学会や論文、セミナーなどで
「生存期間がこんなに伸びました」
とか
「生存期間がこんなに長く
なりました」
って言われることがある。
生存期間が長くなることは
とてもいいことだと思う。
「慢性腎臓病の治療をすることで
生存期間がこんなに長くなりました」
とか
「がんの治療をしたらこんなに
生存期間が伸びました」
って言うのはいいことだと
思うけど・・・。
生存期間って動物が死ぬまでの
期間でその間
どんな治療をして
どんな生活を送って
どんな状態だったかなんて
関係ない。
元気で食欲もあって痛みもなく
快適に過ごしていたのか
元気もなく食欲もなくて
痛みもあって寝たきりで
過ごしていたのか
どんな状態だったかは
生存期間には関係ない。
寝たきりで食欲もなく
胃瘻チューブで栄養の確保を
しながら点滴で維持して
その間、痛みの治療も行い
毎日の通院して
動物がどんな状態であろうと
飼主さんがどんなにつらい
思いをしようと
生きていた期間が
生存期間になる。
学会や論文、セミナーでの
生存期間は死ぬまでの期間
だけで
どんな治療をして
どういう状態だったのかは
わからない。
もちろん元気で自分で食べて
痛みもなくつらくもなく
生きた子もいると思うけど
元気もなく食事も食べられず
痛みがあってつらい思いを
しながら
胃瘻チューブをつけて
点滴して延命した子も
含まれる。
それで「生存期間がこんなに
伸びたんです」
「生存期間がこんなに長く
なったんです」って
喜んでいいのだろうか。
いつも考えてしまう。
ぼくがやってる動物にムリな
治療をしないで枯れるように
旅立つようにすると
生存期間は短くなってしまう。
ぼくはムリな延命をしないから
獣医療の発展には
貢献していない。
生存期間で言うと
足を引っ張ってる。笑
他の獣医に叩かれるけど
それでも獣医療の発展よりも
目の前の動物のことを考えたい。
今日もありがとう
人間より動物好きの獣医
獣医師シワ男
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