患者Mさん=39才-女性-主婦の症例
患者Mさんは1年前の排便時にいきんでも肛門付近に力が入りにくく、上手く排便できなく感じたそうです。そこで病院を受診したところ子宮脱と診断されたそうです。当初は放置していたそうですが、その後排便が困難な状態になり、対処療法として何種類もの漢方などで様子を見ているそうです。ペッサリーも試されたそうですが、やはりこれも排便時にペッサリーが出てくるので意味がなく、今ではしていないそうです。排便時には子宮だけでなく肛門も降りてくるので最後までスッキリと排便できない事が多く、残便感が一日中も残るそうです。また、重量物を持ち上げた時も子宮が外に出てくるそうです。これらの事は月経前後に増悪するそうです。漢方で無理に排便している状況が続いているので胃腸のもたれ感・不快感も強くなってきていて、腸へのダメージの不安も強いそうです。
・Mさんの身長は160cmで体重は65kgだそうです。
・血液検査においては特段の異常は無いそうです。血圧は上が120mmHgで下は覚えていないそうです。
・三人のお子さんがおられますが、皆さん安産だったそうです。
・月経周期は28日で月経期間は5-6日だそうです。
・生理痛は下腹部痛が主で、オリモノに特段の異常は無く、不正出血も無いそうです。
・子宮筋腫は無いそうです。
・イボ痔があるそうですが、痛みや出血はないので具体的な治療はしていないそうです。
・20代半ばに肝膿瘍に罹患し、ドレーン治療などで完治したそうです(☚一般的に肝膿瘍は細菌やアメーバーなどの感染性が大半ですが、Mさん本人には担当医から「非感染性の肝膿瘍」だと言われたそうです)。
・お通じは毎日あるそうです。
・排便痛や排尿痛は無いそうです。
・頭顔面や下腿の浮腫はありませんでした。眼球結膜の黄染はありませんでした。
・甲状腺の腫脹や萎縮はありませんでした。
・胸部や腹部の血管雑音、あるいは心音・呼吸音に異常はありませんでした。
・腹部聴診上、グル音はやや小さめに聴取出来ました。血管雑音はありませんでした。
・腹部触診上、全般的に膨隆傾向で緊満感がかなりありました。左右の鼠径靭帯内側に著明な緊張と圧痛がありました。また、腹部の消化管全般に著明な緊張と圧痛がありました。子宮底の触診は出来ませんでした。肝脾腫その他の腫瘤感-抵抗感はありませんでした。
⑴ 残留便・ガスの排泄を促し、子宮-膣への過剰負荷を軽減する
⑵ 下垂している子宮を引き上げる
⑶ 子宮を前傾前屈状態に回復-維持させる
⑷ 直腸の癒着・緊張を解放する
⑸ 門脈及び下大静脈の血圧を回復させ、痔静脈のうっ血を解消する
・平滑筋テクニック
・腸骨はがしテクニック
・胃-腸蠕動解放テクニック
・子宮円索テクニック
・子宮底屈曲テクニック
・直腸・肛門解放テクニック
・門脈開放テクニック
・下大静脈解放テクニック
・肝臓可動力テクニック
・2診目来院時、
・4診目来院時、
・5診目来院時、
・6診目来院時、
・8診目来院時、
・子宮の定位値は膀胱の後方そして直腸の前方で正中にあり、その正常姿勢は前掲前屈位です(☚便や尿の状況などにより子宮の位置や姿勢は容易に変化しますが、この場合排便・排尿後には正常姿勢に復します)。その定位置-正常姿勢に子宮を維持するために様々な解剖生理学的機構が備わっていますが、それが破綻していくと子宮はほぼ垂直に位置する膣を下方に下垂していく事があります。
・その主な解剖生理学的機構とは以下の四つです。
1. 上側方から子宮を支持する健常な子宮懸垂装置(基靭帯、仙骨子宮靭帯、膀胱子宮靭帯、膀胱子宮中隔、子宮円策、子宮広間膜)
2. 下方から子宮を支える健常な筋肉性支持組織 (肛門挙筋、尾骨筋、恥骨直腸筋、梨状筋などの骨盤底筋群)
3. 前後左右から支持する健常な腹圧(腹直筋、内・外腹斜筋、腹横筋、背筋群)
4. 子宮の前掲前屈位
従って上記が破綻状態に至ると子宮は下垂する事を回避できなくなる事があります。それが子宮下垂-子宮脱です。
・この様な段取りを経て、子宮の前掲前屈位が安定・固定化する時間(☚引き延ばされていた子宮懸垂装置=上記靭帯群が短縮する期間)が経過すれば子宮は膣方向に下垂しにくくなり、子宮下垂-子宮脱の治療は終了です。
・一般的には、患者さん自身の骨盤下部に対する腹圧が子宮の上昇を妨げることが往々にしてありますので、少しでも骨盤下部への圧力を低減するために残留便やガスの排出を促す処置を最初に講じておく必要があることがあります(☚第一段階)。このケースでは当然治療時間(回数)が増えるのは当然です。ただMさんについては、それ程強力な腹圧があるとは思えませんでした。
・ところで今回のMさんのケースでは肛門下垂-直腸瘤(と思われる所見)とイボ痔も合併しているので、いわゆる骨盤臓器脱と呼ばれるような病態に至っている可能性があります。また、直腸膣中隔脆弱症様の状態もあるかもしれません。従って、いつもの様に子宮だけを引き上げる手技だけではだめで、直腸(直腸膣中隔)に対するアプローチも必要となります。それが
⑷ 直腸の癒着・緊張を解放する
⑸ 門脈及び下大静脈の血圧を回復させ、痔静脈のうっ血を解消する
・直腸・肛門解放テクニック
・門脈開放テクニック
・下大静脈解放テクニック
・肝臓可動力テクニック
になります。
・直腸瘤やイボ痔は色々な原因が考えられますが、今回のMさんに関しては10年以上前の20代半ばに罹患した「肝膿瘍」も大きな一因ではなかったか、と考えます。肝膿瘍に罹患当時、Mさんはドレーン治療などで完治されていますが、しかし肝臓に膿瘍の残存物が残って肝臓と周囲組織との癒着や絞扼の原因になると、例えばそれが門脈圧や痔静脈などの下大静脈流域の血圧を若干低下させたりすることで直腸付近にうっ血が生じて直腸が膣方向に圧迫されたり(☚直腸瘤の原因?)、痔静脈がうっ血したり(☚イボ痔の原因?)するかもしれません。
・今回はこの様な仮説を元にして先ほどの治療計画⑷、⑸を立てて施術した訳です。結果的には運よく計8回の施術で治療終了という、かなり早期に子宮と直腸-肛門の症状が改善したので、とりあえずは妥当な仮説であったのでは、と思います。
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