私は、登山初心者の人ほど、
富士山のツアー登山は利用するべきではない
と考えています。
もちろん、
バスや山小屋の予約もしなくていいし、
温泉に連れていってくれるし、
便利な面もあります。
しかし、
それ以上にデメリットの方が大きいと思います。
一番の問題点は、
登山客30名(場合によってはそれ以上)に対し、
ガイドが2名(某大手ツアー会社の富士登山ツアー)
という、この人数比率。
このガイドの人数で、
安全に、全員を富士山に登頂させることなど、
まず無理だということです。
それはなぜでしょうか?
仮に、登山客30名全員が登山初心者だったとします。
(実際には登山経験はまちまちだと思いますが)
全員が登山初心者だとしても、
個々の高所に対する生まれ持った強さや、体力には、
かなりの差があるのです。
例えば、
高校・大学とずっと何らかのスポーツ(サッカーでもバスケでも)
をやってきた、社会人1年目の人。
高校・大学でも運動経験なしで、
日ごろも特に運動してこなかった、社会人1年目の人。
両者ともに登山経験がゼロだったとしても、
その体力には、20代と60代くらいの差があります。
こういう体力的にバラバラの人たち30名を、
同時に登らせたらどうなると思いますか?
ツアー登山というのは、
ほぼ決められた時間に山頂に立ち、
何としてもほぼ決められた時間に下りてきて、
バスに乗らなければならないのです。
つまり、
ガイドがどんなにうまいペース配分で登ったとしても、
必ずついていけなくなる人が出てくる
のです。
そうした場合、
たった二人のガイドでどうやって対応するのでしょうか?
答えは、
その登山客にはそこで待機するか、下山するように指示をし、
他の一行は山頂を目指して登る
です。
つまり、置いてけぼりですね。
ガイドがたった二人では、
ガイドのうち一人が、その人に付き添って登ってあげることなどできないからです。
もちろん、一人で登らせるようなこともできません。
途中で何かあったら、ツアー会社の責任になるからです。
要するに、
ガイドのペースについていけなくなった時点で、
その人の富士登山は終了です。
本来、もっとゆっくり登ってさえいえれば、
この人は登頂できたかもしれないのです。
いえ、
私の考えでは、たとえどんな人であろうと、
その人の体力に合ったペースで登れば、
富士山に登頂することは可能です。
ただ、
心臓に持病がある人
だけはやめておいた方がいいですが・・・。
ですから、
あらかじめ行程が決まっていて、
しかも、その行程を動かせないツアー登山では、
本来登れるはずの人でも登れなくしてしまうリスク
があるのです。
中には、
登山客15名に対し、ガイド1名というツアー会社もあって、
少人数なので安心!
などと言っていますが、私に言わせれば、
どこが少人数なのか?と思います。
同じ比率ですが、
下手すれば登山客30名でガイド2名より悪いです。
本来、登山客が15名だったら、
ガイド2名でも足りないくらいです。
15名だったら、
ガイド3名以上が最低ラインです。
悪いのは、利益を重視しすぎるツアー会社です。
ガイドは悪くありません。
ツアー登山を選ぶ人も悪くありません。
もちろん、利益を出さなければ会社はやっていけません。
それにしても、ひどすぎると思います。
富士山という、
日本でも唯一と言えるくらいの高山(標高3776m)において、
ガイド一人に対して10数名の登山客というのは、
無謀という他ありません。
登山初心者の方は、
置いてけぼりにされるか、
もしくは、
運よく登頂できたとしても、
「もう二度と登りたくない」
というほどつらい目に遭う可能性の方が高いでしょう。
では、登山初心者が登るのにはどうしたらいいのか?
それは、富士登山の正しい知識を学ぶことです。
夏の富士登山では、難しい登山の技術は必要ありません。
ですが、雑誌やホームページなどによく書いてあるような、
とにかくゆっくり登ること
とか、
高山病対策には水をたくさん飲むこと
といった、
中途半端な知識
だけで登れるほど甘くはありません。
これらは、正しい面もありますが、間違っている面もあります。
間に受けると失敗する可能性が高いです。
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