した理由・・・
・ロンベルクテストで平衡感覚が改善した理由は、これもおそらくですが、下錐体静脈に還流する迷路静脈のうっ血や、蝸牛小管または前庭水管の外または内リンパ嚢の(軽度)水腫が解消したためではないか、と推定します。
 
・その機序ですが、それも海綿静脈洞から翼突筋静脈叢への静脈還流量が増えて下錐体静脈洞が減圧された事、そして脳脊髄液の圧が頭蓋仙骨療法によって減圧された事、この両者によって内耳の平衡機能が改善した事が原因ではないか、と推定します。
 

 

 

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