小集団が会社を変える 日本人の霊性
日本人は、小集団での活動が非常に得意だと感じる。 海外では、グループ行動をすると喧嘩になりやすいと言われたことがある。 日本人なら喧嘩をしないのか?と言われると、必ずしもそうではないが、おおよそにして上手くやっていると思っている。 大古の昔から、互いに協力し合って暮らしてきたという研究結果もあり、縄文時代(紀元前13,000年~1万年間)などは争い合った跡が無いそうだ。 1万年も争いが無かったとは、信じられないほどである。 聖徳太子(574年~)が制定した“十七条憲法”にもある「和を以て貴しとなす」という言葉が表すように、日本人は和を大切にする民族だと思っている。 “和”というのは、英語にするとharmony、total、peace、sumなどがあるが、私はハーモニーがしっくりくる。 この“和”を形成するには、よく言われる「空気を読む」的な技が必要だが、私は「周波数を調整する」ことだと思っている。 個々に異なる周波数を持つ人が集まった時、それが調和するように自分の周波数を変化させている感じがするからである。 決して、ノイズにならないように“同調”しているようである。 これが、ハーモニー(和)となっていると思っている。 私がアメリカ駐在員であった時に、友人のアメリカ人がこのようなことを言ったことがある。 「日本人は、いつも5人くらい固まっている。 夜のレストランの入り口に集まって立っているのは、たいがい日本人だ。 彼らは、パーティーが終って外に出てから、その余韻を楽しむように固まって話しをしている。 私は、その集団が一番怖い。 日本人は、独りのときは非常に弱い。 だが、何人か集まると、ものすごいパワーを出す。 他のアジア人たちは、集まると喧嘩をしている。 それが日本人の特徴だ。」 確かに、そうかも知れない。 日本人は、集団行動に慣れている。 軍隊でもないのに、集団行動が得意なのだ。 江戸時代にも五人組という制度があった。 連帯責任を負わされるので、皆で協力するしかない。 現代においても、この小集団活動をあらゆる場面で見ることができる。 トヨタにおいても、職場の基本は班である。 班長が居て、メンバー全員で7名程度である。 この7人というのも、丁度良いサイズなのである。 それ以上だと、班長が面倒を看れないのである。 以前にも書いたが、面倒を起こすのを解決するのに、8人だと手が回らないのである。 面倒を看るとは、そういうことだからである。 会社によっては班員が20名だという所もある。 20名というのは、面倒が看れるサイズではない。 この班というのが7つ集まって、“職”を構成し、職長が居る。 その職というのが7つ集まって、“工”を構成し、工長が居る。 その工というのが7つ集まって、“課”を構成し、課長が居る。 こういう職制の体制をとっているのである。 更に、この職制以外に7人の集団を構成するのが、小集団活動である。 これは、一般的にQCサークルと呼んでいる。 このサークルにはリーダーが居て、テーマ毎に交代している。 たとえ入社2年目であっても、リーダーに選任されるのである。 ということで、リーダーというのは“役割”なのである。 こうやって、リーダーという役割を勉強するのである。 ベテランは、リーダーが若手であっても従わなければならない。 これは、宴会の幹事のような役目なのである。 最近では、宴会の幹事をやりたがらない若手が多いが、トヨタは、この宴会の幹事という役割を、非常に重要だと考えている。 段取りが大変だからだ。 出席者の確認、店の選定(座敷?テーブル?)、料理の選択、予算、曜日などなど、出席者の我儘を聴きながらも、段取りをするのである。 こういう段取りを手際よくこなす人は、出世する。 逆もしかりで、出世している人は、宴会の幹事が得意である。 人の説得も、得意なのである。 だから、QCサークルのリーダーも、宴会の幹事も、一つの段取りを学ぶ訓練なのである。 そういう面倒な段取りを避ける若手は、当然段取りがうまくならない。 こういったことを、7人ぐらいの小集団で回すことにより、改善もはかどり、集団活動を学び、リーダーシップを学ぶのである。 巨大な会社も、この7人の集合体の集まりなのである。 禅寺の石庭のように、小さな石が集まり、模様をつくり、大きな風景をつくっているのである。 そういった基礎的なことが、非常に重要であり、そこがしっかりしていれば、会社は発展していくのである。 日本の会社は、本来得意な霊性を活かし、小集団活動をするのがよろしいかと思うのである。